読書ノオト 神の子どもたちはみな踊る / 村上春樹

本を読むのが好きで、それだけでは飽き足らず、時々、書評のような物を書くことがあります。

地震の後で、と言うテーマで書かれた村上作品。震災の後に、読まれる、あるいは読み返されることが多いという、風の歌(ウワサ?)を聞くことがあります。


過去に書いた書評のような物ですが、読書ノオトとして投稿したいと思います。


しっかりとした結末がある、村上作品はいかがですか?

神の子どもたちはみな踊る

作品概要


収録されているのは6編の短編小説。
最近の村上作品と同様、「喪失感のようなもの」がテーマです。今までの小説と違うところは、主人公が抱えているトラウマがはっきりしていて、それが原因で失ってしまったものもほぼしっかり書かれています。一番安心できるのは、短い作品の中で、それぞれの答えや結末、方向が示されていることにあります。

過去の作品との相違

長編小説だけれども、事件らしい事件がおこらない、かつ解決策も示されていなかった、「ねじまき鳥クロニクル」や「スプートニクの恋人」を読んで、村上作品に対して釈然としない気分のままでいる人も多かったはず。この短編集なら安心感、大ありです。

個々の作品について

以下、個人的に好きなものをいくつか紹介します。

・表題作「神の子どもたちはみな踊る」

白い月の光を浴びてピッチャーズ・マウンドで踊る善也のすがたが目に浮かびます。実写の映画では難しいかもしれないけれど、アニメでそのシルエットを表現したらかっこいいんじゃないかと思います。

・「かえるくん、東京を救う」

あなたのような人に声援してほしい、そんなふうにかえるくんに言われたら、うだつのあがらない銀行員・片桐じゃなくたって、一肌脱ぎたくなるでしょう。

がんばっているのに報われない、そんなときにはこれを読むと元気が出てきます。

東京大震災を食い止めるためにかえるくんと片桐が立ち上がる物語。芥川龍之介の「河童」を思い起こさせる作品です。

・書籍の最後を飾る「蜂蜜パイ」

この作品、「ノルウェイの森」に対するアンサー・ソングだと私は思うのだけれど、皆さんはどう思いますか。学生時代からの三角関係がハッピーエンドになる物語。

終わりにこれからの村上作品でもこのような味わいが感じられるのか、ちょっと楽しみです。


後書き

以下のNoteを更新しました。

更新理由
・当時の前書きをほぼ削除して、読みやすくした。
・#読書ノオトの追加
・本文の内容は、そのままです。



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