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ちゃんと愛したい人

無名人インタビューnoteで「潰瘍性大腸炎」と検索すると、2件記事が見つかります。ひとつはパートナーの方が大腸炎になったというお話。
そしてもうひとつは、当事者の方のお話です。

ひとつのカミングアウトをきっかけに、SNS上を表明がさざなみのように広がっていくようすは、不思議なようでもあり、むしろこれは当たり前のことだよな、と思ったりもします。
人は人から影響を受ける。
これはまぬがれようもない。
人は人から学ぶ。
そうして人は文化を作っていく、と。
最近私は、過去の無名人インタビュー記事をほじくりかえして、切り抜きツイートを作っています。3年前の記事ですね。3年前と、今インタビューしている人たちに、何か差があるかっていうと、あるわけではないです。みな、どこか似ていて、どこか違う。まったく同じはないけれど、まったく違うわけではない。
人というのは、そういうものなんだと。
というわけで、無名人インタビュー、今日も始まります!!!!!(さわやか)
【まえがき:qbc・栗林康弘(無名人インタビュー主催)】

今回ご参加いただいたのは いのり さんです!

※こちらのインタビューは本文中にも記述のある双極性障害の躁状態にある際の回答です。万能感や誇大表現が多くなっていますので、ご留意くださると幸いです。by本人

現在:結局誰かのためになりたい、何か達成したいと思ったら自分の可能性を自分で決めちゃいかんなと思って。めちゃくちゃ青臭い言葉でも、あえて意識的にでかいことを言ったりとかするようにはしてます。

toki : いのりさんは今、何をしていらっしゃる方ですか。

いのり:いろいろやっていて。学生でもあるんですけど、アーティスト活動みたいなのもしてて、簡単なファシリテーションだとかライティングとか用みたいなこともまた別でやってたり、何かまちづくりとか教育とかそこら辺が興味分野でしてたりします。

toki:なるほど。大学生ですか。

いのり:大学生です。

toki:大学何年生ですか。

いのり:2年です。休学してもう一回2年生やるみたいな感じです。

toki:今、本当は3年生になる年に休学をしてる感じですか。

いのり:はい。

toki:なるほど。今いろいろやられてると思うんですけど、大体力を入れてる比率でいうと?

いのり:比率難しいですね。でも全部本当に自分のやりたいことで、何か論理的な部分と感性的な部分どちらもうまく活用して、自分の持っているもので何かしらお手伝いできることがあったりだとか、少しでも誰かのためになるならっていう精神でやっているので。
ちょっとビジネスライクな部分も本当に力入れたいなと思っているし、でもアーティスト的な部分も力を入れていきたいなと思っている感じでして。でも今で言うと歌とかダンスの方により力を入れていて、そっちでいろいろ発信してます。

toki:なるほど。アーティストの方と、あとファシリテーションとかライティングといった方と、どっちもお伺いしていきたいと思うんですけど。まずアーティストとしての活動の方は具体的にはどんなことを言われてるんですかね。

いのり:まだまだ始めたばっかりではあるんですけど、歌、ダンス、絵とか。あとは言葉系、ポエムとか、あとはカメラもやってるし、動画作りとか、何か表現系全部やってます。

toki:それは何かテーマを持ってやっていらっしゃったりするものなんですか。

いのり:世界平和とかですかね。愛にあふれた世界になったらいいなとか、みんながずっとそれぞれの定義の中で幸せだなって感じたり、生きるのって意外と悪くないなと思ったりとか、ちょっとつらいときでもこういう楽しい瞬間だから、喜びを知ってるからちょっと踏ん張ろうってなれるような、そんな機会の一つに僕の歌とかダンスとかがなったらいいなと思ってたりします。

toki:それは、結構最近からっておっしゃってましたけど、いつ頃から始められたんですか。

いのり:1週間前ぐらいですね。

toki:本当に最近なんですね。

いのり:はい。でも演技とかアーティスト系はずっとやりたいと思ってて、何か特に歌がうまいとか、演技が上手とか絵が上手とかそういうわけじゃなかったんですけど、でもなんかやりたいっていう思いは確かにあって。
みんなが幸せになる権利、それぞれの定義の中で幸せになる権利、幸福追求権みたいなものがあるはずなのに、発達の特性だとか、環境だったりだとか、いろんな要因によって、自分なりに一生懸命もがきながらもその苦しみから抜け出せないでいる人たちがたくさんいるっていうことは、自分の原体験的にも知っていて。それをインターンとか、高校生のメンターみたいな形で今までちょっと活動してたんですけど、誰かから雇われてやるみたいな形にずっと違和感を持っていて。それで、もうずっとやりたいっていうのがなぜか爆発して、ちゃんとやろう、これでとりあえずめっちゃ走ろうと思ったのが本当に1週間前ですね。

