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「“自分を満たす”を循環させる」―田舎暮らしと対話から内側の自分へ気づく―元小学校教員うたママ


うたママ田舎に移住した「教育」が大好きな元小学校教員。一児のママ。自由に仕事、自由に教育を選択する未来を目指して奮闘中。「ミライのくらす」代表


「やりたい事」を見つけるために、仮説を転がしてみる。

数年前から田舎に移住し、「暮らし」「稼ぎ」「務め」について日々考えているうたママさん。
子育てをしながらの田舎暮らしと、教育への想いについてお話してくれました。

小学校教員時代から、様々な職種、多様な年代の人と関わりをもっていたといううたママさん。

「教員をやりながら、読書会に参加したり、Facebookで面白そうだとおもったイベントに行ったりしていました。教員以外の世界の人と繋がりを意識的にもとうとしていましたね。」

教員になる前に1年ほど留学していた経験も有り、色々な人と繋がり学び合う楽しさを感じていたと言います。

読書会や、トークイベント、ワークショップなどに参加していく中で『自分を見つめる時間』の大切さに気づいたとの事。

あるコミュニティで『仮説転がし』という対話法に出会ったそうです。

「やりたい事をやれば良い、というのはよく耳にする言葉です。でも、自分のやりたい事ってすぐには出てこないし難しい。そんな『やりたい事偏差値』が低い人が多い。私もそうだったと思います。」

やりたい事を考えるよりも、『やりたくない事』と『やってみたいかも知れない事』を考えていく。

その中で、やってみたいかもしれない事をやってみる。やってみて、違うと思えば辞めてもいいし、その気持ちを声に出してもいい。
『やってみたいかも知れない』という仮説の中で行動してみて、自分の気持ちを確かめるのだと言います。

「その繋がりの中で、”グローカル”という言葉に出会いました。グローバルとローカルを組み合わせた造語です。今までグローバルにしか興味が無かったんですけど、この言葉にビビッときて。田舎という選択をしてみる仮説を立てて、やってみた。という感じです。」

ローカルの面白さに触れた事がきっかけで、家族と共に田舎移住を決断。
そんな田舎には、「何もないからこその良さ」があると話します。

準備しすぎず、余白だらけの場づくり

周りは木々に囲まれる、自然豊かな田舎へと移住したうたママさん。
何もないからこそ、住む人同士で助け合ったり、交流したり。
人との繋がりを強く感じているそうです。

田舎には何もないからこそ、自分達で何かしようとする精神があるように思えます。何かを買って手に入れよう、ではなく、自分達で作り出そう。この自然の使い方を考えようとしているところがすごく良い。」

遊具や遊び方が用意されていない、何もない空間だからこそ、子どもの成長の可能性を無限に広げてくれると感じているのだと言います。

「野菜づくりや農業したいなぁと呟くと、60くらいのおじいちゃんが、『畑に遊びにおいでー』と声をかけてくれたりします。『言えば叶う』が田舎の魅力です。子どもの『これやりたい!』もどんどん叶って進んでいく。」

いろんな大人と出会って触れ合える環境で、子どもにものびのびと育ってほしいと思っているそうです。

また、子どもが生まれた事もあり、『子どもとママが集う場づくり』を始めたと言います。

「田舎に住んでいるママさん達が繋がれる場所があるといいなと思いました。イベントとしてきっちりとした場所を用意するのではなくて、川や森の手入れをしているからよかったら暇な人子どもたちと遊びに来てね、くらいの。夏は川遊び、春や秋は山でピクニックをしたり、企画はざっくりと立てますが、頑張り過ぎない感じがいいなぁと。」

準備はしすぎず、余白を残して置くくらいが良い。

このゆったりした感じを求めているママさんも多いそうで、ママ同士で繋がりも増えていっているとの事。

そんな場づくりをしていく中で、子を育てる事に向き合い、教育を考える機会も多くなったと話します。

田舎暮らしで感じた余白のある時間や環境。
本当は大きく羽ばたく力をもつ子どもたちと、今の教育にはゆとりが無い事のギャップ。

「教員でも何でもない自分でも、何か出来るんじゃないかと思いました。きっと、教育に関心がある人は多い。そんな想いから夢見る小学校の上映会をしようと決めました。教育について考え、話し合うきっかけをつくれたらと。」

