立ち向かわない正解もある。ドラマ【凪のお暇】から学ぶ、仕事探しのヒント
こんばんは!週末いかがお過ごしですか?
私は結構テレビっ子で、特にドラマが好きなのですが、今クールのドラマの中では『半沢直樹』『MIU404』『私の家政婦ナギサさん』にはまって楽しんでいます(あ…偶然ですがすべてTBS系列でしたね!)
3作品のテイストは全く違いますが、共通しているのは、【お仕事ドラマ】であることです。日曜日に半沢直樹の啖呵に溜飲を下げ(笑)、火曜日にナギサさんに癒され、金曜日にMIUの皆さんの活躍に手に汗握り、…本当に楽しく3か月過ごさせていただいています。TBSさん、どうもありがとうございます!
◆「逃げる」ことによって自分を護り、人との出会いで成長していく主人公
さて、皆さま昨年の7月から9月まで放送されていた、こちらもTBS系金曜ドラマ【凪のお暇】ご覧になっていたでしょうか?
他人の顔色を窺い、嫌われないように空気を読みながら暮らしている大島凪28歳(黒木華さん)。職場では空気を読みまくり、女子社員たちからマウンティングされ、“唯一の切り札”の彼氏である営業部のエース慎二(高橋一生さん)にもあまり大切にされず…。ついに限界を迎えた凪は、職場で過呼吸になって倒れてしまいます。モラハラ彼氏も家も仕事もすべて断捨離し、都心から離れたアパートで人生をやり直そうとするけれど…?というお話です。
彼氏や同僚との関係をすっぱり絶つためにSNSのアカウント等も削除。持ち物だけでなく、さらさらストレートの髪(凪はかなり強めの天パ)も手放します。メーカーの経理部のOLだった凪ですが、勢いで会社も辞めてしまったため、せっせと節約して貯めた100万円の貯金通帳の残高を眺めつつ、ハローワークに通う日々です。
凪と、お隣の住人ゴンさん(中村倫也さん)、そして慎二との三角関係の行く末に何かと注目してしまいますが、実はこのドラマ、理想の「お仕事探し」のヒントがたくさん隠れていること、現状に「立ち向かう」のではなく時には「逃げる」ことによって自分を護り、人との出会いで成長していく主人公に共感したので、読者の皆様にも共有させていただければと思います。
◆家賃・生活費を大胆に見直すこと
もともと凪は節約が趣味。豆苗おじややイワシのふわふわフリッター、土鍋でつくるちぎりパン等、「貧乏くさいけどしみるメシ」(by慎二)を作るのも得意です。メーカー勤務時には中目黒のマンションに住んでいましたが、すべてを手放し立川の家賃3万円のクーラーもないボロアパート「エレガンスパレス」に引っ越します。
ここまで住居費・食費を大胆カットするのは、現実では難しいことではありますが、急に離職するということは、給与が途絶えるということ。預金残高とよく相談しながら就職活動しなくてはなりません。固定費を抑えるためにできることを見直しましょう。
◆ブルーオーシャンを狙うこと
エレガンスパレスには、小学五年生のうららちゃん(白鳥玉季ちゃん)と、お母さんのみすずさん(吉田羊さん)が住んでいます。みすずさんは、うららちゃんを女手一つで育てているシングルマザー。彼女は、立川で建設中の商業施設の工事現場で働いています。
凪はみすずさんがママ友からマウンティングされている現場を目撃。さらに「(みすずは)亡くなった旦那のおこぼれで仕事をもらっている」「ガラの悪い職場」など毒を吐き続けますが、凪は何も言うことができません。
心配なことに、うららちゃんは、ママ友たちのせいで友達からハブにされていました。「ガラの悪い職場で働くあの家の子と遊んじゃいけません」という陰湿なものです。
ある日、うららはママ友と凪を連れてみすずが働く工事現場へいきます。格好よくクレーン車を運転して男性社員たちから頼られているみすずさん。
圧倒されるママ友たち。
「ウチのママ、カッコイイでしょう!」と自慢げなうららちゃん。
実はお友達もうららちゃんをハブにするのは、母親たちの監視の目があるところだけだったのでした。
エレガンスパレスは取り壊しが決まっていて、凪はおろおろするのですが、みすずさんはちゃんと一軒家を購入していて、貯金もバッチリだったのです。
クレーン運転士の給与相場は、400万円~600万円(doda調べ)。みすずさんは部下もたくさんいて、恐らく職場でリーダー格だと思われます。女性でクレーンを運転できる人材は希少価値でしょう。
転職市場において、一般事務職を希望する女性は圧倒的に多いですが、一般事務職女性で女手一つで一軒家が購入できる収入を稼ぎだせる人がどれくらいいることか。
みすずさんの場合、狙って今の職種を選んだわけではなさそうですが、結果としてライバルの少ない領域で、管理職として働いている。この先、様々な工事現場でクレーン車両は活躍しそうですから、みすずさんもうららちゃんも新居で安心して生活していけそうです。
◆自分の武器を知ること
立川のハローワークで、凪は坂本龍子(市川実日子さん)と出会います。彼女は「空気を読みまくってきた」凪と違い、「みんなが読んでいるらしい、空気というものが読めない」人。残念ながら仕事に恵まれません。大学の先輩に誘われた、みるからに怪しいブラック企業に入社してしまったりします。
