その地の天与の性格
ロンドンは移民の町だ。隣人とちょっと仲良くなって話してみると、彼らが抱く不退転の覚悟を垣間見ることができる。
例えば、カナダから来たある人は「もといた街は冬にマイナス50度になるから、戻ることなんて考えられない。」と語る。北欧に実家のある人が「わかる、子供を外で遊ばせられない時期が長すぎるよね。」と応じ、一方で中東出身のある人は「私の故郷は逆に夏が50度超えよ。」と言う。
更に、紛争地帯から来た人たちは「ロンドン暮らしは気に入ってる?」というよくある質問に対する答え方から、もっと切実な背景があることが察せられる。「もちろん。故郷の学校は破壊されてしまったから」とか。
深くは訊ねないが、もしかしたら難民として大変な苦労を乗り越えてきたのかもしれない。ただ、それは親の世代の話。親は子供に自分が負ってきた苦難を引き継ぐ気はない。子供たちはいずれ完璧なブリテッシュ・イングリッシュを喋り、英国育ちの自認をもつようになるのだろう。
彼らの理由に比べると、一方で私がロンドンにいたい理由であるところの「東京の夏は40度超えでしんどい」とか「春は花粉症でだいなし」というのはチマっとしたことのように思えてしまう。
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