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京都の老舗J A Z Z喫茶YAMATOYAのこと

 京都の熊野神社の近くにYAMATOYAというジャズ喫茶がある。
 1970年開業の老舗で、僕とほぼ同い年である。
 東大路・丸太町通を少し東に歩き南側の路地に入ると「JAZZ SPOT YAMATOYA」という看板と素敵な青い扉が見えてくる。
 そのドアノブに手をかけ、一歩足を踏み入れると、そこには70年代のジャズ喫茶そのままの空気が流れているのを感じる。
 暖色系の照明に照らされた店内はいい感じに薄暗く、窓はない。
 まず目に飛び込んでくるのは、入り口の左側におかれている大きなスピーカー「VITAVOX KLIPSCHORN」である。床から僕の首の辺りまで高さのあるスピーカーは、まるで家具のようである。
 右手にはカウンターがあり、寡黙な感じのご主人と奥様がにこやかに出迎えてくださる。
 テーブルは細長い店内に5つほどあり、僕のお気に入りは、入り口から2つ目のテーブル。
 2つのスピーカーのちょうど真ん中になる席だ。
 そこから右奥を見ると、これも大きなレコードプレーヤーが2台と、オーディオ好きにはたまらないマッキントッシュの真空管アンプMA2275が見える。ディスプレイが淡い青色に光るマッキントッシュのアンプは最高だ。カッコいい。

 レコードプレーヤーの左側には棚があり、その上には今かかっているレコードのジャケットが飾ってある。


 僕はこの店の音楽とコーヒーが大好きだ。
 2〜3か月に1回くらいしか行けないけど、行くといつも2時間はこの店で豊かな時間を過ごす。
 YAMATOYAの音は優しく、柔らかで音が大きくてもうるさい感じがしない。
 J AZ Zを鳴らす管楽器やベース、ピアノ、ドラム、それぞれの音が奥深く芳醇な魅力を醸し出している。
 コーヒーは苦味とコクがバランスよく、熱いときはもちろん、冷めてもその苦味がとても美味しい。
 一杯のコーヒーを2時間かけていただきながら、優しいJ A Z Zの音に身を委ねる。


 僕がこの店に来るのは、決まって仕事に煮詰まっていたり、ゴタゴタがあって、心が疲れているときだ。
 本や雑誌は読まない。2時間、ゆったりと音楽に身を委ねる。
 そこには、心からの癒しがある。
 身も心も浄化される感覚がある。
 ご主人とはほとんど話したことがないが、帰り際に、「ありがとうございました。」と渋い声で言われるのが好きだ。
 僕は80年代に洋楽ロックに出会ってからひたすらロックを聴いてきたが、数年前に仕事で体調を壊してから、ふとしたきっかけで本格的にJ A Z Zに目覚めた。
 YAMATOYAで初めて出会ったJ A Z Zミュージシャンも多い。

 僕はこれからも心が疲れたら、この店に足をはこぶことだろう。
 YAMATOYAは、今年で創業50周年だそうだ。
 ご主人と奥様には、いつまでもお元気で、僕の癒しの場を守り続けていただきたいと願っています。

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