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詩ことばの森(198)「ふるさとの友」

ふるさとの友

煙草をくわえて
二階の窓から 
雲をながめていた
天才 を思いながら
よい言葉のひとつも
浮かばぬものだよ
煙ばかりが
ゆらゆら空へと消えていく

詩人の友が手紙をくれた
東京を去るのだという
僕もどこかへ去りたいが
帰れる故郷もなにもない
下屋根で猫が昼寝をしている
やわらかそうな三毛のむこうに
今年も夾竹桃の花が咲いた

詩人の友に手紙を書いた
帰れる故郷のない僕だから
遊びいったら親切にしてくれ
そんなおかしな手紙だけれど
屈託した僕の気持ちが伝わるだろう
かすかな煙草のにおいとともに

(森雪拾)


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