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9月26日の手紙 料理の失敗


拝啓

今日は曇天です。
視界の端まで、雲が敷き詰められています。
気持ちが上がらず、あちこちが滲んだような濁った灰色です。
空を見上げても、胸をすくような気持ちになりません。
天気がこうだと、何となく残念な気がします。
そして、ますます涼しくもなっています。
少し厚手の、布団を出した方が良いかもしれないとな
仕事着も長袖にした方が良いのかなどをふわふわの雲を見て考えます。
明日以降また少し暑くなるような天気予報を見た気がします。
どうしたものかと悩みますが、結局、1枚パーカーを持って出ることにしました。帰宅時に冷える場合はこれを着るとしましょう。

昨日は新しいホットクックメニューに挑戦しました。
かぼちゃと鶏もも肉を甘味を加えず煮るというものでした。かぼちゃと鶏もも肉は別のレシピ、今井真美さんの鳥かぼちゃで美味しかったので、ホットクックでもいけるだろうという目算がありました。

料理と毎日 10月17日〜23日|今井真実 /料理家
(今井真美さんのレシピはこちらの記事に載っています)

醤油と酒、ニンニクひとかけを投入して、予約調理ボタンをオンにしました。
あとは頼んだぞ、ホットクックという気持ちでした。
仕事が終わって、帰宅し、どんな味だろうとワクワクして食べてみたら…何ともピントがボケた味です。
まずいわけではありません。
しかし今日の天気のようにぼやけて、しまりのない味です。
かぼちゃも崩れるくらい煮えて、だらっとしているし、鶏肉もぼんやりした仕上がりです。
無味というわけではありませんが、決定的に何かが足りない感じです。

外食をしてまずいものを食べるのも、かなり不快ですが、自炊してあまり美味しくないというのはそれとはまた違う落ち込みがあります。
外食なら、店のせいとか、料理人のせいにできますが、自炊の失敗は結局、自分の失敗に思えます。1日の終わりに自分の失敗が目の前の皿に盛り付けられていて減っていかないというのは、とても落ち込みます。下げてもらうこともできません。片付けをするのも結局は自分ですから、捨てるのも自分なのです。それはあまりに忍びない…と感じます。
消毒済みタッパーに残った料理を入れて冷蔵庫に保存します。作り置きを明日も食べられるというような、嬉しさは、ありません。あれをどうしてくれようか、と思うだけです。
失敗は悪いことではないと呟きますが、食材を無駄にした気がします。

何がいけなかったのかを寝床につきながら考えます。
まず、第一に思い浮かんだのは、塩味が足りなかったのかもしれないということです。
元のレシピの通りに、調味料は大さじで計測して投入しましたが、材料が少し多かった可能性はあります。
醤油の量をもう少し多くするべきだった、醤油とは別に塩を入れるべきだったという可能性が浮かびます。
次に、かぼちゃがだらっと、崩れたのは、悪くならないように家で冷凍していたものを使用したからという、可能性があります。次は新鮮なものを使った方がよいかもしれません。
そして最後に、鶏もも肉をホットクックの予約調理で煮込んだ場合、味をしっかりつけておかないと、味がぼやけてしまう可能性です。手羽元や手羽先のように骨がついている場合はこれまでの経験上、あまり気にすることはないようです。しかし鶏もも肉を予約調理で煮た場合、ほろほろに崩れてしまうこと、そして、崩れた食べ物の味が薄いと美味しさ感じにくいということがわかりました。食感も味も淡いとなると、味覚としては単調だということだと思います。
また、単に、鶏肉は煮てあるものより、皮がパリっとなるくらい焼いてあるものが個人的な好みということかもしれません。
そういえば、今井真美さんのレシピはしっかりとフライパンで加熱していて水っぽさはありませんでした。

残りを食べる際には、塩をかけるかとろけるチーズを乗せて、オーブントースターで水分を飛ばす勢いで、加熱すると良いかもしれません。
塩味も食感の問題もこれでやや解決します。

少し前向きになってきたので、眠りに落ちました。

料理を失敗するたびに、こんなことをしているのかと問われると、まあ、大体やっていますと答えることになります。
何についても、どうしてそうなったのかを推理するのが好きなのです。
原因を色々と考えていくと、それが正しいかどうかは別として、気持ちも整理されてきます。
料理の失敗は愚かさが原因ではなく、対応可能なエラーが原因だと分かれば、自分を責めずに済みます。
呪いの原因がわかると怖さが低減する、怪談と同じです。
仕組みがわかれば恐怖もパニックもゼロにならないにしても、多少は減るという信念があるのです。

そうそう、
軽く塩を振ってかぼちゃと鶏ももの煮物はチーズをかけてレンチンしました。
予想通り、味がマシになりました。
推理は生活を豊かにします。

それではまた


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