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来てみれば 来てみれば 鎮守の森は 秋草の匂いに満ちていた 子供の頃に伯父伯母と 訪ねた…
花のありか 花のなかに 埋もれているもの 昨夜ふりつづけた 雨のしずく 終わりを告げた 花…
高原の秋 霧が晴れると そこには 小さな停車場があって 小さな木の椅子がおかれていました …
ある日 河童が ある日 川辺りの道を歩いていたら 一匹の河童があらわれた 芥川の小説みた…
ある予感 この部屋を 今日からは忘れなければならない 誓いにふさわしい青空だ わたしの意志…
遠野行 遠野はふしぎなところです 駅前には痩せた河童たちが遊んでいます 僕には彼らが見えま…
石の仏さまも 残暑をさけるように 日陰を歩いていた 草のなかでは虫の声 知らないあいだに秋 古そうな石の仏さまも 今年の夏は日に焼けて 色も黒くなられたようだ どんなに苦労しても どんなに疲労しても 季節は過ぎていくものだよ そういいながら微笑んでいたっけ (森雪拾)
ぼくときみのあいだ ぼくときみのあいだには 白い川が流れていて 遠くに橋が渡してある ぼ…
転びつづけて 七転八倒の人生 そんなことを口にしたら 七転八起でしょう とある人に忠告され…
だれもいない町 だれもいない道 毎日がつづく ただただ過ぎてゆく 大きな木のしたで 空を見…
さまよい 駅は 孤独な人びとが歩いていた 構内の灯りのさみしい青色 影ばかりが 通り過ぎて…
幻の花 白い花かと思った わたしはどこへ行くのか 広い世界は案外に狭く 長い距離も実は短か…
秋の小道 秋の気配が近づいていた 少年は恋をうち明けねばならないと 少女との道行きで思い詰…
隣家の花 隣家の生垣が伸びている 今年の猛暑で木々もやけ気味か 苦しげに四方八方に手足を広げ なんだか気の毒だ ハイビスカスが悲しんで うなだれながら生垣をみつめていた かつてこの家のおばあさんが 好きだった夏の花も 今年はなんだか元気がなさそうだ (森雪拾)