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思いやりの軌道修正



「本当に、もし出来たらでいいんだけど、餃子が食べたいな」


先日のおやすみ、旦那さんにご飯のリクエストを聞いて返ってきた言葉。控えめに、そして切実に、まるで小学生男子がお母さんにお願いするようでした。


「よし、餃子作ろうね」

「え、いいの?ありがとう!一緒に作ろうね」



いつもながら、リアクション100点な旦那さんです。

昼間買い物に行き、キャベツ、ニラ、ひき肉、餃子の皮を調達し、夕方からの包み作業に備えました。


「今日、キャベツひと玉158円だって!丁度よかったね」


なんて、ちゃんと広告もチェックしている旦那さんに、ほっこりさせられます。



***



私たち夫婦は共働き。

家事は、お互いが出来ること、得意なことを、自分のタイミングで行います。ほとんどの家事は、休日にふたりで行い、2倍速で終わらせるタイプの夫婦です。



ご飯を作る担当は私。



ただ、我が家の献立はほぼ同じ内容が繰り返されます。

料理が趣味の姉に「また同じの食べてるの?」とよく言われ
るくらい、本当に同じなんです。


例えば夕飯。

献立:ご飯、お味噌(またはスープ)、納豆、キムチ、サラダ、焼き魚、キウイ、ヨーグルト


サラダは、わかめ、きゅうり、カニカマ、お野菜のお値段次第で大根かもやし。焼き魚は、サケかサバの塩焼きの無限ループです。


この食事が1年以上続いてますが、お互い飽きるわけでもなく、「今日のサケ、脂ノッテて美味しいね」なんて会話をしながら食べています。

同じスーパーなので、ちょっとした食材変化にも気づいてしまう程です。

決まったものを決まった時間に食べる。それに対してお互い(少なくとも私は)不満はありません。献立を考える必要や料理の時間が省略できるので、私としてはありがたい限りです。

「全然飽きないよ。作ってくれるだけで感謝だ」

そんな、旦那さんの思いやり。私の方こそ感謝です。

だから、旦那さんは餃子を食べたいと伝えるだけで、あんなにも丁寧な口調になったのかもしれません。ほんの少し、申し訳ないなとも思いました。


相手を思いやるって、少し難しい。



***



「ついつい、たくさん具を入れちゃうよね」

「入れすぎて、皮が閉まらないよ~」


遊んでいるみたいな会話をしつつスタート。友人から貰ったスピーカーで、Disney seaで流れるパークBGM。かれこれ1年以上ふたりで行けてないなぁ...



「実家で餃子の日は、全員で包んで100個以上つくったな。台所でみんなでいっせいに始めてさ。よーすけさんの実家は?」

「どうだったけかな?手伝ったことはあるけど、いつもではなかったと思うよ」




実家の餃子を振り返りつつ、おしゃべりしながらの作業。皮包み大会は、30分もかからずに終わってしまいました。



イスに座って向かい合いながら包んだ餃子。

とりわけ、私の皿にきれいに並ぶ姿は、同じ角度で縦横きちんと並んでいて、我ながらA型だなぁと感心。一方で、旦那さんのお皿は餃子の並びがまばらで、「早く僕をやいてくれー!」と今にも動き出しそうな躍動感がありました。



「でもさ、王将とか天龍とか、外で食べる餃子の方が美味しくない?」


お互い餃子好きということもあり、外食はほぼ餃子のある中華屋さんです。(ちなみに、結婚式前夜も、旦那さんの誕生日も餃子でした。笑)

写真:天龍



美味しい餃子を知っているはずなのに、どうしてわざわざ家の餃子が食べたいのか、少し疑問でした。



「ん〜でも、こうして一緒に作ると楽しいじゃん?それにほら、限界まで具を詰められるし、数を気しないでたくさん食べられる。かなちゃんも気にしないで、たくさん食べていいんだからね」



旦那さんに、たくさん食べて欲しいからと思っていた私の気遣いは、反対に、旦那さんの気を遣わせてしまっていたんだ。

相手を思いやる形は、常に、軌道修正が必要のようです。


いつもは具があまる餃子。今回は皮が2枚あまってしまいました。

「カニカマ入れちゃう?」


我が家の常備食、旦那さんの一言で代打で登場。大葉も入れてみればというアドバイスで、マヨネーズと合わせてみることにしました。


「すごいね、俺だったらカニカマまるごとボン!だよ」


褒め上手な旦那さん。私も見習いたいものです。

その夜は、ふたりで30個ほど食べて大満足。残りは冷凍することにしました。しばらく楽しみが続きます。




少しだけ、作るのがめんどうと思っていた餃子。

それでも、こんなに喜んでくれる人がいる。幸せなことです。



うん、やっぱり私は、餃子が好き。






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