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「体験を通して、川と人をつなぎたい」。ライフジャケット・レンタルステーションを開設した「ひみラボ水族館」 の未来へのビジョン

2022年10月26日、富山県氷見市にある「ひみラボ水族館」に、ライフジャケット・レンタルステーションが開設されました。これは、氷見市が子ども達を水辺の事故から守るために実施した取り組みです。今回は、「ひみラボ水族館」でステーションの管理を担当している、氷見市教育委員会事務局 文化振興課・ひみラボ 主査(学芸員)・理学博士の西尾正輝さんに、ライフジャケットの寄贈を受けた経緯と、開設したステーションの状況、そして氷見市における水辺の安全活動の状況についてお話を伺いました。

(プロフィール)

西尾正輝
氷見市教育委員会事務局 文化振興課・ひみラボ 主査(学芸員)・理学博士。全国でも3か所の川にしか生息しない国の天然記念物イタセンパラの研究を行う傍ら、地域の子ども達に水辺の体験を通して自然の大切さを学んでもらう河川教育を推進している。

ステーション設置に適した、河川教育も行える研究機関でもある水族館

―最初に、「ひみラボ水族館」について教えてください。

当館は、2011年3月末に閉校となった氷見市立仏生寺小学校の施設を利活用した水族館です。小学校が閉校になった時、富山大学理学部と氷見市の連携協力に関する協定に基づき、「地域の豊かな自然を守り、その豊かさを広く活用・発信していく」ことを目的に、まずは「ひみラボ(富山大学理学部・氷見市連携研究室)」が作られました。そして、研究・教育・普及活動の3軸で活動を行う中でラボ内に開設されたのが、この「ひみラボ水族館」です。

館内では現在、氷見市内に生息する淡水魚の約半分にあたる約30種類を展示しています。また、ひみラボの研究成果の掲示や図書コーナーもありますが、こうした展示をただ見るだけではなく、興味があれば一緒に川に行って自然に対する興味関心を高めてもらう活動も行っています。水族館でありながら、教育施設でもある場所なんです。

―ここからはライフジャケット・レンタルステーションの設置についてお聞きしていきたいと思いますが、まずは、設置に至った経緯について伺えますか。

河川教育の一環が理由の一つとしてありますが、当館がレンタル施設として最適だったからというのもあると思います。ライフジャケットの寄贈元である清水興業の清水社長は、県の天然記念物に指定されている富山湾最大の無人島「虻が島(あぶがしま)」で私たちと一緒に自然保護活動をされている方です。当然、島へ行く時はいつもライフジャケットを装備して行かれるんですね。当館は天然記念物の研究機関であり、河川教育も行える場所ですし、職員も常駐しているので何かあれば対応もできます。だから、虻が島へ行く際にもライフジャケットを借りられたら好都合ですし、当館には年間約1万人が来館され、貸出の掲示も多くの方に見ていただける機会があります。そうした条件が揃っていたことが、当館がステーションの開設場所として選ばれた背景にはあるのではないかと思います。

―開設にあたり、懸念点などはあったのでしょうか。

特にありませんでしたが、当館は山奥にあるので、立地の不便さはあるかもしれません。ただ利点としては、私が氷見市の教育委員会に所属しているので、校長会を通して市内の学校のネットワークを使い、ライフジャケットの貸出について周知ができるというのがあります。それから、普段の授業にプラスして河川教育を行うことは学校としてはなかなかむずかしいのですが、市内にある10校のうち、4校が総合的な学習の時間を使い、川へ行き、自然とふれあう体験をする河川教育を取り入れています。

水辺の安全への意識が高まる中で、ライフジャケットの有効性と重要性を伝えたい

―寄贈されたライフジャケットについて教えてください。また、現在の貸出状況はいかがですか?

寄贈いただいたのは、子ども用ライフジャケット30着です。当館はもともと大人用のライフジャケットを持っているので、大人や体格の良いお子さんについては、そちらを貸し出すようにしています。

実は、レンタルを開始したのが貸し出す機会の少ない昨年の10月末だったんです。市内の学校にはお声掛けしているので、これから動きが出てくるのではないかと思いますし、6月には市内の上庄小学校から貸し出しの依頼がありました。

―市内の学校とのつながりもあるとのことですが、関係者をはじめとする地域の方々の水辺の安全に対する意識の変化についてはどう感じられていますか?

非常に高くなっていると思います。川をはじめとする水辺の活動を行う際は管理責任が問われますから、安全管理については私たちも徹底するようにしています。学校の方で「晴れているから川に入りたい」という希望があっても、前日に雨が降って濁水があれば止めますしね。

また、単に注意を促すだけではなく、ライフジャケットの効果を体験してもらう取り組みも行っています。川へ行き、ライフジャケットを着て本当に浮くかどうかを実験し、子ども達にライフジャケットの有効性と重要性を学んでもらうんです。実体験することはとても大切なので、ライフジャケットのこうした使い方があってもいいのではないかと思っています。

―事前に体験するのとしないのとでは、意識も変わりそうですね。

ライフジャケットって着ると熱いんですよね。川は涼しいものだと思う方が多いのですが、実際は結構熱い。だから着る人にとっては、ライフジャケットを羽織ること自体がしんどいんです。しんどいけど、実は川へ落ちた時には命を救ってくれるから、これぐらいのしんどさは問題ないというのを体験してもらうのが重要だと感じています。

ライフジャケットを知ってもらう機会を創出しながら、川と人との距離が近づく活動を

―今後、ライフジャケットレンタルステーションをどう活用して行きたいですか?

