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【結婚】【女】家庭に収まらない、冷たい女

朝、ベッドで微睡む。窓の外が明るいから、7時はまわっているだろう。誰にも邪魔されない。誰かの生活音に遮られることもない。聞こえるのは、風と鳥の声だけ。

一人になって、本当によかった。

人間関係が希薄な私は、一人を寂しいと感じることがない。居酒屋やバー、誰かのいるところにするりと入り込んで、他人の話を肴に酒を飲む。そうして、するりと姿を消す。親切心は大切だが、果たして本当に「絆」が必要なのかどうか、3.11を前にして思う。絆という名の元に今ももがき苦しむ人が、あまりに多いからだ。被災地で生まれたいい話より、震災離婚のほうがずっとリアルだと思う。

病に倒れた数年前。熱が高くなり、救急車を呼ぶほどではないが苦しい、そんな折、頼んだ即効薬ではなく全く関係のない薬を買って来た元夫。何度も何度も念を押して、薬の名前をLINEで送ったにも関わらず間違えて、ぺろっと笑って悪びれもしない。その時、他人なんか当てにしてはいけないと思った。他人と居ても自己責任、一人で暮らしても自己責任。期待して苦しむくらいなら、一人になったほうがどれほど楽だろう。


もう何世代も前だが、私の親戚で、夫と子どもを捨てて男と失踪した女性がいる。

親族からは総スカンを食らい、その後どうなったのかは分からない。女性が何をどう考えていたのか、知る人は誰もいない。

唯一彼女に会ったことのある人は、「表面的にはすごく明るいんだけど、なんだろう・・・情がないっていうのかな。時々ゾッとするくらい冷たいんだよ。失踪するくらいだから、元々おかしかったんだろうけど」と言った。

ゾッとするくらい冷たい。

彼女もまた、温かみのない人間関係の中で育ってきたんだろうか?

やってることは最低なのに、妙に心惹かれる私がいる。まぁ、私も子どもがいなかっただけで全く同じことをしているのだが。

今、とあるモデルも同じようなことでニュースになっているが、自身の腹を痛めて産んだ子どもを捨てるということが、どんなことか想像がつかない。ただ一つ分かるのは、もし自分がそういう状況になったとき、私も同じことを平然としてしまえる人間なのだろうな、ということだけだ。

冷たい女には、冷たい女なりの生き方がある。善意だけで育って来た人とは、一生分かりあえないのも当然だ。


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