toki:そうなんですね。なんで1週間前だったんですかねそれが。

いのり:元々僕双極性障害っていう精神疾患を持っていて。それどんな病気かっていうと躁状態と鬱状態ってめちゃくちゃ元気で何でもできるって万能感を得てある程度の行動力もちゃんと伴うっていうときと、その反動で本当に動けなくなって、しんどい死にたいみたいになるときがあるみたいな。一応病気だけど、個性の一つとして持っていて、それが何かカンストした感じですかね。
今まで躁状態で得ていたような自信が、割と無根拠なものなんですけど、向こう見ずな自信が、ちょっと誰かに何か言われたとか、下がってしまったときに崩れ落ちるものではなくなったというか。万能感を得ている状態のときに自分の道をちゃんと見つけられたのかなっていう。

toki:うん。

いのり:ある人の話を聞いて、今だ、と思って路上ライブを、いきなり下北沢でやったんですよ友達と。それからずっと発信して、この日までに1000回再生いきますって言って、それが今週なんですけど。今997再生で割と目標達成のプロセスをちゃんと進めてるので、このまま一生懸命やれば伸びていくのかなとも思ってます。

toki:ほうほう、なるほど。
アーティストの活動とあともう一つやってらっしゃるまちづくりとか教育だったりの方は、簡単に言うとどんなことをやられてるんですかね。

いのり:全然お仕事としてって感じじゃなくて趣味としてというか、日常生活の中でコーチング的な対話の要素を含めたコミュニケーションを心がけるとか、その程度のちょっとした業務委託みたいな感じなんですけど。今、渋谷区の笹塚地域という場所があるんですけど、そこの魅力を発信するアカウント「笹塚にて」っていうのを運用してたりだとか。大学1年のときは、ある渋谷区のまちづくりに関わってる広告代理店さんの学生プロジェクトに参加して活動したりとか。まちづくりはそんな感じで。
ファシリテーションとかは、本当に知り合いづてで、僕が本当に何も経験ない状態で、ワークショップのファシリテーターをさせていただいたりとか。なんか高校生向けで1000人とか集まるようなイベントでスタッフやってみない?みたいなので、やらせていただいたりとかそんな感じですかね。

toki:なるほど。最近そうやっていろいろやっていらっしゃる中で、日々の調子といいますか、生活の満足度みたいなところでいうと、今どんな感じですか。

いのり:なんか10ですね。10中の10。なんですけど、承認欲求とか自己顕示欲とか、あと物足りなさみたいなのは全然今もあって。
でも、活動とかそれがないとやってらんないみたいな不安定な状態ではなくて、波乗りしているような感覚。承認欲求だっていうのをメタに認知して、それをうまく使っているような感覚があるんで、そこまでうつむいた気持ちになるようなことはないので、その点全然10かなって感じですね。
でももっともっと、10より12とか、15とか、もう10倍の100とかも行けるような気がするので。そこにもエネルギーを注ぎたいなって思ってます。

toki:まだまだ伸びしろといいますか、可能性があるって感じなんですね。

いのり:そうですね。自分はADHDとか発達上の特性持ってたりとか、あと休学期間とか本当にずっと動けなかったりとか、高校生の時に不登校だったりとか、小学4年生のとき難病になったんですよ。安倍総理と同じやつなんですけど、そういういろいろなことがあって、自分駄目だっていうふうに沈み込んでいる時期の方が人生ずっと多くて。これからもそうなることはあるだろうなとは思っていて。でも結局誰かのためになりたい、何か達成したいと思ったら自分の可能性を自分で決めちゃいかんなと思って。めちゃくちゃ青臭い言葉でも、あえて意識的にでかいことを言ったりとかするようにはしてます。

toki:なるほど。ありがとうございます。ちなみに何か趣味はありますか。

いのり:お散歩が好きです。

toki:今、もしかして屋外にいらっしゃいます?

いのり:今は地元の公園にいますね。

toki:お散歩はどんなところが好きですか?

いのり:そうですね。お散歩は感覚的にお日様とか夜の空気とか、雨上がりのちょっと独特の香りだとかそういうのが好きで。お店にいろいろ巡り合えてとか、もちろんすごく大きな要素としてあるんですけど、学び的な要素もあると思っていて。
どういうことかと言うと、本当に同じ町でも、自分の状態がちょっと違うだけで違く見えるし。時間がちょっと違ったりとか、前歩きか横歩きか後ろ向き歩きかとか、それだけ本当に見える世界が違って、それで隣にいる人が違うだけで見る視点が違うとか、本当にこの狭い世界の中にどれだけ広い世界が広がっているのかっていうのを、日々感じることができて。
それはすごいまず大きな学びになるっていうのを、自分に毎回新たな視点をくれるというので散歩すごくいいなっていうのと。