凪とはひょんなことから意気投合し、コインランドリーを一緒に経営する夢を持ちます。
ご近所の憩いの場になっていたコインランドリーが、後継者がいないからと廃業を決めたため、自分たちが後継者に立候補。事業計画書作りを始めますが、ここで役に立つのが凪が経理部で培った書類作成の能力と、坂本さんの東大卒という学歴でした。
◆具体的な目標を持つこと
コインランドリーへの出資金は坂本さんと50万円ずつでした。しかし凪の最大の壁である母(片平なぎささん)からの強いプレッシャーにより、台風で壊れた実家の修理資金として使ってしまったため、残念ながら二人の夢は叶いませんでした。
でも、凪も坂本さんもすぐに諦めない【夢】として「コインランドリー共同経営」という具体的な目標を持つことになります。
恐らく、これまでの凪の夢は「営業部のエースの慎二の妻になること」(そして、それまでマウンティングしてきていた同僚たちを見返すこと)であり、仕事で大きな夢を持つことは無かったと思います。ですから、ハローワークで仕事を探していても、「どこでもいい」「受かればいい」というスタンスで、書類選考も通過できない状況が続いていたのではないかと想像します。
この頃の凪に質問したら、きっと「どんな会社で書類選考がNGだったか覚えてません…ハローワークで紹介されたものに片っ端から応募していただけなので」と言いそうです。
それが、「地域のみんなの憩いの場としてのコインランドリー経営」という具体的な目標を持つことによって、大きな変化が。
結果、「コインランドリーとカフェを併設しチェーン展開している会社」から見事内定を勝ち取ります。これまでのように受け身で紹介されるだけでなく、具体的に興味のある事業内容に沿ってハローワークに希望を伝えていたのではないかと思います。
具体的なイメージを持つこと、これは転職活動の成功のためにとても大切なことです。
◆知人のつてを利用すること
一方、高学歴坂本さんも「来月から」働くことが決まっていました。それは、あのコインランドリーの店主の息子さんからの紹介。「内装の営業なんですけど、いつか私たちのお店を持つために、役に立つんじゃないかと思って」
何度か事業継承のために交渉をするうちに、コインランドリーの店主の息子さんと信頼関係ができていた。その繋がりから仕事を紹介してもらった。これは強いです。
一般的に、転職サイトや転職エージェント経由での転職は、採用企業が成功報酬(コンサルティングFeeやサイト使用料)を支払わなくてはならないため、採用のハードルが上がりがちです。また、彼女のように高学歴な一方で職務経歴が十分でない人材(完全なブラック企業に嵌ってみたりして、少し回り道をしています)は書類選考上圧倒的に不利です。
学歴と職歴がバランスが悪いと、人物面で何か問題があるのでは…と警戒する企業も多い。
ですから、彼女の人となりや能力がわかっている人からの紹介での就職は、坂本さんにとって一種の理想だと思われます。
「知人のつて」による転職は、もちろんメリットばかりではありません。就職してみたら働きにくいところがあっても、紹介してくれた方に気兼ねして辞めづらいという側面もあるでしょう。
坂本さんにも、入社後様々な試練があるかもしれませんが、それを乗り越えるための【夢】―凪とコインランドリーを共同経営することーに繋がるとしたら。
平均台は、足元ばかり凝視しているとすぐに落ちてしまいますが、少し目線を上げて数メートル先をみればスムーズに渡っていけます。キャリアを積み上げることもこれに少し似ていて、今、一足跳びにやりたいことに届かなくても、凪と坂本さんのように少し先に目線をおいて、経験を積んでいくことがとても大事です。
◆「お暇期間」が3か月だったこと
ドラマ1クールだったのだから当然なのですが、凪のお暇(失業期間)は3か月間でした。
これは実はとても重要なポイント。
転職市場において、空白期間が「3か月」以内かそうでないかは大きな意味を持ちます。3か月を超えると、企業側は「転職活動しても他社に採用されなかった人なのでは?」と感じます。これ以上の「お暇期間」になると、「社会人としての感覚が鈍っている」「生活リズムが崩れているのでは」「実は精神的に病んでいたのでは?」などと深読みする企業が増えてくるのです。そうなる前に再就職できた凪、本当によかった。きっと「※再就職手当」も申請できて、また貯金通帳がすこし温かくなったことでしょう。
漫画原作は続いているそうなので、そうなると「凪のお暇」の期間がとても心配になる私です。職業病ですね、きっと。
本当は、釣銭拾いの緑さん(三田佳子さんの女優魂をみました)や、現実にあるなら通いたい「スナックバブル」のママ(武田真治さん)たちにも触れたいのですが、今日のところはこのへんで。
それでは、またお会いしましょう!
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