とんでもスキルで異世界放浪メシ

「とんでもスキルで異世界放浪メシ」
江口連・オーバーラップノベルス
※コミック版も出ています
※まだまだ続いてます
---
いわゆる「なろう小説」作品。これねえ、好きなんですよ。
https://ncode.syosetu.com/n2710db/

ジャンルとしては「異世界もの」＆「グルメもの」…なのかな。違う世界にあらゆる事情でとばされてしまった主人公が、もとの世界の知見や新たに得た便利なスキルを元手に、新しい世界で人生を構築していく話…で伝わるかしら…

本作品の主人公はサラリーマンの「ムコーダ」さん。本来呼ばれる予定だった人たちの近くにたまたまいただけで巻き込まれてしまった、という流れで異世界に飛んでしまい、そのまま元の世界に帰れなくなってしまった…と、設定だけ見ればなかなかシビアな状況なのですが、全体的な「まあいいか」感が読んでいてそこを気にさせません。好きなゆるさです。

世界を移動した際にムコーダさんが得た能力は「ネットスーパー」。なんとも現代的なスキルかつ、便利極まりない良い設定かと思います。そういう意味で実にイマドキな作品じゃないでしょうか。
わたしはネットスーパーは利用したことないですが、amazonさんだの楽天さんだのその他様々な専門店の通販だのは大好きですし、現代人にはすっかり身近かつ便利なシステムがファンタジー世界に混ざると「いいなぁ」につながるのは面白い効果かと思います。
もともと一人暮らしをしていて自炊も嫌いじゃなかったムコーダさん、最初は節約目的もあってカジュアル料理を披露していたら、ネットスーパー食材には思わぬ効果もあり…など、便利なだけじゃなかった「スキル」で大活躍！…かと思いきや、この食材効果、意外とスポットがあたらないという…だがそこも適当でイイ…

当初はネットスーパーで得た品の地味な売買で小銭を稼いで旅を続ける、みたいな話かと思ってましたけれど（実際そういうシーンが冒頭にありましたけれど）、一転、「異様に強い魔物が仲間になっちゃった」ところからムコーダさん無双が始まりまして、「友達に飯作ってたらなんかそのまま金持ちになっちゃった」みたいな話になりました。いい。便利。この簡単さが大変好みです。
何しても金と評価を得られる流れになってしまった感もありますけれど、一度うまくいくとわりとそんなもんだよなあ、とも思うしね。

ムコーダさんに目的らしい目的があまり無いところもいいし、深刻な事態に陥らないところも安心して読めるし、飯も三食かつ大量で作るの大変とは思いつつも、わかりやすく「肉おいしい」で終始してるところもいいし、金にも病気にも困らないし、味付けだのもスーパーで買った市販のタレやらで楽ちんなのもちょうどいいし。休みの日に気軽に読むのにものすごく丁度いいんですよね。
なによりこの作品読んでると、自分もちょっとは自炊しようかな、おいしいごはん食べたいな、て気持ちになるんですよね。料理や自炊にめんどくささが強いひとは、もっと簡単に「いろいろやってみようかな」て気になれてそこも良いと思います。

思いの外規模が大きくなってしまった本編ですが、このままゆるゆる続くのも嬉しい気長作品かと思います。これから巨悪とか出てきたりしちゃうんだろうか…？
ぜひみなさんご一緒にリアタイで楽しめたらと思います。