あと歩いていると、ずっとあるような例えば電柱とか、昔ながらの純喫茶とか、ちょっと煩わしい何かとか、なんで人気なのかわかんないけどずっとある店とかにも巡り合うことがあって。そういうときって、なんかよくわかんないし全然洗練されてないし、センスないなとか思う自分もいるんですけど、古文とかと一緒で、長く、そして広くいろんな人に受けているもの、残ってるものって、どんなに悪いものに見えようが、淘汰されないのには理由があると思っていて、そこになにかしらの真理的なものがあると思っているんですね。
なのでそういうものを見つけたときに、何でなんだろうっていう姿勢を忘れずに見つめて、ちょっと歩きながら分解していくみたいなのは、すごい面白いなと思ってます。

toki:そういう視点で歩いていらっしゃるんですね。面白い。

いのり:あとあれですね。単純に自分の身体感覚を養うとか、体力作りとか。歩くだけで、自分のバランス感覚鍛えられると思ってるので、それは結構アーティストやる上でもすごく大切だし。身体感覚ってどれだけ心が安定するかにもだいぶ関係してると思うので、そこは鍛えたいなと思って散歩してます。

toki:今その散歩がお好きだっていうお話だったんですけど、逆に嫌いなものとか、こととか、なにかあったりしますか。

いのり:嫌いなこと基本ないんですけど。自分が嫌いなだけだよなっていうふうに一旦引いて考えるようにしてるのであんまり思わないですけど。そういう考え方のもとにある、多分偏見とかが嫌いです。偏見とか頭ごなしに否定とか、そういうのは好きじゃないですね。
なんか1人1人の思い、一つ一つの思いとか、何かを大切にできていないし、それってすごい悲しくない? っていう感情的な部分もあるし、単純にもっと対話的に何かできたら面白い何か作れるじゃんっていう。ちゃんと論理的に考えてもそういうのってすごいもったいないと思うんですよね、
偏見があることとかって、だから本当そういうのって悲しい。ちょっと僕何かそこにアクションしていきたいなと思ってます。

過去:特別でありたいって思いが結構強いんですよね。今もそうだし、多分これからもずっとそうであって。それでも別にいいかなって思ってるんですけど。

toki : 小さい頃、いのりさんはどんなお子さんでしたか。

いのり:小さいころ。親がよく言うのは、先生が家庭訪問に来たときにお茶くみをなぜか積極的にやる子供だったって言ってました。なんかおもてなししたがる子だった、よくわかんないですけど。でも先生が喜ぶのとか、親が面白がってるのを見るのが好きだったのかもしれないです。

toki:なるほど。覚えてる限りでいいんですけど、一番小さいときどんな性格だったなとか、どんなことよくしてたなとかって何かありますか。

いのり:みんなで一緒に遊ぶとかは結構苦手だったんですね。あとは甘えん坊なところはあって、結構しょげっぽくって。わがままとも言えるんですけどやるときはやるって、言うこと聞かないみたいな、そんな感じですかね。運動神経は悪かったですね。

toki:なるほど、小さいときどんなことして遊んでましたか。

いのり:秘密基地とかめっちゃ作ってました。あとうんていの上でおにぎり食べるとか。

toki:なるほど。これやるって決めたらすごいそれをやるっていうようなお話もあったんですけど、例えばこういうことがあったっていう何か覚えてることありますか。

いのり:小学生時代なんですけど、一輪車をこぎたいと思って。好きな子が一輪車好きな子で、それで、その子と一輪車を介して交流したいが為にめちゃくちゃ練習して。やっぱり一輪車って何となく女子の方ができる人多いんですけど、なんか男子だけど、めっちゃできるみたいな枠にはなってましたね。

toki:小学生の頃とかってどんな小学校生活を送ってらっしゃいましたか。

いのり:本当にみんなと一緒に遊ぶのが苦手っていうのがあって。なんでもうすぐ帰って、全然面白くないなと思いながら、お買い物情報とかミヤネ屋を寝っ転がりながら見るっていう生活してましたね。本当に何にも面白くなかったですね。

toki:小4のときに難病にかかられたってお話もあったじゃないですか。そこについても少しお伺いしても大丈夫ですか。

いのり:小田原に旅行しに行くっていう前日の出来事なんですけど。いきなり血便、血が出たんですよね。血が出て、親がどうしたのって慌てふためいて。何か血出たわって危うさに気づいていない小4の僕は、親の様子を見て、やばさに気づくみたいな感じで。でも半年ぐらい診断わかんなかったんですよ。
たらい回しじゃないけど、何の病気ですかね、病気なのかなみたいな感じだったんですけど、大学病院に行って検査で大腸のところまで専門で行ったら、これ潰瘍性大腸炎ですよっていう。オリックスで活躍されてる足立選手とか安倍総理とかも患っていらっしゃるんですけど。それでこのままだと20歳の頃、5年から10年後にはがんになるよって言われました。

