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ショールーム運営とデジタルの融合で、江戸切子など伝統工芸品のブランド力を強化(第22回優勝社 株式会社Catalu JAPAN)

Catalu JAPANとキックオフミーティング

東京都はこれまでに開催したピッチイベント「UPGRADE with TOKYO」で優勝社に選ばれたスタートアップ各社の皆様と都政課題の解決に向けて協働を進めています。今回は、第22回目の優勝社である「Catalu JAPAN(カタル ジャパン)」(https://catalu.jp/)との間で2022年11月に行われた、キックオフミーティングについてお伝えします。

購入に結びつきにくい伝統工芸品

カルチュア・コンビニエンス・クラブ系のシンクタンク、CCCマーケティング総合研究所は今年3月、全国8739人の男女を対象に、伝統工芸品の認知度に関する調査を行いました。それによると認知度が70%を超えたのは江戸切子や京都の西陣織、佐賀の伊万里・有田焼など6品目でした。購入経験が最も高いのは伊万里・有田焼ですが、割合はわずか15.7%。20%を超える品目は一つもありません。伝統工芸品の産業振興を図るには、ブランド力を高め購入につなげていく必要がありますが、このサイクルが十分に機能していないことが調査で明らかになりました。
キックオフミーティングにはCatalu JAPANの吉本正代表取締役が参加。こうした伝統工芸品を取り巻く厳しい環境を踏まえ、購入活動に直結するような今後のマーケティング戦略の構築に向け、東京都との間で話し合いが進められました。

東京都とCatalu JAPANとのミーティング風景

Catalu JAPANが得意とするのはオフラインとデジタルとの融合

Catalu JAPANは各メーカーがターゲットとする顧客層が集まりそうな場所を選び、ショールームを開設。その場で色合いや肌触りなど、ECモールの画面では伝わりにくい部分を確認できるようにしています。得意とするのは、こうしたオフラインとデジタルとの融合に基づくPR戦略。SNSへと流入させコミュニケーションを図りながらファンを募り、ブランド価値を高めていくという戦略をサポートしています。

ショールーミング型EC

ターゲット層を絞った事業戦略が有効

一連の取り組みに基づき重視しているのが、ターゲット層を絞ることです。その狙いについて吉本代表は「伝統工芸品という括りだけでは古臭い、高いというイメージがあり、ブランドにはなりにくい。視点をもっと細かくして『外国人向け』『若者向け』といったように分類したうえで、対象がどのようなプロセスで購買行動を取るのかを理解し、明確な手段と出展場所を決めることが必要。例えば若者であれば商品を出展場所で認知した後でもS N Sで投稿があるかを探したり、レビューサイトを探したりする。認知だけに注目するのではなく、その一連の行動のパターンと順序を全て押さえていくことが重要」と説明しています。

ソリューションコンセプトのポイント

東京都では、100年以上前から伝わる伝統工芸品を「東京都伝統工芸品」として41品目指定しています。江戸切子など知名度が高いものもあれば、そうでないものもあり、全てのブランド力を向上させることは決して容易ではありません。ですが、Catalu JAPANと共に効果的なターゲット戦略を構築し、チャレンジしたいと思っています。 

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