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第2回 避難所の施設・設備に関する問題で最も多いのは74.7%でトイレ

毎週月曜日の更新する災害時トイレの連載です。
災害時のトイレ塾生のみなさま、おはようございます(勝手にそういう気分で気合を入れて書きます、という意味です!)。

トイレの備えにつながることをできるだけ分かりやすくお届けできるように頑張りますので、よろしくお願いいたします。

第2回目は、避難所の困りごとです。
阪神・淡路大震災以降、大きな災害が起きると、必ずと言っていいほどトイレ問題が上位にきます。とても残念なことですよね…

トイレ問題を繰り返してしまう理由は、いくつか考えられますが、そのうちの一つに、話題にしづらい、ということがあげられます。

どういうことかと言うと、トイレや排泄はデリケートなことで、日ごろからあまり話題にしないテーマですので、いざというときも声に出しづらいのです。
声にならないこと、つまり人に伝わらないことは、問題認識されず、なかったことになってしまいます。
そのため、改善につながらず、繰り返してしまうのです。
そうならないように、現場の声を聞き、それを届けることが私たちの活動でもあります。

ところで、指定避難所ってどんな場所かご存知ですか?
災害の危険性がなくなった後に、自宅が被災した人や、災害により帰宅が困難となった人が一時的に滞在することを目的とした施設のことを指します。

具体的には、公立学校の9割以上が指定避難所になっているため、地域の小中学校を指定避難所として思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

これら公立学校の多くは老朽化が進んでおり、設備的な課題を抱えているのです。声に出しづらいだけでなく、そもそも指定避難所の設備の老朽化、つまりトイレが古く、設備的にも時代遅れになっている、ということもトイレ問題を引き起こす原因です。

東日本大震災のときに、避難所として利用された学校を対象に実施した調査で、問題となった施設・設備で最も多かったのは、74.7%で「トイレ」でした。次いで「暖房設備」「給水・上水設備」「通信設備」という順でした。

出典:災害に強い学校施設の在り方について(文部科学省)

被災状況は地域によって異なりますが、多くの地域が断水・停電している中、飲み水よりもトイレが困ったという結果から、トイレ問題がいかに深刻であったかが分かります。

皆さんは、避難所となる建物のトイレを見たことがありますか?
お年寄りもたくさん避難すると思います。それなのに和便器しかない、となっていたら改善が必要ではないでしょうか。換気扇が壊れていたり、排水口が詰まっていたら、至急対応が必要です。
また、避難所にどのような災害用トイレが備わっているのかも調べておくべきです。

指定避難所の防災力を検討する上で、水や食料と一緒に「トイレ」の設備状況や災害用トイレの備えをチェックすることがとても重要だと思います。

おまけ
「もしもトイレがなかったら」という本を書きました。
小学生高学年ぐらいのお子さんと一緒に学べる内容ですので、よろしければ活用してください。

もしもトイレがなかったら(少年写真新聞社)


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