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詩ことばの森 森 雪拾(もり ゆきひろ)

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複雑で変化の激しい時代ゆえに 優しさと癒やしの詩の世界を伝えていければと思います
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2024年7月の記事一覧

詩ことばの森(203)「詩人の庭」

詩人の庭 遠い異国から訪れた 詩人の本を読んだ 青くて澄んだ 水の匂いがした 縁ある寺の庭…

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詩ことばの森(202)「ある日の君は」

ある日の君は ある日の君は 小さな町の教会に 見知らぬ人たちとささやかな祈りを捧げた 空は…

UNWIND&KOMOREBI
10日前
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詩ことばの森(200)「郷愁」

郷愁 知らない場所を 訪ねてみれば なぜか懐かしいものだ 夏雲が重なり 山並を覆っている 水…

UNWIND&KOMOREBI
13日前
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詩ことばの森(199)「遠くの森で」

遠くの森で 天に向かう翼影が 私の胸をつらぬく 羽音の残響は 虚洞に震えて 遠くの森で鳴く…

UNWIND&KOMOREBI
2週間前
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詩ことばの森(198)「ふるさとの友」

ふるさとの友 煙草をくわえて 二階の窓から  雲をながめていた 天才 を思いながら よい言葉…

UNWIND&KOMOREBI
2週間前
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詩ことばの森(197)「雨の夜に」

雨の夜に 今夜は 雨が降りつづいていて ガラス窓を叩くから 僕は静かにしていた 温めた牛乳…

UNWIND&KOMOREBI
2週間前
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詩ことばの森(196)「緑葉の季節」

緑葉の季節 緑葉は あなたを抱いて 過ぎゆく季節とともに 永劫に消えていく 蝶が執拗に 林をさまよいつづけ 蝉の声が 梅雨明けの時を知らせた日 あなたと暮らした夏の記憶を わたしは わたしのなかに閉じこめてしまった それ以来 どんなに太陽の光が輝いたとしても こころは いつも仄暗さに満ちていた いつの日か届くだろうか 夏のある日の消印で あなたが私に送ってくれた手紙が その消印の有効日がいつなのか まだ わからないでいるのだけど (森雪拾)

詩ことばの森(195) 「ある日 鳥が」

ある日 鳥が ある日 僕の肩に 鳥がとまった 青色の羽を輝かせて いくらか不格好な頭が 危…

UNWIND&KOMOREBI
3週間前
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詩ことばの森(195)「忘れた庭に」

忘れた庭に 忘れた庭に 百合が咲いていた 夏草におおわれた野を 明るく灯して こころに輝い…

UNWIND&KOMOREBI
3週間前
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詩ことばの森(194)「あの夏の日」

あの夏の日 夏がすぎてゆくたびに 緑の色が濃くなっていく ぼくは あわてた思いで きみの面…

UNWIND&KOMOREBI
4週間前
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詩ことばの森(193)「あかずの間」

あかずの間 古い家の奥に あかずの間があって そこは窓もなく まっ暗だと 大人たちが話…

UNWIND&KOMOREBI
1か月前
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詩ことばの森(192)「自由な空」

自由な空 この限りない空の 端から端へと広がっていく 蜃気楼はすっかり わたしの視界を閉ざ…

UNWIND&KOMOREBI
1か月前
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詩ことばの森(191)「無常の淵」

無常の淵 かつては空も青かった 空ばかりか街もみな なにやら澄んでいたのだが 夜には無数の…

UNWIND&KOMOREBI
1か月前
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詩ことばの森(190)「昔語り」

昔語り  それは はっきりとはしない 雲のような白いものに包まれて 家々のかたちが すっかり隠れてしまうほどであった 浮き立つものは 情念と恋 はかなく聡明な 少女の昔語り ことばの一つひとつが  淡い雪の結晶となって 繊細な形象を生み出しては やがて 消えてゆく (森雪拾)