9言語ラジオ学習日記 (第2週): 三単現って言われても
英語の授業が小学校でも行われるようになって久しいけれど、かつては英語学習のスタートといえば中学校であり、英語を始めたての中学1年生が最初につまづきやすいポイントはいわゆる「三単現の s」だったように思う。
つまづいてしまう原因のひとつは「三単現」とかいう (中学生にとって) 初めて出くわす日本語なんじゃないか。
テキストの説明文にある文法用語まみれの日本語がさっぱり理解できず、それに引きずられて英語自体にも苦手意識を持ってしまう……というふうに。
実際、外国語学習をしていると、いろんな用語にぶつかるものだ。
「名詞」「動詞」みたいな品詞を示すもの、「三人称」のような人称を示すもの、「主格」「目的格」のような格を示すもの……などなど。まぁ、このへんは受験英語でひととおり習ったので、ぼく自身はそんなに拒否感はない。
あと、英語にない概念でいうと「男性名詞」「女性名詞」という用語も現れる (いま習っている言語の中だと、ハングル・中国語以外のすべての言語に性の区別がある)。こういうのも、個人的にはいろんな言語で触れてきたし、慣れっこ。
9言語の講座を併行して受けているけど、使われる用語が共通していれば「あぁ、またこのパターンね」と思えるので、むしろ理解しやすくて助かる。
ただ困るのは、それぞれの言語で独特の用語が出てきた場合だ。
ロシア語講座の第2週では、軟音記号ь (мягкий знак ; ミャーふキー・ズナーク) と硬音記号ъ (твёрдый знак; トゥヴョーるドゥイ・ズナーク) というやつが登場した。
先週の第1課で説明されてたんだけど、ロシア語には「硬い音」「軟らかい音」の区別がある。なんのこっちゃという感じだが、こういうことらしい:
番組内で読み上げられる音声を聞けばなんとなーく理解はできるとしても、直感的にはなかなかピンとはこない。「イ」の音が入ると軟らかくなる……という感覚がなじむまでには、少し時間がかかりそうだ。
他の講座でも耳慣れない用語はどんどん出てくる。
ハングル講座では「激音」という用語が出た。息を強く出して発音する子音のことをいう (たとえば 가 と 카 は (あえてカタカナで書けば) どちらも「カ」なのだが、後者は強い息をともなった音になる)。
ちなみに息の強さによる音の区別は中国語にもあって、そちらでは「有気音」「無気音」という用語が使われている。こういうの、統一できないものなの……?
その中国語講座では「唇音」「舌尖音」「舌根音」「舌面音」「舌歯音」「そり舌音」のように、中国語で使われる音を細かく分類して解説されていた。それだけ中国語は音の違いが大切ってことなんだと思う。いずれ役に立つのだろう。
そしてアラビア語講座では「太陽文字」「月文字」という用語が紹介された。なにそれカッコいい……!中学生や高校生のときに知ってたら絶対影響されまくってたやつだ (笑)。
どうやら、冠詞 الـ (al-) の音の一部を変化させる音価を持つ文字を「太陽文字」といい、それ以外を「月文字」というらしい。
……そんなこんなで例文に出てきてた単語よりも文法用語に気を取られている気がするんだが (苦笑)、これも今のうちだろうか。
ま、気長にやりながら慣れていったらいいかな、ぐらいにとらえて、今日もラジオを聴き続ける毎日である。
第2週のポイント!
表現あれこれ
ポルトガル語の「すみません」は Com licença (コム リセンサ) という。
Com は「一緒に」「共に」みたいな意味の前置詞で、 licença は英語で言うところの licence なわけだな (実際、「免許証」「許可証」って意味もあるみたい)。
そういう言い方で「すみません」って表現するのか、おもしろいなー。
単語あれこれ
イタリア語で「部屋」は camera なんだ!本来の意味のまま使われていることに感動!
"カメラ" が "写真機" という意味になったのは、もともと写真機のご先祖さんみたいな機器がカメラ・オブスキュラ (camera obscura; ラテン語で「暗い部屋」) と呼ばれていて、それが略されてしまったからなんだよね。
じゃあ "写真機" の方のカメラはなんて言うのさ、と辞書を引いてみたら macchina fotografica (まんま "写真機" だ) だったり、 telecamera ("テレビカメラ" はこっちらしい) だったりとか、いろいろ訳語が載っていた。つかいわけが厳密なのかも。ロシア語の「お茶」は Чай (チャーイ) という。
そうそう、「茶」も「ティー」も「チャイ」もみんな単語の起源は同じ。日本語にカタカナ語として入ってきている「ティー」も「チャイ」も、いろんな地域を経由して、それぞれ別のものを指す単語になってる。こういうの、ロマンだよなあ。
第2週の聞きどころ!
イタリア語: 間違ったことはひとつも言ってないけども
第1週に続き、張あさ子先生の切れ味が相変わらず鋭い。
初めてのホームステイに感動しきりのあかねに対するコメントがだいたい他人行儀で味わい深い。毎回楽しみにしてます(笑)。
スペイン語: めったに聞けないからって!
先生、なにやってんすか!(笑)
中国語: よく考えたらすごいけど
発音練習の途中に番組MC・劉セイラさんが突然、ひとこと。
唐突にダジャレがぶっこまれて一瞬固まってしまった (笑)。
冷静になって考えると、こんなダジャレを飛ばせるぐらいまで日本語を勉強してマスターしたセイラさんはすごい。
すごいんだけど、このダジャレの出来は……うん、ノーコメントで。
最後に。
ロシア語講座の第5課の最後では、ロシア料理について話す時間があった。
ロシアの伝統的なキャベツのスープは シチー (щи) と呼ばれる。ぼくたちがロシア料理の定番として思い浮かべるボルシチ (борщ) は「赤いシチー」という意味で、その起源はウクライナにあるという説明だった。
そのほかにも、ロシアでは中央アジアやジョージア、アルメニアから取り入れられた料理もよく食べられるという。
食卓の上ではいろいろなルーツの料理が並んで、調和するのに。うまく表現できないけど、とても物悲しい気持ちになる。
2022年4月現在、ウクライナはロシアからの侵攻を受けている。
ジョージアやアルメニアでの紛争も遠い昔の話ではない。
いろんな人がいろんなふうにいろんなことを言っているけれど、確実なことは、死ぬ必要なんて一つもなかった人たちが命を落としていること。
現実を見れば見るほど暗澹とした感情に包まれるけれど……こうした国の人たちが、いつか同じテーブルを囲んで、あたたかい料理を一緒に食べる日が来るのかな。……正直、分からなくなってしまうよな。
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