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詩ことばの森(194)「あの夏の日」

あの夏の日

夏がすぎてゆくたびに
緑の色が濃くなっていく
ぼくは   あわてた思いで
きみの面影を探そうとする

あの夏は戻らない
あの日のきみは
もういない

こうしてひとり
池の縁を訪れて
あざやかな百合花を
目の前にしていると
向こう岸にきみの
夏色の服がゆれたきがして

遠い夏の
遠い日の記憶
夢の中のきみの姿

(森雪拾)

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