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【青森県/三戸町】11ぴきのねこを探して

とらねこたいしょうを筆頭にいつもお腹がペコペコなねこたちが、ニャゴニャゴニャゴと一致団結し、ときには読者をあっと驚かせるような愉快な物語を繰り広げる大人気絵本「11ぴきのねこ」シリーズをご存知だろうか。

その作者馬場のぼるさんのふるさとであり、地域一体となって「11ぴきのねこ」によるまちづくりに取り組んでいる三戸町(さんのへまち)へ、11月某日私たち海猫ふれんずは旅に出る。目的はひとつ、町の各地に設置されているという11ぴきのねこたちの石像を探すこと……

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と、いうわけで行ってきました。青森県三戸郡に位置する三戸町。町境は山に囲まれており、かつて三戸城の城下町として栄えた町の中心部には馬淵川が穏やかに流れ、大正・昭和初期の建築物が未だ多く残る風情溢れる街並みを楽しむことができます。そんな三戸町に現れた11ぴきのねこたち、彼らは絵本の中同様にそれぞれが本を読んでいたりたいやきを食べていたりと自由気ままな姿を私たちに見せてくれました。そんな三戸町探訪の本編はYouTubeに動画としてアップしておりますので、ぜひご覧ください。

さて、今回のnoteは先程の動画のロケの際に発見した11ぴきのねこたちの秘密や撮影の裏側などを紹介していきたいと思います。


11ぴきのねこと海猫ふれんず

今回ねこの石像を探しに三戸まで来たわけですが、実は私たちお恥ずかしながら原作である「11ぴきのねこ」シリーズを今まで誰も読んだことがありませんでした。今回このロケを計画するにあたって、八戸市の図書館で慌てて絵本を借りてきて読み始めたわけですが……

「やることやってんなって思ってました(笑)」

動画内で小田桐氏が話していたとおり、多くの人から愛されてきた大人気絵本シリーズの内容は意外にもまさにこういう印象でした。いつもお腹がペコペコな彼らはあほうどりを騙して食べてしまおうとするし、他人の家を勝手に住処にしたり、家づくりを手伝っていたはずが最終的にはその家を乗っ取ってしまったりと好き勝手に生きています。

そんな自由気ままなねこたちについて作者の馬場のぼるさんがどういう思いで本作を執筆したのか、その秘密をとらねこたいしょうの石像があるアップルドーム内「ほのぼの館馬場のぼるの部屋」で見つけることができました。

「11ぴきのねこ」は、ほのぼのともしていなければ、心あたたまりもしませんし、教訓もなければ勧善懲悪のお話でもありません。怪魚は悪者でないにもかかわらず、ねこたちの餌になってしまいます。しかも、このことは、ねこの側からすればハッピー・エンドです。さて、みなさま方に、ねこの喜びが伝わりましたならば、こちらもまことにハッピーであります。

11ぴきのねこたちは欲張りで、ちょっぴりずる賢く、時には読者を驚かせてしまうようなこともしでかすこともありますが、11ぴきが常に一致団結し無謀なことにも飛び込んでいってしまう自由なねこたちの姿はどうしても憎めないのです。

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「ほのぼの館馬場のぼるの部屋」に足を踏み入れるとまるで絵本の中に迷い込んでしまったような、そんな素敵な空間が広がっています。「11ぴきのねこ」シリーズはもちろんのこと、それに関連した書籍やイラストの展示などがあり今まで知らなかったねこたちの秘密に出会えるかもしれません。


11ぴきのねこを探してふらふらと

とらねこたいしょうに挨拶を済ませ、改めて絵本の世界観を堪能してきた私たち。早速ほかのねこたちを探していきます。動画内でも紹介がありました「さんのへねこマップ」を頼りに町を散策するのですが、ねこマップは道の駅さんのへのスタッフさんからいただきました。声をかけていただいたスタッフの方々、本当にありがとうございます。

ねこを探して車を走らせる私たち。事前にねこたちの居場所を調べていたのですが、町をぐるぐる回っているうちに道に迷ってしまいます。動画の前編では、素晴らしいドライブテクで平沼氏が急斜面を運転するシーンがありますが、あれは三戸城跡城山公園に迷い込んだ際の帰り道でした。三戸町には三戸城跡城山公園をはじめとした観光地や大正・昭和初期の歴史ある建築物も多く、車を降りて風情ある街並みをふらふらとねこを探して訪ね歩いてみると、ノスタルジックな気分を楽しむことができました。町の中心部を流れている馬淵川が、傾きかけた日の光を受けてきらりと輝く様を見ながら川辺を歩いている時間はとても穏やかなものです。またまた迷子になっていた私たちですが、のんびりと三戸の町を散策することができたのでした。

