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夜と霧 ヴィクトール・E・フランクル 訳池田香代子 みすず書房

オススメ度:⭐️⭐️⭐️⭐️ ※4星評価

4星の理由:この一冊には次の世代にも受け渡していきたい。

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内容

精神分析科医のフランクルは、ユダヤ人という理由でナチス強制収容所に投獄される。

アウシュビッツやその支所に投獄され明日も奪われるかもしれない絶望的環境の中、精神分析科医として彼は「人」を見つめ続けた。

なぜ、人はこれほど冷徹になれるのか。被収容者たちはどうやって精神の平衡を保ち、または崩壊させてゆくのか。

これは強制収容所の実態を世に知らせただけにとどまらず、「人とは」、しいては「生きることとは」、という普遍的テーマに迫った一冊だ。

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こんないまだから

フランクルは「人生はどんな状況でも意味がある」と説き、生きがいを見つけられずに悩む人たちにメッセージを発信し続けた。

収容所という絶望的な環境の中で希望を失わなかった人たちの姿から、人間の“生きる意味”と、そして苦境に陥った時の“希望”の持ち方について考えさせられる。

いまのタイミングだからこそ、読まれるべき本だと思う。

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著者

ヴィクトール・エミール・フランクル(Viktor Emil Frankl/1905年3月26日-1997年9月2日)は、オーストリア・ウィーン出身の精神科医、心理学者。

心理学の三大巨匠といわれるフロイト、ユング、アドラーに並ぶ心理学の権威であり、代表的な著書である「夜と霧」は世界的でベストセラーとなり、アメリカでは「私の人生に最も影響を与えた本」でベスト10入りした唯一の精神医学関係の本となりました。

同書は世界17カ国語以上に翻訳され、60年以上に渡って読み継がれています。

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赤線ポイント

ここで必要なのは、生きる意味についての問いを百八十度方向転換することだ。わたしたちが生きることからなにを期待するかではなく、むしろひたすら、生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題なのだ、ということを学び、絶望している人間に伝えなければならない。…もういいかげん、生きることの意味を問うのをやめ、わたしたち自身が問いの前に立っていることを思い知るべきなのだ。    P129

生きるということだけで意味がある。人生はあなたに失望なんてしやしない。

言葉

あなたが人生に絶望しようとも、人生があなたに絶望することはない。何かや誰かのためにできることがきっとある。時があなたを待っている。

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思うこと

コロナにより僕らの日常はこれまでの日常からかけ離れたものになった。

誤解を恐れずに言えば、僕らは強制的にいろんなものを失ったし、分断の流れに無慈悲に放り投げられている。

信じていた価値観が脆く崩れ去り、足元がぐらついている。明日への希望が見えないところまで追い込まれている人達が増加している。

この本は「人が生きるには」という明日への希望が書かれている。

フランクルは、運命に毅然とした態度をとり、どんな状況でも一瞬一瞬を大切にすること。それが生きがいを見いだす力になると力強く語っている。

幸福を感じ取る力を持てるかどうかは、運命への向き合い方で決まるのだ。

どんな時も、人生には意味がある。どんな人のどんな人生であれ、意味がなくなることは決してない。だから私たちは、人生の闘いだけは決して放棄してはいけない。

この言葉を噛み締めたい。



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