toki:なるほど。当時はどう思ってました?潰瘍性大腸炎っていう病気になったってことに関しては。

いのり:そこまで悲しいとか思ってなかった。あんま覚えてないんですけど、でもめっちゃつらかったのは覚えてます。本当に体動かなくなっちゃうぐらい、階段とか登れないみたいなときも味わったから。でも全然僕は潰瘍性大腸炎の方では本当に超軽症の方で、本当につらい人はもっといるってわかっていながらも、でもなんでこんなつらいんだろうと思って、何に対して感情ぶつければいいのかわからないモヤモヤみたいなのは、多分心の奥底に抱えてました。

toki:なるほど、小学校のその先のことを聞いていきたいと思うんですけど、さっき小学校の頃はつまらないなって思いながら家に帰ってテレビを見ていたって話があったと思うんですけど、その後その状況に何か変化は起きたりはしたんでしょうか。

いのり:塾に通い始めたりとか、小5小6から始まる、クラブ活動でバスケットボールをやったりとか。そういうのでちょっとは楽しく暇を潰せるようになったのかなと。割と塾っていう場所が自分にとっての居場所になってたかもしれないです。

toki:なるほど。中学進学されて、中学校生活とかっていかがでしたかね。

いのり:中学校はなんかもう、何者かになりたい自分みたいなのがすごい表に出た3年間だと思っていて。中学1年の年とかはノリがすごい危なっかしいというか、すごい一部には受けるけど一部か大勢からは、あんまだよねみたいな感じになるようなことをしたがっていて。でも中学1年生のときの担任の先生がそれをすごい叱ってくれたんですよね。それで2年のときから、ちょっと冷静になったとも言えるし、ちょっと斜に構えるようになって。お前らまたやってるよみたいな感じで見るようになったんですけど、でもそういう塩梅を経て中3で自分なりの何かこういう感じかなみたいな一端は見つけてたのかなと思います。

toki:こういう感じかなっていうのは?

いのり:なんかふざけるときはふざけるけど、受験あったので受験勉強やりますみたいな。でも全て自分の快適な範囲でそれをやっていたっていうのは間違いないかな。

toki:そもそも何者かになりたいっていう欲求って、どうして出てきたんですかね。

いのり:元々多分特別でありたいって思いが結構強いんですよね。今もそうだし、多分これからもずっとそうであって。それでも別にいいかなって今思ってるんですけど。親にすごい褒められてかな、父はすごい褒めてくれるタイプだったんですよ。そういうので調子乗ったからなんですかね。なんか僕は特別なんだっていう意識が多分それで強くなったんだと思います。あとはちょっと特性的な部分もあって、ずれた発言をよく小学校の時とかしててそれをいじってもらうみたいな機会がよくあったんで、僕こんなんなのかなみたいな、多分そういうのがあったのかもしれないです。

toki:なるほど。そこから高校に進学されて、高校生活はいかがでしたか。

いのり:高校生活は、高校1年のときにバレー部に入ったんですけど、授業とかあと単純にストレス耐性めっちゃ弱い根性なしの部分が僕という人間だからこそ、部活入って休みてえと思ってさぼっていたことがすごい多かったんですね。それで先生に電話するときは毎回気まずいし、グループLINEを送るときもすごい申し訳ないというか、申し訳ないけどさぼりてえなみたいな感じで。そんな中で時々行くと、やっぱいじられたりするし、僕はできなかったりするから、そんな中で勝手に居心地の悪さを感じていじめられてるって思っちゃったんですね。それで、なんかもう喉の奥が閉まるような感覚になってしまって、やめますって言って、部活はやめました。

toki:はい。

いのり:やめる理由が多分そのときから結構外でやりたいとか、そういう気が強かったと思うんですけど。ボランティア部を立ち上げたいって言って。誰かの力になりたいっていう高校生はいるはずなのに、でもそういうのは受けで皿なくないみたいなのでボランティア部立ち上げようって言って、それを立ち上げるためにやめますって言ったんすけど、全然やんなくて。じゃあ生徒会やりますって言って、何かやりたいことをやらせてくれないような学校変えたくない?って言って、生徒会演説で感動させるだけさせておいて公約全く実現しなくて。で、コロナに入ったって感じですね。

