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消費者安全調査委員会により『消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書』が公開されました

2020年6月、消費者安全調査委員会が、2019年8月に遊園地(「としまえん」)で発生した遊戯施設における児童の溺水事故をうけて、事故の原因調査結果を記した『消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書-水上設置遊具による溺水事故―』を公開しました。

報告書には、具体的な調査内容、そして調査によってわかった下記のような現状の課題や再発防止策が提示されています。(さらに詳しい情報を知りたい方は、報告書の概要、本文をご覧ください)

『消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書-水上設置遊具による溺水事故―』
概要:https://www.caa.go.jp/policies/council/csic/report/report_018/assets/report_018_200619_0001.pdf
本文:https://www.caa.go.jp/policies/council/csic/report/report_018/assets/report_018_200619_0002.pdf


溺水事故の再発防止を目的として、本件事故の関係事業者への聴取、遊戯施設の運用事業者へのアンケート調査、落水実験や遊具揺動実験など複数の実験を行い、遊具の危険源や安全性を調査。調査結果として抽出された課題と再発防止策は下記になります。

【課題】

●ライフジャケットを着用した状態で遊具から落水した場合、浮上する際に遊具の下に潜り込むことがある事実を複数回確認。
●ほとんどの遊戯施設が利用者にライフジャケットの着用を求めているが、危険情報及び安全管理状況についての調査では、遊具から落水する利用者が多いとの回答。
●全ての遊戯施設が監視員を配置して運用しているが、1人の監視員が監視する利用者の人数は2人から33人まで、遊戯施設によってばらつきが大きい。
●遊具からの落水等により遊具下に入り、溺水事故が発生した場合、被害が大きく、重大事故に至る可能性が高い。
●近年は、同様な遊戯施設の設置数が増加しているため、今後の事故発生頻度も増加する可能性が考えられる。遊具による溺水事故のリスク低減が必要な状況。
●サービス事業として提供される遊具及び遊戯施設の安全基準については、特に定められたものがなく、当該サービス事業者及び遊具の製造事業者等に委ねられ、遊具で構成された遊戯施設をサービスとして提供する事業を一律に管理監督する所管省庁も定まっていない現状がある。

【応急的な再発防止策】

●遊戯施設での遊び方として、落とし合う行為及び遊具の端から水中を覗き込むことを禁止とし、意図せず落水した場合には、遊具から離れることを徹底する。
●落水した利用者が浮上して遊具から離れたことを見届ける監視体制を維持するために、定員管理の設定又は見直し、監視要員数の見直し及び適切な配置を行う。また、遊具下に利用者がいないこと確認するための水中巡視点検方法(水中監視カメラシステム、水中ドローンの活用等)を検討する。
●身長及び年齢等の利用者制限、保護者同伴を条件として利用を認める場合の子供の人数制限についての設定又は見直しを行う。
●ライフジャケットを着用した利用者が落水した場合に慌てることがないように、利用前に落水体験及び浮力体験を行う。
●事故対応での救助活動に際しては本報告書(別紙1)に示す浮力抵抗実験の結果を踏まえ、ライフジャケットを着用した被災者を引き下げて遊具下面から離した状態で複数の者により救助することを監視員に周知する。
●遊具をプールに設置する遊戯施設の場合は、本報告書(別紙1)の「再発防止策」に示す付加保護方策の実施を検討する。


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コロナ禍で水辺にでかける機会が減るに伴い、水辺の安全について学ぶ機会も少なくなることが懸念されつつある今日。こうした調査でわかった課題や再発防止策を各関係者が共有し、対策に取り組んでいくことがますます重要になってくるのではないでしょうか。今回の報告書がより多くの方に活用されていくことが望まれます。