【小説】真神奇譚 第二十一話
「そうこうする内、銀蔵はピタリと外の世界に出かけなくなった。大人達はやれやれようやく我らの長の腰も据わったかと噂しておったが、どうも様子がおかしいことに気が付いた。頻繁に一人で村外れの洞窟に入る姿を見るようになったのよ。ある日村の若い衆が銀蔵がいない時を見計らってこっそりとその洞窟を覗いてみると、なんと犬と赤ん坊がおったのだ。もちろん村は大騒ぎになった。なにせ頻繁に外に出かけるのも問題なのに、
外の者を隠れ里に入れしかもそれが犬なのだから。ましてや子まで居るとは。村の者が