toki:でも誰かのためになりたいとか何かをしたいっていう気持ち自体は、とりあえずはあったんですね。

いのり:気持ち自体はありました。それがすごい純度100%のものかって言われたら違うんですけど、それは少なからずあったと思います。

toki:それは高校生のときからではなくもっと前からあったものだったんですか。

いのり:どうですかね。でも僕中学2年の職業体験で病院選んでたんですよ。今改めて気づいたんすけど、やっぱり自分が持病持ってたとかおじいちゃんがめっちゃ早く亡くなっちゃったんですよ。元々じいちゃんお医者さんで、おばさんも早く亡くなっちゃって、多分そういう記憶たちが、世の中おかしくないみたいな、こんな大げさなふうには思ってなかったんですけど、そんな感覚を育んでたのかもしれないですね。

toki:コロナになったのは、高校3年とかですか。

いのり:そのときにダイヤモンド・プリンセスでしたっけ。感染者が出てって言うので1学期の後半ぐらいにね。学校が休止ですってなった。

toki:そこから大学進学はどういう考えで、どういう学校に行こうっていうふうに思われたんですか。

いのり:英語が得意だったというか、とりあえず何かとがりたいっていうか他の人と違くいたい思考からなんですけど、とりあえず海外行きたいって思ってて。日本じゃつまんなくない?みたいな、無根拠な他の人と違いたいみたいな所から英語ちょっと得意だしみたいなので、グローバル系強い学部にしようって思って。やりたいこととか絞れる自信がなかったので。何も考えてなかったです、もう本当にそれくらいです。

toki:実際大学生活1年目とかっていかがでしたか。

いのり:1年目は親が寮に入らせてくれたんですよ、国際寮に。コロナ禍だったんで海外の方はまずいなかったんですけど、でもやっぱり初めての共同生活っていうか実家暮らしから離れたし、自分のことは自分でやんなきゃいけないし、地方の人とか先輩とか今まで一緒にそこまで長い時間過ごしたことない人たちと住むっていうことをすることで、すごいストレスもかかったし、でも一方で見たいと思ってなかったけど、見てよかったなみたいなものに触れられたかなって、寮に入ったことで。

toki:例えばでいうとどんなことがありますかね。

いのり:それこそ今にめっちゃ活きてるのは歌が好きな子がいたんですよ。カラオケを親の仕送り全部使って買っちゃうような子で、Mrs. GREEN APPLEさんの曲とかも全部歌えちゃうぐらい超絶歌上手い子がいて。その子が大浴場で歌のレッスンしだすんですね、腹式呼吸はこうだみたいな。それが何だかんだで今活きてます。
おなかへこましたら高い声出るんだとかこうやったら安定するんだみたいなのは本当彼のおかげで、だから僕全然ちゃんとしたレッスンとか行ってないんですけど、いろんな出会いのおかげで、ちょっとずつ習得していってるって感じですね。本当に偶発的な出会いというか、狙ってたものじゃないので、そういう意味で何か人生は散歩的に生きてたいなって思います。

toki:そうなんですね。休学をしたのがその次の年ですか。

いのり:そうですね。なんか今のがざっと前期の話なんですけど、後期からは出会いっていうのがすごい大切だっていうのは何となく、今ほど言語化できてなかったけど、いろんな人と出会いたいとか、いろんなことやってみたいっていうのが、その寮での経験を経てすごく高まってたのでもっとそれに特化したような場所ないかなっていうので、下北沢にあった小田急さんとかが運営してる、下北カレッジっていう、住みながら学ぶっていうのをコンセプトにしている場所に引っ越したんですね。そこでの生活が意味わかんないぐらい刺激的でした。ていうか今も住んでるんすけど、めっちゃ刺激的です。

toki:一番刺激的だったことは何ですか?

いのり:なんか寮内とか寮外でイベント企画するとか、自分たちで地域の人たち巻き込むとかもあるし、まず高校生から社会人まで一緒の場所に住んでるんですよ。なんで割と名の知れている企業さんで働いてる人たちの中で間抜けな部分とかも見れるし。高校生のときにこんなこと迷ってたわとかとか、私大学生なのに何かプロジェクト推進してんのとか。日常の中で、今まで出会ったことのない人たちと長く深く関われるっていうのが、ここ分かりやすいエピソードじゃないんですけど、やっぱそれがでかいですね。
わかりやすいっていうと何だろう。これは本当に何個もあるんですけど、1個はサウナ施設を立ち上げるっていって、クラウドファンディングとか工事のところからとか、設計とかブランディングとかも全部学生なのにやって実現させた人がいて。この人の姿勢とかにはすごいずっと刺激をもらってました。めっちゃ喋るわけじゃなかったんですけどかっこいいなって見てました。

toki:ありがとうございます。そろそろ過去パート終わりになるんですけど、何か過去についてこれは話しておきたかったっていうことがもしあれば、教えていただきたいんですけど、いかがですか。