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今回はねこの石像を探すというテーマで訪れた三戸町ですが、次回はその歴史や街並みをテーマに遊びに行きたいと思いました。カメラが趣味な私としては、たくさんのスナップ写真やメンバーの二人を被写体にポートレートなんかも撮りに行きたいですね。

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11ぴきのねこのまち さんのへ

地域一体で「11ぴきのねこ」によるまちづくりに取り組んでいるとだけあって、三戸町の至るところで絵本から飛び出してきたねこたちが自由気ままな姿を見せてくれます。動画内でも一部紹介しましたが、商店街の多くの店先で11ぴきのねこの店頭幕を掲げていました。建物のシャッターや窓、道路の案内板などあちらこちらにねこたちが。郵便局に設置されているポストにはなんとラブレターを投函する可愛らしいねこの姿を見ることができました。

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ポストのイラストですが、郵便局だけでなく町内全30ヵ所と五戸町の1ヵ所それぞれのポストに馬場のぼるさんのイラストがプリントされているそうです。

撮影にも協力してくださいました、郵便局前の文海堂さんではさまざまなグッズが販売されています。とってもキュートなねこのぬいぐるみや、バッグ、定期入れやブックカバーそのほかにもたくさんのグッズが店内に並べられており、私たちもつい時間を忘れてショッピングを楽しみました。また今回は残念ながら足を運ぶことができなかったのですが、三戸町内では11ぴきのねこをモチーフとしたスイーツのお店や、絵本の中であほうどりに作ってあげていたコロッケを再現したお店などもあり、グルメの面からも作品を楽しむことができるそうです。

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関根ふれあい公園と三戸町立図書館にはラッピングバスが展示されていました。こちらは平成28年度から三戸町と八戸市間を町の広告バスとして運行し、現在はその役割を引退して町に寄付されたものです。

動画より小田桐氏 「ナンバーにゃごにゃごだよ!」

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車内にある特設の図書コーナーには、馬場のぼるさんの絵本が置かれています。また吊革や天井、座席の裏にも11ぴきのねこたちのキャラクターが。そのほかにも三戸町の特産品の紹介や、ふるさと納税の紹介もされていました。

ふるさと納税のお礼の品の中にも11ぴきのねこたちの姿がありました。ジャブのぬいぐるみやラッピングバスの模型が個人的に気になるところです。

11という数が気に入っていて、しかも、「11ぴき」と声を出して読むとき、強い破裂音があり、それでますます気に入ったのです。この半端な数字を、なんとか納得させる工夫はないかと思案の末に、1ぴきは大将。そして、十把一絡げの兵隊。という形を見つけ出したというわけです。

ねこたちが11ぴきでいる理由について、作者の馬場のぼるさんはこのように語ります。作中のねこたちは、お家を掃除するときもコロッケ屋さんをするときも、あほうどりを騙そうと企むときも11ぴき全員が一緒です。作者は十把一絡げと言いますが、よく見てみると実は描かれるねこたちにはそれぞれに特徴があるという噂も。1匹でも、2匹でも、7匹なんかでも駄目なのです。11ぴきのねこ達はいつだって11ぴき全員が一つの目標に向かって進みますし、11ぴきだからこそ恐れずに進み続けることができるのではないでしょうか。

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ラッピングバスの後面にはこんな言葉が。

みんなでちからをあわせる 11ぴきのねこのまち さんのへ

今回私たちがねこの石像をテーマに歩いていることを知り、グッズが展示されたガラスケースの鍵を開けて「せっかくだからたくさん見ていってね」と声を掛けてくださった文海堂の方や、さんのへねこマップを紹介してくださった道の駅の方々など町の方々にとても親切にしていただき、町全体に歓迎されているようなあたたかい気持ちになりました。11ぴきのねこの石像をはじめ、商店街の店頭幕やそのほかにも町の様々なところで見かけるねこたちの姿。町の人々が「11ぴきのねこ」たちを愛しひとつになってまちづくりをする姿は、どことなく11ぴきのねこたちに似ていると思いませんか?

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私たち海猫ふれんずもよく地元のために何ができるだろうかと話し合うことが多いのですが、ひとつの町がひとつのことをテーマに一体となってまちづくりをする、そんなとても難しいと思っていたことを実現している町が身近にあることを改めて目の当たりにし、感激しました。また今回の企画で11ぴきのねこたちを知ることになった私たちですが、たった1日の撮影で今はすっかり大ファンに。

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みなさんも一度、訪れてみてはいかがでしょうか。

なつめ


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