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詩ことばの森(199)「遠くの森で」

遠くの森で

天に向かう翼影が
私の胸をつらぬく
羽音の残響は
虚洞に震えて

遠くの森で鳴く鳥たち
夢見がちな蝶はゆれて
おぼろげな記憶だろうか
それとも 幻の世界

きみは朝靄の道で
たしかに出会ったという
私に似た男だったという
湿った静かな目で
池の面を眺めていたそうだ

だが 初めから私に
なにが出来たというのか
夏草にひそむ虫たちの声に
無力 無力
と呟きを聞くようだ

(森雪拾)


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