(4/5ページ)息子の卒園でつらい幼稚園ロス~悩んだからこその思い入れ~
卒園ブルーの幕開け
年が明けて今年(2024年)に入り、幼稚園生活も大詰めになった。
『あと3か月で卒園か・・・』
年が明けるや否や、ブルーな気持ちになっていた。
この4年間、本当にいろんなことがあった。ここには書ききれないぐらいに。
息子の成長とにらめっこしながら悩み、楽しみ、喜び、驚き・・・
感情の揺らぎが大きかった4年間が終焉を迎えようとしている。
年長になると何もかもが最後。
幼稚園最後の運動会
幼稚園最後の遠足
幼稚園最後の年末年始
幼稚園最後の誕生日
幼稚園最後の生活発表会
年長になってからは、イベントがある毎にそんな風に考えるようになり、年度の終盤になるほどブルーな色が濃くなっていくのであった。
気が付けば、年中からの2年間、少なくとも私は息子のことを過度に心配しなくなっていた。
プレ→年少とイベントごとにちゃんと出来るか?悪目立ちしてしまわないか?心配だった。
もちろん、年中以降もある程度の心配はあったけれど、年少以前のような行き過ぎた心配はなく、『あの子ならやれるだろう』と息子のことを信じてやれるようになっていたのだ。
最も感謝している年少の先生
それも、年少の1年間があったおかげだと思っている。
年少の担任の先生。
息子のように発達がゆっくりな子には決して焦らせることはせず、子供一人ひとりに合わせて指導してくださった。
だから、息子も、Aさん次男も、のびのびと成長できたんだと思う。
2人とも、年少の1年間での伸びがハンパなく、親の私たちも驚嘆したほど。
その先生は療育界でも、『あの先生は子供の力を伸ばすのが上手だ』と絶賛されていた。
息子が年長になった5月に、実家の事情で退職し3県も離れたところへ引っ越してしまったけれど、大きなイベントがあれば顔を見せにきてくださった。
最後の生活発表では、ご自身が年少時に受け持った教え子たちの姿を見て感涙されていた。
私も、遠方から来てくださったことなどに対してお礼を言いたかったが、言えなかった。
絶対に、もらい泣きすると思ったから。。
俺は男だ!人前で涙を見せるわけにはいかない。
先生へのお礼が先だと思っていながら、そういうプライドが邪魔をした。
だけど、卒園式では絶対に熱いものをこぼしてしまうだろう・・・
その日が近づくにつれて、男のプライドも薄くなっていったような気がした。
そして、いよいよ
卒園式の前日、息子の寝顔を見て小声で、
『4年間、よく頑張ったな。ここまで成長してくれてありがとう!
悪いけど、明日はお父さん泣いてしまうかもな。』
そっと頭をなでながら囁いた。
もうその時点で、少しこみあげてくるものがあった。
迎えた卒園式。
あいにくの曇り空の下、正装を身にまとった保護者たちが集まり、いつもとは違う雰囲気を醸し出していた。
明るくはない・・・
覚悟はしていたが、いざその時になると決して楽しいものではない空気に気持ちも呑まれていった。
式が始まり、しんみりした音楽が流れ、園長や保護者会役員の挨拶ののち、卒園証書授与、園児たちによる合唱、お別れの言葉と続いた。
年長は5クラスあり、式当日は2クラス、2クラス、1クラスに分けて1日で完結した。
息子のクラスはほかのもうひとクラスと合同で行い、他方のクラスにAさん次男がいた。
卒園証書授与のとき他方のクラスから執り行われ、Aさん次男は2番目。
名前を呼ばれると、それまで聞いたことのないぐらいハキハキした返事で答え、きびきび動いて園長から証書を手渡されていた。
その姿を見ただけで涙腺が崩壊しそうになった。
『いかん!いかん!まだ息子の番じゃないんだから』
何とか感情を抑え込んだ。
クラスが入れ替わって息子の番。
名前が呼ばれると返事をして登壇。手順を間違うことなく降壇した。
(よく頑張ったな・・・。)
熱いものがフツフツと湧き上がってきた。
その後、別れの言葉ののちに園児合唱。
この合唱で歌われたのが『たいせつなともだち』という曲。
実はこの曲、進研ゼミの卒園号トライアルDVDに収録されているもので、うちも1枚持っていた。
家族でクルマで出かけるとき、最近息子がカーステのDVDでよく流している曲だったのだ。
卒園式前でもその曲を聴くと、
(そうか。もう、終わりなんだな・・・)
と、しんみりさせられるものだった。
それがその時園児たちの生歌で聴くことに。
♪大好きだった幼稚園ともお別れ 今日が最後の時~
幼稚園とお別れするのは子供たちだけじゃない。
自分たち親もしかり。
しんみりしていた気持ちがついにMAXになった。
カメラを回しながら液晶パネルの陰に目を隠し、一粒、二粒、頬を伝い流れ落ちた。
やっぱりこうなった。こうなる自信があった。卒園式だけはどうしてもダメだった。
多分、目を赤くしただろう。感涙したことがバレてしまう。。
式が終わって我に返ったとき、できる限り平然を装った。
その後、各教室へ行き最後の保育が行われた。
そこへは保護者1名のみしか入れず、妻と息子だけが参加した。
それ以外の保護者は帰宅するか、園庭で待つことになったが、少し迷っていた。
久々に人前で流した涙
どうしようか考えていると、年少の先生を見つけた。
相手も私に気づき、会釈してくれた。
すかさず私は先生のもとへ行き、挨拶した。
先生:この度はおめでとうございます!
私:ありがとうございます。無事に園生活を全うできて良かったです。
先生:そうですね。お父さんも色々心配なさってましたもんね。
寄り添うように先生は言ってくださり、その言葉がストレートに突き刺さった。
そこには、もう男のプライドなんかあったもんじゃない。
再び胸が熱くなり、先生の顔がぼやけた。
私:はい。一時はどうなることかと…。
でも、あの1年のおかげで息子は大きく成長できたんだと思っています。
先生:いえ、そんなことは・・・
私:本当にできることが増えて、気が付いたら僕は息子のことを信用してやれるようになっていました。
先生:一番それが何よりです!しっかり信用してあげられるようになれて本当に良かったです!
話を続けながら、先生も目を潤ませていた。
私:だからもう、小学校へは自信をもって行かせてあげられます!あの子なら大丈夫だと。
先生:私も杉間くんのことは何も心配ないと思っています。
わずか5分だったと思う。
最後の最後で血の通った言葉を交わせた。
やっと言えた。
【先生のおかげで息子を信用できるようになった】
このことだけは伝えたいと思っていた。
その先生は、小学校進学以降も時々イベントに顔を出してくださるとのこと。
もともとこの先生は幼稚園の中で最も感謝している人。
卒園後も様子を見に来てくれるなんて。それも、3県も離れた遠方から。
それを聞いて、頭が上がらなかった。
色々あったけれど、この園に入園させて良かった!
そんな気持ちが強いからこそ、私は幼稚園ロスに陥ってしまったのだ。
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