見出し画像

美術館内でパフェ


「おうちで、見て、食べる、パフェ」

第12回目として、紹介したいのは、

LE MUSEE DE H KANAZAWA(ル ミュゼ ドゥ アッシュ カナザワ)」さんである。




「モンサンクレール」。


一度は聞いたことがないだろうか?


そう、有名パティシエ、辻口博啓シェフが立ち上げたパティスリーである。


今、日本で最も有名なパティシエなのではないか、

と思えるほど活躍している辻口シェフ。


出身は石川県である。


地元を愛する彼は、

能登の地元天然素材にこだわったスイーツを提供しようと、

金沢市内にカフェをオープンさせたのである。

それがここ「LE MUSEE DE H KANAZAWA」さんだ。


しかも、石川県立美術館内にあるというところが驚きだ。


わたしは、日本文学の研究員を勤めていた関係で、

日本各地のフィールドワークをしてきた。(以下記事参照↓)



今回、金沢での文献調査のご褒美に、

念願の「ル ミュゼ ドゥ アッシュ」さんへ直行したのだった。


店内に案内されるとすぐ目に入るショウケース。

色とりどりの美しいパティスリーたちが並ぶ。


その鮮やかさを際立たせるかのように、

店内は黒ベースで落ち着いた雰囲気が漂う。


と、思いきや、歩みを進めるとガラス張りの向こうには

みどりいっぱいの庭園が広がっている。


この空間すらも芸術なのではないかと思わせた。


さて、注文したのは、「パルフェシュペール」。



「う、うつくしい・・・。」

運ばれてきた瞬間、ひとこと漏れ出てしまった。


すべての素材が均衡を保って、あでやかに輝いている。


鮮やかなマカロンやメレンゲや飴細工は、

さすがパティスリーのプライドだろうか。

見た目だけでなく、おいしい。


全体を通して、なによりおどろいたのは、

果実のうまみがよく活きていることだった。


そこには多くの工夫があったのだ。


まずは、「桃」。

完熟した桃をそのままカットして、

瑞々しい食感を楽しませると思いきや、

コンポートにして甘さをさらに引き出したり、

ジュレとして爽やかさをプラスしているのである。


「桃」ひとつとっても、自由自在に変化するのだ。


さらに、「いちご」。

桃の主張が激しいなか、食べ進めていくと、

ほどよい酸味と甘みのあるジェルに出逢った。

能登のブランドいちご「五郎の恋人」を使用しているという。


おいしい。


辻口劇場は止まらない。


写真を見ていただければわかるように、

右下に小さな小瓶がついている。


なんとこれは、キウイソースなのだ。


これをかけることで、さっぱりとした味わいに変化する。


読んでいるあなたは、なんだか味の想像がつかないし、

全体がちぐはぐしているように感じるかもしれない。

しかし、それはまったくの誤解だ。

おそらく、このパフェはすべて計算つくされている。


甘み、酸味、食感、風味、薫り・・・

果実に対してパティシエができることを

可能な限り追求している。そう感じた。



この内容で864円だ。



さすが、美術館内というだけあって静けさはあるが、


わたしの脳内では大喝采スタンディングオベーションが起こっていた。




パフェ、


あなたは


どこまで可能性を広げてくれるんだ。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?