同僚は年上彼氏と同棲して犬も飼っているのに、私はうつ病で生活保護水準で生きながらえているー持つ者と持たざる者ー
私は前職をうつ病を理由に辞めている。ハンデを持ちながら働く人に優しくない会社だったからだ。
でも人間関係はとても良好で、できるなら辞めたくなかった。最終出社日は泣きながら退社したし、退職後も送別会を開いてくれた。
でも正直言うと、苦手な人がいた。
別に嫌なことをされたわけじゃない。一方的に苦手な人がいた。ちゃんと言うと苦手でもないし、嫌いでもない。そこそこ仲良くやっていたけれど、でも、心がざわざわする相手だった。
中途入社のKちゃん
Kちゃんは私が新卒で入社して半年後くらいに中途で入ってきた。
Kちゃんの前職はプログラマーとは全く違う専門職だったけど、入社前にIT系の専門学校に入って勉強したらしく、聞いた感じ優秀そうだった。
Kちゃんは私と同じチームに配属された。
Kちゃんは明るくて人懐っこい、人に好かれる性格の子だった。
年上の彼氏と同棲していて、広いマンションに住んでいた。
Kちゃんは臆せず質問するし、私が任されたことのない仕事をどんどん任された。
Kちゃんは上司と仲が良くて、よく雑談していた。私が上司と話すのは2、3か月に1回だった。
Kちゃんがいるなら、私はこのチームにいらないなと思った。
一緒に働くのが辛い
Kちゃんと私は何もかもが違った。
いろんな仕事を任されるKちゃんと、大した仕事もできない私。
わからなくてもいろいろ質問して意欲的に仕事をこなすKちゃんと、わからないことが何かもわからない私。
明るくて可愛らしいKちゃんと、無口で友達の少ない私。
男性に選ばれるKちゃんと、誰にも選ばれない私。
帰る場所のあるKちゃんと、1人で生きている私。
家族と仲のいいKちゃんと、家庭崩壊している私。
Kちゃんは多分、体を壊したら彼氏さんが助けてくれるんだろう。でも私は助けてくれる家族もいない。福祉しか頼れない。
Kちゃんは働いて、彼氏のマンションで、彼氏とペットの犬と一緒に暮らしている。
私は生きるために働いて、働くために生きる。来月の生活費を支払うために生きる。
持つ者と持たざるものだった。
KちゃんだってKちゃんの辛いことがあるだろうけれど、ざわざわせずにはいられなかった。
人を羨む私。醜い私。汚い私。嫌いな私。
Kちゃんと一緒にいると、Kちゃん越しにそんな自分をずっと見せつけられていて、辛かった。
Kちゃんと一緒にいたくなかった。
なんであたし生きているんだろう。
Kちゃんがいなくなって
退職して、あのざわざわした気持ちを味わうことはなくなった。
今の会社はフルリモートで、お互いの顔も知らないまま働いている。
お互いのパーソナリティを知らないまま働くのは、案外気が楽だった。
私がうつになってしまったのは、自分の劣等感に勝てなかったからかもしれない。
そう考えると恥ずかしくて、弱い人間だなと思うけれど、あの時は劣等感に飲み込まれて、そんな風に俯瞰して見ることはできなかった。
あんなに辞めたくなかった前職の人たちとは、送別会以来、連絡を取っていない。
ごめんねKちゃん。ごめん。
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鞍馬欄子(くらまらんこ)
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