いのり:僕まだ高校大学の話なんですけど、双極性障害とか自分の思い込みとかいろんな理由があって本当にもう、死んじゃえとかもう消えてしまえばいいのに、自分なんてって思ったこと何回も何回もあって。
でも周りの人たちが踏みとどまらせてくれたりとか、何だかんだで生きる喜びみたいなのをすごい幸せなことに味あわせていただいてきたからギリギリのところで何回も踏みとどまってたんですね。

toki:はい。

いのり:やっと最近なんですけど、この生き方でなら別にお金とかめっちゃ稼がなくてもいいし、ってかこの自分の生き方を追求してたら多分お金とかもついてくるんだろうなみたいな感覚になってる。つらいときに意外と何とかなるよって言われることほどつらいことはないと思うんですけど。でも、誰か記事を見たときにメッセージは何も言えないんだけども、何も言えないからこういう人もいるよっていうのだけでも見ておいてほしいです。
僕がまだこの無名人インタビューに参加させていただく無名人で、でも何となく僕の場合は、結果として有名になれたらすごいいろんな人にエネルギーを与えられる、何かそういう傲慢な話ですけど、かなと思ってるので、僕がもう本当に死にたいってところから、有名なところまでになったら意外といけるんだって思える人もいるかもしれないんで。なんでちょっとでも気になったら、僕が有名になるまで待っててほしいです。

未来:僕は愛する人になりたいなと、ならなきゃいけないなって思ってます。

toki : 最後にですね、未来のことについてお伺いしていきたいと思うんですけど。1年後とか2年後とか5年後10年後、何年後でも、構わないんですけど、こういうことをやりたいとか、こういうふうになりたいとかっていう未来についてのイメージって何かお持ちですか。

いのり:そうですね。まず1年後には1000万人フォロワーいってます。今海外とかはもうロシアとか中国、アメリカとかインドネシアとかも全部に向けて発信しようっていうので細々となんですけど今やってて。まずは日本の皆と友達からかなっていうのでやってて、まず1ヶ月以内に1万いってます。で、そっから二次関数的に今年1年以内に1000万いって、それで25歳には奨学金作ります。なんで、でかいことなんですけど、でもマジでやるのでそれは見ててもらえたら嬉しいですね。

toki:そうやってフォロワー1000万人で25歳になって奨学金を作ったその先のゴールって何になるんですかね。

いのり:本当抽象的なんですけど、まず隣の人目の前の人と一緒に笑ったり苦しんだり、泣いたり、でも何だかんだでうちらいい感じだわと思えるような人生を送るっていうのと、あとは得たお金とか認知度みたいなもので、それをうまくちゃんと使って、頑張ってる人に向かって応援をしたりだとか。でもなんとなく思ってるのは一旦25歳ぐらいまでにもう表舞台から去ろうと思ってて。そこからはもうフラフラとどっかで生きて、よくわからんけどなんかいい感じのおじいちゃんみたいな感じになれたらいいなと思ってたりします。

toki:なるほど、25歳で表舞台からは退く。

いのり:なんかファミレスとかで出会ったおじいちゃんが実は超有名なアーティストだったとかって、すごいおもろいと思うんでそれをやりたいですね。実はすげえやつだったよとか、これやりてぇんだって言ったら急にめっちゃ金銭的な補助が来たよとか、自分が面白がれることでかつ誰かのためにもちゃんとなるようなことを何かひっそりとやってたいですね。

toki:10年後とか20年後、30歳とか40歳になった頃はどこで、どんなことしてたらいいなと思いますか。

いのり:好きな人と一緒にいたいですね。好きな人と一緒にいて、いつ死んでもいいわって思いながら、1日1日美味しいご飯食べて、よく寝て、旅行へってなったらその好きな人と一緒に行ってとか。どこにでもいるかもしれないしどこにもいないかもしんないです。宇宙の彼方にいるかもしれない。インド洋のど真ん中にいるかもしれないです。でも、自分と目の前の人を大切にして、みんなの幸せを祈り続ける。そんな日々を過ごしていたらどんな経済的な状況とか、どんな生活環境でも僕は幸せなんじゃないかなと思ってます。

toki:死ぬまでにこれはやっておきたいとか、これをやらないと死ねないなって思うことってありますか。

いのり:すごい具体的なのはないかな。いやでも僕の世代までで、ある程度資本主義と共産主義とか、効率と非効率とか、そこら辺がもう今どっちかに極端になってる国とか思想が多いと思ってて。お金稼ぐことも大切だし、でもお金稼がないでみんなでシェアしようよっていうのも大切だしっていうので、何かそこのチューニングをしていく時代だと思うんですよね僕は。それが最近のシェアリングエコノミーとかクラウドファンディングとかベーシックインカムとか、そういうちょっと出始めてる用語というか物事の理由だと思うんですけど、それをもっと推進させたいですね。文化的にも推進させたいし、もうちょっと経済規模的にもというか、実利的にも広めて、ひとまずこれで次のバトン渡せるかなっていう状態にはしたいですね。まだ具体的ではないですけど。

