見出し画像

ピアノの響き と 音の色

「音は響く」というあたりまえのことを、なぜかすっかり忘れていました。

ちょうど、1ヶ月ほど前でしょうか。僕の大好きなミュージシャンのピアノ独演会に行ってきました。

やっぱ、ライブはいいですね。

奏でられた生音が、体に響いてくるんです。

まあ、音というのは振動で、空間を伝わる波だといえば、そうなのでしょうけど。

*****

コンサートホールは500席ほどで、ちょっとした映画館くらいの広さでした。

僕は、2階席でしたが、十分に見える距離でした。むしろ全体が見渡せていい感じ。

ステージ上には1台のグランドピアノ。

ピアノの演奏は、ほぼ即興です。その瞬間だけの一度限りのフレーズです。知っている曲も違った響きになる。それを感じられるのも、ライブの醍醐味でした。

そして、何よりも、生のピアノの音を体全体で感じることができました。

*****

例えば、静かな曲では、奏者の指先から放たれたピアノの音が、次々とこちらに飛んできて、迫ってくる感覚になりました。

なんというか、音と正面から対峙している感覚です。

観客も、物音を立てないようにジッと聴いているのが伝わってきて、コンサートホールの空気は、どこか心地よい緊張感に包まれていました。

そうして聴いているうちに、僕の集中力は高まってきて、僕の視線は、ピアノを弾く奏者の指先にフォーカスされます。そして、集中しているから、周りの景色も雑音も全く気にならない。

気がつくと、僕は、奏者の指先と、放たれる音だけの世界に入っていました。

放たれる音は、とても1人の人間が弾いているとは思えない。重なり合った繊細な響きとまろやかなリズム。すっかり美しい曲の世界に入ることができました。

とても心地よい体験でした。

*****

そうかと思えば、会場の皆が協力して、1つの楽曲をつくりだすこともありました。

奏者に導かれるように、観客たちも音を奏でる(といっても、手拍子とかですけど)。

続けていると、いつの間にか、皆で奏でる音とリズムが一体となり、1つの楽曲が完成される。

そしてなぜか、完成された楽曲は、ホールの天井の1点からシャワーが降り注ぐように、僕らひとりひとりに音を浴びせるんです。そんな感覚になりました。

しばらく音を浴びていると、自分のからだの内側に音がどんどん染み入ってくる。楽曲に包まれて音に溶け込まれていく感覚。

これも最高に心地いい体験でした。

*****

もちろん、ライブだけが音楽の楽しみ方の全てではないと思います。

いまや音楽を持ち運べるので、どこかの美しい風景の前で聴くこともできるし、目を閉じて心に情景を浮かべながら聴くこともできます。

いろいろな楽しみ方、人ぞれぞれの楽しみ方があるんだと思います。

ただ、僕は今回、すっかり忘れていた生音の感覚を思い出したというだけです。

それは、奏者の熱量を感じ、観客と一体になり、音が体に染み入り、心が揺さぶられる、そんな体験でした。

*****

ところで、音楽をやっている方って、音階に色のイメージを持ってる方が、少なからずいらっしゃるみたいですね。

そんな話を聞いて、僕は、音楽家でもなんでもありませんが、ちょっと身近な人の協力を得て、音階を色でイメージすることに挑戦してみました。少しだけ見えたのがあったのですが、いかがでしょうか・・・。

D (レ) ニ長調 :みどり、草原のイメージ
F (ファ)ヘ長調 :青、海や空のイメージ
B♭(シ♭)変ロ長調:シルバー、クールなイメージ
E♭(ミ♭)変ホ長調:淡いオレンジ、やわらかくてやさしいイメージ

これって僕がこれまでに聴いてきた音楽に影響するのでしょうか。

とりあえず、僕の個人的な感覚なので、共感する人はまずいないと思いますが、もし、同じ意見の方がいらっしゃったら奇跡なので、会いたいです。

そうでなくとも、音に色のイメージをお持ちの方がいらっしゃったら、それってどんな色なのかとても興味があります。

*****

しかし、音楽って本当にいいですね。改めて感じました。言葉にすることが難しいですが、今回は、心がとても豊かになった気がします。

そういえば、部屋の中には、何度も挫折を繰り返して、結局、インテリアになってしまったアコースティックギターがあります。

今度こそ!という思いで、練習を始めてみようかなあ・・・。弾けたら絶対にもっと楽しいと思ったんで。





この記事が参加している募集

イベントレポ

スキしてみて

お気持ちは誰かのサポートに使います。