第7回 トイレの我慢はエコノミークラス症候群による関連死につながる
災害時のトイレ塾生のみなさま、おはようございます。
ゴールデンウィークはあっという間でしたね。
私は人生初の障子貼りをしました。貼るより剥がす方が難しかったです。。。
さて、毎週月曜日の更新する災害時トイレの連載です。
自然災害はスケジュール完全無視で、予告なしです。
やれることは今やる。それしかありません。
ということで、個人や組織、地域のトイレの備えにつながることをできるだけ分かりやすくお届けできるように頑張りますので、よろしくお願いいたします。
今回は、トイレの我慢はエコノミークラス症候群につながることについて書きます。
エコノミークラス症候群って?
まずは、エコノミークラス症候群について説明します。
エコノミークラス症候群とは、狭くて窮屈な場所に同じ姿勢で長い時間座っていると、血行不良でふくらはぎあたりの血管に血のかたまりができ、急に足を動かしたときなどにそれが血管の中を流れて肺に詰まり肺塞栓などを引き起こす症状のことを指します。
窮屈なところでじっとしているだけなのに、それが深刻な状況を引き起こしてしまうのです。
トイレ我慢は、危険因子
榛沢和彦氏(新潟大学 医歯学総合研究科 特任教授)が県内100床以上の病院を対象に実施した調査では、中越地震発生から14日までの間に車中泊者で11件の肺塞栓症での入院が確認され、このうち6人が亡くなったことが分かりました。
この結果を踏まえ「災害時循環器疾患の予防・管理に関するガイドライン(2014年版)」では、震災後の肺塞栓症の危険因子の1つとして「夜間排尿を避けること」をあげています。
また、「循環器内科医のための災害時医療ハンドブック」では、東日本大震災の宮城県内避難所の深部静脈血栓症と危険因子として「トイレを我慢」をあげています。
災害時は水洗トイレが使えなくなり、トイレが不便であったり不衛生になったりすることで、被災者はトイレにできるだけ行かなくて済むように水分の摂取を控えてしまいます。これが命にかかわるということです。
こまめに水分を摂って、歩いてトイレへ!
厚生労働省のサイトでは、エコノミークラス症候群予防として、以下の内容が紹介されています。
トイレに行くのが嫌で、水分を摂らずにじっとしている、というのがいかに危険なのかが分かります。
逆に、水分をしっかり摂って歩いてトイレに行く、というのがよいです。それには、安心できるトイレが必要ということになります。
今回は災害時のことを説明しましたが、平時においてもおうち時間が増え、デスクワークなども多いのではないでしょうか。
日頃から、こまめに水分を摂って、気分転換も含めてトイレに行きましょう!
ご案内
2022年5月11日に、内閣府(防災担当)の伊藤靖晃さんをお招きして勉強会を開催します。先日「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」が改訂されましたので、そこも含めて災害時における避難所の生活環境対策についてお話しいただく予定です。よろしければぜひご参加ください。
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