toki:ありがとうございます。いのりさんは、周りの人からはどういう人だねって言われることが多いですか。

いのり:ゆるっとしてるとかですかね。ふわっとしてるとか、でも意外と考えてるとか。精神的に不安定とかですかね。多分また崩れるときが来ると思うんですよ、全然。今サイヤ人になったつもりは全然なくて、ただ今楽しいだけだと思うんで。また調子悪くなったら自分のペースで生きてそれでまたやれるときに全開でやればいいかなって思ってます。

toki:自分では自分のことをどういう人間だと思いますか。

いのり:今の自分で言うと、何だかんだを乗り越えて、いやでもどんな自分か。愛を体現したい人です。

toki:愛を体現したい人。

いのり:ちゃんと愛したい人です。それは人でも物でもことでも、自分もそうだし。エーリッヒフロムの『愛するということ』っていう本が大好きなんですけど、恋とかで言うと「恋に落ちる」とか言うじゃないですか。理屈じゃなくて感覚的なものだみたいな。でもそれってやっぱり一時的なものでしかないしかわいいなって思う部分しか見れないとか、かっこいいなっていう部分しか見えなくてそうじゃない部分を見て幻滅するみたいな。恋愛で言うとそういうことが往々にしてあると思うんですけど。
そういうのじゃなくても違うところはもう絶対あるって。人でも仕事でもう苦手だったり嫌いだったり合わないところがあるっていうのをわかった上で。それでもそれを全部丸ごと抱きしめてあなたのことを愛しますとか、この仕事を本気でやりますとか、そういうのをちゃんと言えて、実践できる人になりたいなと思っていて。
なのでもう日々修練を重ねて、少しでも真摯に向き合えるように、愛せるようになりたいなって思ってます。

toki:何かそうやって、自分だけじゃなくて他の人のことも受け入れるとか、愛したいとか、そういうふうに思えるのってどうしてなんですかね。その愛はどこからやってくるのかなと思って。

いのり:これも愛着障害とかの話も通ずるんすけど、なんか赤ちゃんが小さな頃に抱っこされて、いい子いい子と褒められたかとか、そういう話になるんですけど。
結局愛することができる人って愛された人って、十分な愛を受け取った人でしかないと思っていて。なんで僕が愛したいとか言えるのは、親がわかりやすく、いろんな援助してくれて、時にはすごく煩わしいものもあったけれど、愛そうとしてくれて。じっくりと水やりをしてくれて、いろんな出会いの中で、いのりおもろいねって言ってくれる人とか応援してるよって言ってくれる人とか。そこはふんばらないとってちょっと叱りの言葉をくれる人とか、今住んでる寮とか、幼稚園、小中高大もう全部ですね。通りすがりで出会った人たちとかからもそうだと思うんですけど、いろんな形の愛をいろんな人とか物からもらえたから、今僕は、その愛をちゃんと還元する、というか、僕は愛する人になりたいなと、ならなきゃいけないなって思ってます。

toki:なるほど。個人的な考えですけど、そういうふうに人から愛をもらっても、それこそ特に親からの愛情とか、「愛を注がれている」っていうこと自体、気付けないって人もいると思うんですよね、自分に向けられている愛を自覚できるのは、普通のことではないなと思いましたね。

いのり:でも全然僕が親孝行してるかって言われたら全然そんなことはないんすけどね。やっぱり自分が入った寮の中で、言い方正しいかわかんないですけど、すごい人としての深みがあるような方たち、自分のためでもありながら、他の人のためみたいなことを全力でできる人たちであって、自分もこうなりたいって思って。そういう人たちってやっぱりいろんなこととかものとか、親をはじめ感謝してるなって思った。だからそれを真似しようっていうところから始まったかもしれないです。

toki:ありがとうございます。
毎回、皆さんに「もしもの未来」について質問しているんですけれども。
もしもいのりさんが、自分が愛されているっていうことを知らずにここまで育ってきたとしたら、今の人生ってどんなものになっていたと思いますか。

いのり:生きてないんじゃないすかね。もう愛されるってことを知らずにですよね。

toki:はい。

いのり:もうどっかでぱったりいっちゃってると思います。それか精神的に死んだように生きているか、どっちかですね。なので本当に僕のこの考えを誰かに押し付けるつもりはないけど、僕は人に生かされているというか、本当に出会いによって出来上がっているってことを忘れないでいたいなって思います。これから何かを成し遂げたみたいになったとしても、そこはちゃんと忘れないでいたいと思います。

toki:もし今、死んだように生きてる自分に出会ったとしたら、どんな言葉をかけます?

