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『ブラス!』監督:マーク・ハーマン

オススメ度:⭐️⭐️⭐️⭐️ ※4星満点

4星理由:時代は流れて、あらがえなく、ハザマに取り残される人達がいる。これが現実だ。いまがもしかしたらその時かもしれない、と共感するから。

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ストーリー

1992年。舞台はイングランド北部のヨークシャー州リムリー。

炭鉱員で構成された100年の歴史を誇る名門ブラスバンド「グリムリー・コリアリー・バンド」。グリムリー・コリアリー・バンドの指揮者、ダニー(ピート・ポスルスウェイト)は、全英選手権に出場し、ロイヤル・アルバート・ホールで演奏して優勝することを夢見ていた。

しかし、炭鉱自体が閉鎖の危機にあり、メンバーたち不安で練習に気がはいらない。炭鉱閉鎖の問題に頭を抱えていた。

炭鉱閉鎖、生活苦、失業。

彼らは全英選手権出場権を手に入れたが、出場するための資金が無い。さらに追い討ちをかけるように炭鉱閉鎖が決定され、メンバーは解散を決意する。

数々の苦難を乗り越えて、ロイヤル・アルバート・ホールの舞台に立った彼ら。

そしてダニーがスピーチを行う。

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背景

「ブラス!」では炭鉱閉鎖問題で炭鉱夫達は苦悩します。明日からどう稼げばいいのか。その背景にはサッチャー政権への批判や斜陽産業の著しい衰退があります。

炭鉱閉鎖により、これまでの日常が壊れた人達をテーマにした名作映画、いくつかありますよね。『フルモンティー』や『リトル・ダンサー』もそうだし、日本でも『フラガール』がそれに類似しますね。(どの映画も大好き😘)

この『ブラス!』はその中でも、炭鉱閉鎖によって苦境に立たされた人々を真正面から捉えています。そして最後のダニーにスピーチは名セリフです(゚∀゚)

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マーク・ハーマン監督

『リトル・ヴォイス』、『シーズンチケット』、『縞模様のパジャマの少年』など名作を残したマーク・ハーマン監督。

その特徴は暗い環境を舞台として、良質な音楽と内向きな登場人物の葛藤、そしてココロをうつセリフです。

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名シーン ダニーのスピーチ

2週間前 このバンドの炭鉱も閉鎖されました。またも大勢が職を失った上に
大会に勝つ意欲 闘う意思まで失いました
しかし生きる意思すら失ったら・・・悲惨です。
皆さんは―
アシカやクジラのためには立ち上がる、でも彼等は・・・ごく普通の―正直で立派な人間です。・・・その全員が希望を失っているのです。
彼等はすばらしい演奏をします。
でも何の意味が?・・・

1990年代。イギリスの炭鉱産業は著しく衰退する。時代の変化に抗うすべはなく、取り残された側にいる人々の叫びをダニーはスピーチで訴えた。

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最後

1990年代のイギリスの空は雲が覆っていて、すこし陰鬱な気分。でもその中にも時折、日が差し込むことがある。

そしてまたすぐに雲が覆う。

僕はイギリス映画を見るたびにそう思う。

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