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パーソンズ美術大学留学記(完)

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パーソンズ美術大学・Transdisciplinary Designでの学びについて書いた記事です。2021年9月から23年5月までほぼ毎週連載していました。
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#デザイン思考

【卒業制作】デザイン倫理を、禅で問う。質疑応答編 #304

前回の記事では、私の卒業制作についてご紹介しました。「禅をデザインに取り入れる」をテーマに設定し、New York Zen Centerでのフィールドワークから得られた学びを「Paradoxical Prototyping」というワークショップでデザイナーに伝えたというものです。 その後、Takram NYでの公開イベントやACTANTの社内イベントで私の卒業制作を共有する機会をいただいています。そこでの質疑応答でいただいたコメントがどれも的を射ていて、卒業制作の立ち位置や

パーソンズ美術大学留学記シーズン4 Week1 #277

今週から新学期が始まりました。2021年秋の留学開始時点から続けてきた「パーソンズ美術大学留学記」シリーズも完結編となるシーズン4(2023 Spring)に到達しました。泣いても笑ってもこれが最後の学期。学校生活は残り15週間しかないので、グズグズしている余裕はありません。全力で駆け抜けていきます。 Thesis/Transdisciplinary Design Seminarさて、今学期の授業は"Thesis"とTransdisciplinary Design Semi

パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week16 #266

Week12から学校がストライキに入って授業がない日々を過ごしていたので、それに合わせて『パーソンズ美術大学留学記』もお休みしていました。 約一ヶ月間に及ぶストライキも、今学期の最終週であるWeek16を前にしてついに終了しました。といっても、いきなり最終課題の発表をしなければならにということにはなりませんでした。学校側からストライキ前までの提出物等で成績をつけるようにという通達も出ているようです。 この記事ではストライキ中の進捗を簡単に書いておくことにします。 Sup

留学先の大学がストライキで休校に #259

私が留学中のパーソンズ美術大学がストライキによって休校となっています(11/16現在)。ニューヨーク・タイムズの記事にもなっていました。ちなみに、英語での発音は「ストライク」に近いです。 追記:日本語による記事もありました。 どうやらPart-time Faculty(非常勤講師)の待遇改善を求めるストライキのようです。それに伴い、Full-time Faculty(常勤講師)や学生も彼らとのSolidarity(結束)を示すために、同じくストライキを行うことになっていま

パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week11 #258

ハロウィンが終わって11月に入ると、ニューヨークは少しずつクリスマスムードが漂います。今学期もあと一ヶ月ほどで終わってしまうし、2022年も終わりが見えてきました。そろそろラストスパートをかける時期を迎えています。 Professional Communication今週の課題は「実際に仕事に応募してみよう」というものでした。一週間で応募書類を準備して実際に応募するのは酷なので、自分の入りたい企業の募集要項を見ながら自身のポートフォリオなどをつくってみるというシミュレーショ

パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week10 #256

暑くもなく寒くもなく、秋らしい一週間でした。道端には落ち葉が溢れていて、ブロワーで掃除をする人を近所でよく見かけます。どの授業も約6週間後に控えた最終発表に向けて忙しくなってきていて、そろそろこの留学記の更新が怪しくなってくる頃でもあります。 Professional Communication今週は、これまでに作ったポスターを誰かと交換して、そのポスターを編集・再構築するという課題でした。これまでと違って自分で内容のアイデアを考えなくていいという点では楽ですが、すでに完成

パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week9 #254

今週はハロウィンウィーク。店内や広告もハロウィン一色です。特に私はハロウィンらしいイベントには参加せず平常運転なので、いつもと変わらない一週間ではありましたが。 Professional Communication今回は、先生と1on1で20分ほど話す機会がありました。テーマは何でもいいということだったので、先生が禅(曹洞宗)の実践者でいらっしゃることもあり、「禅や仏教の教えをどうやってデザインに落とし込むのか?」について話しました。 たとえば、資本主義では人間が欲望(ニ

パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week8 #251

学期末に向けてのグループワークが始まる授業が多く、授業外でのミーティングも増えてきました。「とりあえず集まろう」とか「みんなの進捗を発表し合おう」などの機会が増えて、一人で考えたり作業したりする時間が減るのが今の悩み。 Superstudio今週からは学期末の最終発表に向けてmicrostudioと呼ばれる実践形式のスタイルに入ります。授業では、今学期の残りのスケジュール等の確認と現時点での最終発表に向けての各グループのアイデアを共有しました。ここではデザインプロセスについ

パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week7 #248

季節の変わり目だからか、体調を崩す人を見かけるようになっています。そういう私も風邪気味で過ごす一週間でした(検査したら某流行り病ではなかったのが不幸中の幸い)。 Superstudio今週から"microstudio"という今学期の後半パートが始まり、以降の授業では3or4人のグループに分かれて各グループが興味のあるトピックについて取り組むことになります。今回はそのグループ分けをする時間でした。 とはいっても、今後の授業がどのような流れで進むのか、最終発表はどのような形式

パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week6 #247

まだ10月に入ったばかりなのに、手袋なしでは手がかじかむほど寒い日もありました。ダウンジャケットを着ている人もちらほら。ニューヨークの冬はもうすぐそこかもしれません。 Superstudioまずは、Transdisciplinary Designらしさについての講義から。ここではコンサルティングのように「相手は困っていて自分たちが答えを知っている」と自他を区別をするスタイルは推奨しないとのこと。これまでの対話(Narratives)を重視するという姿勢からは納得のアドバイス

パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week5 #244

外出時にヒートテックを着たり自宅のセントラルヒーティングが稼働したりと、そろそろ寒さに備える時期になってきました。近所のスーパーではハロウィンの飾り付けがすでに始まり、10月を先取りしてます。 Superstudio今週は「デザインとは何か?」をあらためて考える機会になりました。デザインの定義は多様で曖昧で、時代や場所、人によって異なります。定義の曖昧さゆえにデザインがわかりにくい概念になっている一方で、曖昧であるがゆえに多様なジャンルとの相性が良いのでしょう。「デザインと

パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week4 #240

秋も深まってきたものの引き続き学校は冷房で寒く、厚手のストールをポンチョのように着ています(なぜかクラスメートからかわいいと言われる)。Week4に入ると先週までのオリエンテーションムードが終わり、少しずつ課題が出るようになって忙しくなっています。まだまだ先の長い秋学期を無事に乗り切るために、無理せずマイペースを心がけています。 Professional Communication今週の課題は「卒業してから5年間の(仕事に関する)自分の未来をポスター1枚で表現する」でした。

パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week3 #236

9月も中旬に入って家では冷房をつけなくても過ごせるようになり、秋が近づいているのを感じます。相変わらず学校は冷房がフルパワーで作動していて寒いので、羽織ものが必需品というTipsを後に入学する人のために書いておきます。 SuperstudioTransdisciplinary Design秋学期のメインとも言える授業が今週から始まりました。一年生と二年生が一緒に受ける唯一の授業でもあります。この授業でどんなことを教わるのかというと、私にもまだわかりません。どうやら去年のフォ

パーソンズ美術大学留学記シーズン3 Week2 #234

Week2に入り、ほとんどの授業の初回が終わりました。まだ一週間の過ごし方のルーティンが定まらず、「今の時間は何をするべきか?」と考え続けています。Week3が過ぎれば全ての授業を一通り受け終わって、どの授業の課題をいつするのかのペースが掴めるはず。 Professional Communication「Professional Communication」という授業では、主に卒業後の進路に備えるために、自分の活動を他人にどうやって伝えるのかを考えていきます。 特にTran