いのり:言葉はかけらんないです、多分。ハグします。ハグするか、一緒に昔ながらの定食屋さんとか行って、ご飯食います。無言でもいいです。一緒に食べて、僕が何か言い出したら聞きます。何か僕にできそうなことがあったらやります。そんな感じですかね。

toki:ありがとうございます。そろそろ1時間経つんですけど、最後に何か言い残したことだったり、もっと話したかったところなどありますか。

いのり:僕のアカウントフォローしてもらいたいです。
あともし難しかったら全然大丈夫なんですけど、アーティスト向けのクラウドファンディングサービスで、一、二週間後ぐらいに資金調達立ち上げる予定で、それ載っけてもらうことってできますか。

toki:大丈夫ですよ。

いのり:最後に言い残したこと、じゃあこれだけ言います。応援してもらえたら嬉しいっていうのももちろんそうなんですけど。
僕の好きな映画で、「生きてるだけで愛」っていうのがあるんですよ。それは双極性障害を患っている彼女さんと文春みたいなゴシップ誌で働いている彼氏さんのいろいろなギクシャクだとか、ちょっと悶々とした日々みたいなのを描いてるものですけど。めっちゃ彼女さん態度悪いんですよ。態度悪いし彼氏にも当たるし、コンビニ弁当で好きなもの買ってこなかっただけでぶちぎれるんですね。
そんな彼女さんなんですけど、双極性障害のすごいハイなときに、彼女さんがいきなり服脱ぎ出して意味わかんないダンスとかするんですよ。これネタバレなんですけど、それが彼氏さんにとってはなぜかすごく美しいものに見えて、それが見たくて僕は付き合ってるみたいなことを最後に言うんですね。

で、僕が何を言いたいかっていうと、自分がこれ良かれと思っていることとかその人のためにって思ってないことでも、ただ生きてるだけで存在してるだけ誰かの力になってるっていうことは全然ある。場の景色になっているとか、僕なんて、私なんてって思うかもしれないけど、本当に存在だけで十分誰かのためになってるっていうことは、思うのは難しいですけど、一つの言葉として脳みそのかたすみに残してもらえたらすごい嬉しいです。僕はそれをもっとみんなが思えるように、歌うし踊るし、ビジネスもします。なので、気になった方がいたら、応援してもらいたいです。てか友達になりたいです。ですかね、以上です。

toki:ありがとうございました。

いのり:ありがとうございました!

あとがき

海外の映画やドラマで、家族や友達と電話するシーンとかってあるじゃないですか。
彼らって、必ずといっていいほど、電話を切る前に「I Love You」という言葉を残しますよね。
会話の内容が、お父さんが倒れたんだというような重大なものだったとしても、反対に、スーパーであれ買ってきて欲しいんだよねみたいな軽いものだったとしても。

最近テレビか何かで知ったことですが、韓国でも「サランへ(愛してる)」という言葉を、家族や友人と軽い挨拶のような感覚でよく使うそうです。

ということを知った時にですね、日本にはそれに相当するものがそういえばないよなあと思ったんですよね。
私はあなたのことを大切に思っているよ、受け入れているよ、という気持ちを、気軽に伝えられる言葉が見当たらないなと。
相当するものがないどころか、「愛してる」って言葉を口にすることは、きっと多くの人にとってはかなりハードルの高いことなのではないかとさえ思います。

愛とか平和だとか、私たちはそれがとても大切なものであると知っているのに、口にした瞬間にとてつもなく大きなものを背負わなければいけないような気がしてしまって、それについて伝えたり、発信したりすることがなかなかできなかったりします。自戒をこめて。

そんな中で、自分がこれまで受け取ってきた愛をまず自覚して、それを他の人にも伝播させていこう、今度は自分が愛する側になろうと、言い切ることができるいのりさんの心意気が、とてもいいなと思いました。

ご自身の過去や、発達上の特性についても、それを自分という人間を構成する一部、個性の一つとして捉えていらっしゃることが、言葉の節々から伝わってきて、あらゆる葛藤や苦悩を経たからこそ、自分を愛することについても、長けている人なんだなという印象を抱きました。

自分が日々、周りの人にどれだけ愛を注いでもらっているのか、逆に自分は、愛を伝えられているだろうかということを振り返るきっかけをいただいた気がします。
いのりさん、ありがとうございました!

最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。
次回の無名人インタビューも、どうぞお楽しみに!

【インタビュー・あとがき:toki】

【文字起こし:komima】

【編集:のの】

#無名人インタビュー #インタビュー #自己紹介 #大学生 #双極性障害 #潰瘍性大腸炎

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