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【4】埼スタには銭湯もホテルも作れない? 浦和サポの僕が鹿島を推してしまう理由。

若者で大学生である僕が今どのJリーグクラブのフロントに入れますよ。と言われたら(そんなことは天地がひっくり返ってもないのだが)確実に鹿島アントラーズを選ぶ。なぜ浦和レッズサポの僕が宿敵である鹿島を選ぶのか特に浦和方面の皆様どうか怒らず聞いてほしい。

当然僕はガチガチの浦和サポなので、本当なら浦和に入りたいし、浦和をアジアないしは世界に轟くビッグクラブへの道の手助けできるようになることが僕の生涯の野望だ。ただ色々と紐解いて行くと天地がひっくり返って今現在の浦和に入ったとしてもスタジアムに関する様々なアイディアを叶えるのはどうやら難しそうなのだ。

上記リンクは、2017年度のJクラブ経営情報だが、皆さんご存知の方も多いと思うが浦和は営業収益において79億円で2位の鹿島の52億円を大きく引き離している。また広告料、入場料、物販収入においても他を圧倒している。

これは浦和サポの僕にとっては誇らしいことで現在のJリーグの中ではビッグクラブと言ってもよいのではないか。

ただ、これが浦和のある意味成長を鈍くさせる遠因になるのではと僕は考えるのだ。

補強戦略、クラブハウス拡充などピッチレベルでは軒並み先行投資が上手く行っていると思うが、一方埼スタの指定管理者の問題を筆頭にスタジアムビジネスにおいての将来への先行投資が足りず、未だにサポーターの多さやチームの成績に依存した施策が多い。

そして、上記はスポーツ庁が平成30年12月に発表した『スタジアム・アリーナ改革ガイドブック<第 2 版>』だが、3.コストセンターからプロフィットセンターへという項目にはこんなことが書いてある。

我が国のスポーツを観るための施設は、地方公共団体が所有する公共施設が一般的である。スポーツの成長産業化が進み、スポーツチームが施設を所有することができるまでに成長することは1つの理想形ではあるが、当面は地方公共団体が整備・所有することが想定される。現在のスポーツを観るための公共施設は、観客の快適性・利便性やスポーツチームの営業活動よりも、公的負担の軽減や公共性の確保(地域スポーツへの開放や使用料の減免等)に過度に比重が置かれる傾向にある。しかし、数千人から数万人の観客を収容する施設と、一般的な地域住民の利用に供されるスポーツ施設が、同じ手法・ルールで整備・管理される必要はない。地域の実情に応じて、施設の機能や規模等により適切に区別することが大切である。そして、このことは、我が国のスポーツの成長産業化を抑制していた一因となっている。スタジアム・アリーナが地域の活性化や持続的成長の核として機能していくためには、スポーツチーム等の活動がその集客力を高め、にぎわいを創り出していく必要がある。スタジアム・アリーナにおける興奮や一体感は、分厚いファン層や幅広い誘客を生み、来場・再来場の可能性を高める。そのような「観る」観点からの高付加価値のサービスを提供している施設は乏しかった。施設そのものの収益性の向上を中長期的な収支計画に組み込んでいくことが、結果的に公的負担の軽減にもつながる。競技場・体育館の維持管理費や更新費用を将来世代に積み残すことを止め、サステナブルなスタジアム・アリーナへと変革する、すなわちコストセンターからプロフィットセンターへの転換を図ることが重要である。なお、この場合のプロフィットセンターとは、施設単体で経費を上回る収入を得ることを必ずしも意味するわけではない。過大な投資は厳に抑制すべきであるが、地域の実情に応じて、必要な機能や地域のシンボルとなる建築に対する適切な投資を行い、スタジアム・アリーナを最大限活用することを通じたにぎわいの創出や持続可能なまちづくり等の実現とそれに伴う税収の増加等も含めて、投資以上の効果を地域にもたらすという意味を含んでいる。

埼玉スタジアムはまさにスポーツ庁が言うコストセンターに当たっていると僕は考えている。

橘氏が上記のnoteで埼スタの赤字体質に関して言及されているが、主な原因は年間300日は閉店している状態にある。
浦和レッズと日本代表の試合を行うことで他より若干試合数の多い(観客も多い)埼スタであってもである。