対話の時間が、自分を育てる

子育てをきっかけに、教員を辞め、学校教育から離れてしばらくが経った頃。
映画上映会や、ママの集いなどの活動を少しずつ始める中で”教育”についてもう一度考え始めたと言います。

「そろそろ何かやりたいな。と思っていた時、目に入ったのが”コーチング”でした。」

コーチングの勉強を通して、自分自身についても向き合う事ができるようになったとの事。

「コーチングとは、対話を通して自分自身に気づく事です。思考のクセだったり、主観で考えすぎてしまったり。なかなか一人では抜け出せないところを、言葉にすることで見つめていきます。」

この自己との対話は、子育て中のお母さんお父さんはもちろん、学校の先生、子ども、この世界に住むすべての人に大切なものだと続けます。

「昔の日本には、田の作法や結の文化がありました。作業を通して、そこにいる人達と自然と対話する機会があったんです。そのコミュニティが崩れたことによって、今はどんどんその機会が減っているように感じます。本来人は対話を通して、自分も相手も知り、成長していくものだと、コーチングに出会ってから改めて思いました。」

思っている事を言葉にする

それをやってきていない人にとっては、とても難しい。
学校の中でも『答え』を言う時間はあっても、『自分の想い』を口にする時間が極端に少ないと感じていると言います。

「想いを言葉に出来ないと、自分の気持ちがわからなくてモヤモヤして、どうしたらいいのか分からなくなります。知り合いの大学教授から、大学生が就活する時に、『私はどんな職業になったらいいと思いますか?』と質問されたという話を聞きました。あなたがやりたい事をすればいいと伝えると、『やりたい事がわからない』と……。でも、これって仕方がないと思うんです。子どもの時から自分について考える時間が無い、そして大人が真剣に対話する姿を見てきていないんですから。」


生きる人それぞれが、”自分を満たす時間”をもつ

自己との対話を深めていくと、自分が何で満たされるかがわかるようになると話すうたママさん。

生きる人それぞれが、自分を満たす方法を知って、その時間をつくる事ができれば世界はもっと幸せで優しいものになると言います。

「自分が何が好きで、何がやりたくて、何で心が満たされるか。これを知ることが、必要だと思います。それすら見つけられていないのに、急に『社会に出たら何がしたいの?』と聞かれてもわかりません。自分を自分で満たす方法が分かれば、自分の大切な人にもそれを循環させることができると思うんです。」

子どもの内から、”自分を満たせる”ようになるためには
大人が先回りしすぎない事が大切だと続けます。

「どうしても大人は、子どもに傷ついてほしくないし、失敗させるのが怖いので、色々準備してしまうんですよね。でも、それは子ども自身が学んでいく機会を取り上げてしまってる。そして、社会との繋がりが感じられなくなって、当事者意識が薄くなり、自分が無くなってしまう子が増えてしまう事に繋がってしまう。」

子どもを信頼し、その心が動く方へ進む事を見守る必要がある。

今後はさらによりよい教育を目指すため、全国各地の学校へ訪問し
「教育」についての知見をためていきたいと考えているそうです。

そして、今までに貯めてきた知識と想いを軸にして
人と繋がり、場づくりやコーチングを広げていきたいとお話してくれました。

https://instagram.com/utamama_biz?igshid=YmMyMTA2M2Y=


編集後記
「自分を知る」、「自ら動く」を体現されているうたママさん「お母さん大好き。」と笑顔で伝えるお子さんを見て、うたママさんが伝え続けているからなのだろうなぁといつも感じています。大人が見せれば、子どもは自然とできるようになる。これはすべての事においてそうだと、改めて思いました。これからも、自分が一番なりたい自分へ輝いていくうたママさんを見ていたいです。
うたママさん、貴重なお時間ありがとうございました。
(インタビュー・編集・イラスト By Umi)


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