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のぼうの城

のぼうの城
和田竜・小学館
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映画
監督・犬童一心、樋口真嗣/主演・野村萬斎
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一つ前の投稿で話題に出したら我慢できんかった…のぼうの城ねえ、面白いですよねえ…大好きなんだこれ。えっ観てない?映画見て!!本も読んで!多分映画の方が面白さが分かりやすい気がする!でも本は細かいところの流れがよく分かる!好きな方を摂取して!

わたしはもちろん本も映画も拝見しましたよ。本、当時単行本が出てわりとすぐ買ったぞ。文庫だと3冊に分かれてるのか…そんなにボリュームあったっけ?って思ったら、3巻は映画の脚本か。なるほど映画はいろんな賞も取ったもんな。
ああーーでもこれはオノ・ナツメさんの三成見たさに分冊の方を買いたくなっちゃうなーーー。この作品の表紙にオノ・ナツメさん抜擢した人天才だよ。この色数少ない横顔ってのがまたいい表紙だよねぇーーーー

実はわたくし、この作品の舞台の「埼玉県行田市」に20年以上も住んでいたんですよ。いまはもう出ちゃったんですけれど、小学校6年生から、えーと…38ぐらいまでかな…25~26年か。わあ、結構長くいたな…
しかも古墳に歩いて行けちゃうところに住んでたんでね、遠足で行ったあそこでまさか石田三成が陣張ってたなんて思わないじゃないですか。
いや石田三成て名前をちゃんと覚えたのって大人になってしかもしばらくしてからですけれど。初めて知った時は
「ええっ…こんな田舎にそんな有名な人が…?」
てそれはもう驚いたものです。

時は戦国。豊臣秀吉が天下統一にリーチをかけたあたりで、関東を攻め落とせーって細かい城攻めてたうちの、小田原城の支城が行田の忍城(おし-じょう)だったんですね。石田三成は豊臣秀吉に命じられて、大谷吉継と一緒に忍城を落としにやってきた、と、そんな発端です。遠路はるばるお疲れ様ですね。
で、忍城側も最初は降伏しようとしてたんだけれど、石田側の振る舞いに我慢のならなかった成田長親は選択肢「戦」をチョイスしちゃいまして、忍城攻防戦が開始するのです。
本作品はその攻防の一部始終からその後までを非常に上質なエンタテインメントに整え上げた傑作ですよ。

史実にネタバレも何もないんでおおまかに書きますと、豊臣秀吉は天下統一を果たしたんで、結果としては忍城は落ちてるんです。ただこれ、親の小田原城が降伏しちゃったから降伏せざるをえなかったてだけで、忍城単体では持ちこたえてたんですよ。関東あたりでは豊臣に負けてない唯一の城だったんですって。どうよすごいでしょう忍城は。農民合わせての3,000名VS本職の軍兵23,000名で負けなかったんですよ!
行田に観光など行かれますと、「浮城(うきしろ)」て文字が結構あちこちに見えるんですね。これ、三成に水攻めされたんだけど、立地や土地の特性もあって本丸は沈まずに、城が水に浮いて見えたってところからついたあだ名なんだそうですよ。なにそれかっこいい。

実際はどの程度どんなんだったかはわからないんですけれど、作品内での主人公「成田長親(野村萬斎)」は、でくのぼう略して「のぼう」て領地の農民に言われるぐらい「親しみのある」人物として描かれています。まわりの誰からも
「大丈夫かアレ…」
て言われるような人物がまさかの戦を選択したってんで、どんだけ反発受けるのかと思いきや、農民が
「俺たちがあいつのこと助けてやらねえとな」
って言って戦を受け入れるんですよね。ぐっとくるよねえ。
しかも長親、最初は「城代」なの。途中でお父さんが死んじゃったから意図せずその場のトップになっちゃったの。設定がもう面白すぎるでしょう。

このまま書き連ねてしまうと面白いところ全部半端に紹介することになっちゃうんであとは各人で映画観たり本読んだりしていただくとして、主役の野村萬斎はもちろんですが、脇を固める佐藤浩市にぐっさん(山口智充)に成宮寛貴、上地雄輔、山田孝之、ちっちゃい頃の芦田愛菜ちゃんも出てるよ!顔ぶれ豪華~~!しかも役と役者が非常にマッチしてる配置ばかりです。頭の中でどの人が何の人、などが混ざることもないし、そこも大変見やすくて良い映画ですね。キャラが立ってないと「ん?この人なんの人だっけ?」てなって、地味に映画への集中が削がれちゃいますから。
監督もお二人いらっしゃいますけれど、樋口真嗣さんはシン・ゴジラでもその手腕を存分に発揮された特撮の名手でして、水攻めシーンなどは迫力の一言です。いやーダブル監督いいですね…犬童一心監督は「引っ越し大名」の監督もされてますね。偶然とはいえリンクしてるな時代物!引っ越し大名もあとで見るからな!待ってろよ!!

戦国ものて信長!秀吉!家康!って三大と、その周辺の有名所がメインになることが多いじゃないですか。教科書だとかに載ってるのも当たり前ですが有名な戦ばっかりですからね。そんな中でこの作品は成田長親という支城のしかも代理の主の話しが後世の面々の抜群の手腕で形になって、見事に面白いものが出来たっていう、そんなところも「好き…!」が増す要素かなと思ってます。わたしもね、漫画とか描いてたからね、そういうのにすごく滾っちゃうって言いますか!
言うても本作も秀吉とか三成が出てるんで、そこまでド・マイナーな話しってわけでもないかもしれませんが、三成の負け戦と言えば!?て話題になったら、ほぼ満場一致で「大阪夏の陣」だと思うんですよ。彼にはもっと前にこんな見事な負け戦があったんですよ!ぜひ知っておいていただきたい!

戦国ものはゲームだのでも題材になることも多いですし、大河ドラマやら映画やら戦国鍋やらで「全然全くわからない…」て人は最近では少ない題材かなとは思うのですが、予備知識は無いよりはあったほうがやっぱり楽しめるではあります。なので、本作をより楽しみたい方は豊臣秀吉と石田三成と、もうちょっと頑張れそうなら大谷吉継あたりの予備知識だけちょっとは入れておくといいかもしれないです。成田家まわりはねえ、全然知らなくて大丈夫。むしろ知らないほうが
「こ、こんな全然知らないやつがすげえじゃん!」
っていう面白がり方が出来て良いんじゃないでしょうか。

戦国時代は農民で出来てるぞ、てのも感じることが出来る良作、ぜひぜひ楽しんでみてください。

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