現時点で、ステーションの要項上、ライフジャケットを貸し出せるのは団体さんにだけなんです。ちゃんと管理をして、ゆくゆくは個人の方にも貸し出せるようになっていけばいいなと思います。団体のみに利用を絞っていると、一人ひとりがライフジャケットについて学ぶ道が狭くなってしまいますから。

―何か計画されたり、構想を練られていることはありますか。

私が担当しているイタセンパラやトンボとふれあう親子教室では、川や池に入って活動をしますから、参加者は当然ライフジャケットを着用します。また、市内の河川学習でも着用は必須でしょう。一度、河川学習をしてもらった学校はリピート率が高いんです。なぜなら、河川に安全に入れることを体験によって理解するからです。

その理解の先で子ども達は生物とふれあい、校区の自然に興味を持つようになります。まずは体験してもらうことが重要なので、そのためにも準備はこちらでして、子ども達は現場でライフジャケットを利用したらそのまま置いて帰って学校に帰れるといったような、学校にできるだけ負担をかけないオペレーションで進めていくことが大事だと考えています。

あとは学校で川の勉強をする時に、ライフジャケットの話も一緒にして着方を教えたり、防災の観点から教科書に載せたりして、子ども達がライフジャケットを知る機会を設けるのも良いのではないかなと思っています。

―レンタルステーションが設置されたことで、どんな影響が生まれることを期待していますか。

最近、川で遊んでいる子って見たことありますか? いないですよね。今、川と人の距離がすごく遠いんですね。私はイタセンパラのアクアツーリズムを企画しているのですが、活動では川にも入ります。そこではライフジャケットを着てもらいます。レンタルステーションが核となって、川と人とをつなげ、距離が近くなるような活動をどんどん展開できればいいなと思っています。

―川と人との距離が近づいた結果、どんなことが生まれるのでしょうか。

川の危険性を知れることもそうですが、氷見にある豊かな自然に気づくことができます。氷見の人は意外と、自分の家の近くに天然記念物の魚や植物がいることを知らないんですね。川とつながり、自然にふれると「なんでこんな所にこの生物がいるんだろう?」と興味関心が生まれる。この「なんで?」というのが重要だと思っています。興味関心を持つと、「あれが知りたい、これが知りたい」といろんな所に派生していきますから、いろんなことに興味を持てる、視野の広い子になれます。そして、その中から自分が得意だと思うものを選べると、おそらく大人になってから苦労しないと思うんです。

そんな興味関心を抱かせるためにも、子ども達にいろんな体験をさせることが大切。川は生物や環境、防災などの観点からいろんな体験ができる場所です。川にふれて、人や生物の生育環境をより良くするために何ができるかを考えられる子どもが増えてくるといいなと思っています。それは子どもだけではなく、大人にも学んでほしいことです。自然には、私も知らないことがまだまだたくさんありますから。 

***

ライフジャケット・レンタルステーションの開設によって、みんなの水辺の安全に対する意識が高まることへの期待はもちろんですが、子ども達の未来の可能性を開くためのきっかけを創り出せたら、それ以上すばらしいことはありません。海のそなえ事務局はこれからも、ひみラボ水族館さんの活動に注目していきたいと思います。

ひみラボ水族館
https://sites.google.com/site/himilab/
〒935-0113 富山県氷見市惣領1927



 [H1]平易な表記としました。




 [H1]川に入る場合はライジャケを着るので「着てもらいます」「着用してもらいます」のような断定の表現で良い。




 [H1]頭出しのワードがあっても良いかも

 [H2]できるだけ→負担をかけない

修飾語は近い方が読みやすい。





 [H1]写真があったと思うので、添付します。これも子供の写真は問題ありません。






 [H1]平易な文言に変えました









 [H1]具体的に「10月末」でも良いかも。

 [H2]具体的に依頼があったので、追加。無くても良いが、話に厚みが増す。



 [H1]ラフ→ライフ







 [H1]主語は頭出しが読みやすい。

 [H2]具体的に書くと分かりやすい。

 [H3]「なかなかむずかしい」と平仮名が並ぶが、問題ないか?「中々に難しい」とか?そのままで良いならstayで。



 [H1]清水工業→清水興業です。

 [H2]虻が島は県の天然記念物なので、「県の」を挿入

 [H3]指定名称は「虻が島」なので「が」と平仮名表記にしました。

 [H4]がシンプルかもしれません。

長いので [H5]一回切りますか。

 [H6]何となく、接頭語



 [H1]生物は山ほどいるので、ここは「淡水魚」としましょう。

 [H2]重複なのでカットで










 [H1]前と同様に役職名を変更しました。

 [H2]分かりやすくするために「国の」を挿入、県や市の天然記念物ではないことをアピール