じゃあそれをどうにか解決しましょうと一般企業が管理していればなるのだが、埼スタの指定管理者は公益財団法人埼玉県公園緑地協会であり、埼玉県内の公園やその他の公共施設の管理運営をする税金が投入される組織によって運営されており、色々と難しいことをすっ飛ばせば要は埼スタの赤字は税金によって補填されている。

かと言ってその補填状況をメディアに追求されることはほとんどないし、それを黒字にしなければ会社が倒産してしまうというような逼迫した状態にもなりづらい。

浦和側も莫大な費用を負担せずに利用料のみを払い、自由度が限られた間借り状態のまま数十年と来ているということなのだと思う。

上記は埼玉県による埼スタの指定管理者を埼玉県公園緑地協会に指定するという告示で平成31年3月31日までになっているが、公募のない随意指定によってさらに1年間延長されているようだ。埼玉県が指定管理者を浦和に渡す気がそもそも無いのか浦和が手を挙げないから動かないのか定かでは無い。渡す気が無いのならスタジアム建設から始めないと指定管理者になれないという話になってくるかもしれない。

指定管理者に浦和がなって埼スタの赤字を被るよりかは良いだろうという考えの方も当然いると思うが、僕は浦和レッズというクラブがこの埼スタを黒字にさせようともがく過程とその先の未来が浦和をアジアおよび世界に轟くビッグクラブになるために重要な鍵になると考えている。

近年ガンバ大阪が吹田市の支援が少ない条件を飲んだ上でも吹田スタジアムを建設したり、ジャパネットたかたによってV・ファーレン長崎のホテルなどが併設予定の新スタジアムを建設しようという動きは、綺麗な大きなスタジアムが欲しいという動機のみによるものだけではない。

上記リンクは先程も紹介した『スタジアム・アリーナ改革ガイドブック<第 2 版>』だがこれの15ページには国内外のスタジアム・アリーナ事例が分かりやすくまとめられているので参照して頂きたい。

アウェー遠征するような熱心なサポーターの中には、アウェーのスタジアムの方がwifi環境が整っていたりスタジアム内のグルメが充実していたりと埼スタより便利だなと感じることがあるのではないだろうか。

そういうスタジアムは指定管理者がJクラブであることが多い。そして僕が例に出したいのがカシマサッカースタジアムだ。

このホリエモンチャンネルの鹿島回の動画には、堀江貴文氏が鹿島にスタジアム銭湯を提案しているシーンがあるが、実はこの動画の後、株式会社ルフロと提携しそれが本当に実現に向かっている。今回の最初の話に戻ると指定管理者としてスタジアムをある程度自由に使える、実行力があるということで鹿島に入ってみたら楽しそうだなと思ってあの様なことを言ったのである。

それぞれの施策をそのまま浦和が真似しろというのは違うし逆にコモディティ化を招きかねないが、この実行力とスピード感は浦和が見習うべき点なのではないか。鹿島は指定管理者として試合日ではない時のスタジアムの日常使いを促進するためにクリニックやジムを併設してきた。

こう言ってもいや浦和は観客が多いからいいじゃないかと言うかもしれない。
当然他のクラブよりは恵まれているのは確かで、数年は安泰だろう。僕が言いたいのは、その安泰な状態に甘んじるのではなく、長期的な計画を見込める体力を生かしてスタジアム経営に本格的に乗り出して欲しいということなのだ。浦和の成績や古参サポに依存する状態には限界があるし、そもそも鹿島は辺境地であるという危機感があるにしても成績はACLの成績以外は浦和を圧倒している彼らが勢いを持って色々なことを実現していっている。

とりあえず僕は鹿島に負けたくない。

僕はスポーツビジネスに興味のあるだけの一端の大学生なので、知識のある方にはどんどんツッコミして頂きたいし、より専門的なものをという人は様々な学者やビジネスマンが論文やブログに多数上げているので見て欲しい。このnoteが彼ら専門家への橋渡しとなれば幸いである。

参考文献
『サッカービジネスの基礎知識 増補改訂版』広瀬一郎著(東邦出版)

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