安定という古い時代のファンタジー
先日、トヨタの社長さんがとうとう
これからは終身雇用ムヅイっす(泣)
みたいにおっしゃって話題になってますね。
わたし的には、は?いまさら??
といった感じなんですけど、古くからの慣習は簡単には反故にできませんよね。
慣習はとても大切なことのひとつだとは思います。
わたしみたいな者にはよくわかんない問題ですが
noteをはじめてからいろんな人と仕事や生き方の話しをする機会が増えて、ちょっと思うところもあるので。
先日も
「結局、安定を選んで会社勤めしてます」
という20代の方とお話をした。
会社員=安定
という昭和の幻想みたいな考え方を
多くの平成生まれの方も持っていることにびっくり。
親が会社員で、生まれた時から今日まで経済的に安定して暮らして来られた方はこういった考えになるのかもしれません。
わたしの親は自営業で、
時代遅れになった職業を時代遅れのやり方のまま続け
先細りして、フェイドアウト。
それを高校生の時に目の当たりにしたわたしは、
父を反面教師とし、
これからの時代を生きていくには時代の流れを見据え、その中で自分のやり方を時には貫き、時にはあっさり捨てることも大切だと感じた。
1993年の話。
以来それを実行してきたつもり。
その頃生まれた人たちが20代半ばになった今、
2019年の現在にも【会社員=安定】
なんて幻想が根強くのこっているとは…
なんとも平和な世の中だったんですね。
平成。
そもそも安定ってどれくらいの時間ですか?
1年なら会社員はそこそこ安定するでしょう。
でも1年の安定じゃ困りますよね?
3年? 5年? 10年?
子育てが終わるまで?
住宅ローンを完済するまで?
そんな長い安定を赤の他人が経営している会社に委ねる度胸は、わたしにはありません。
そもそもそんなに長い安定ってこれからの時代にあるのかな?
一般によく言われている起業した会社・事業の生存率は
5年後15%
10年後6%
20年後0.4%
30年後0.021%
この情報はどれくらい正確なのかわかりませんが、
多くのビジネスのお話で広く使われているので
一応ざっくりと信じるとすれば、
そもそも会社に勤めようが、会社を立ち上げようが
どっちみち不安定。
わたしが感じられるのはファッション絡みのビジネスだけですが、
25年古着屋を経営してきたわたしの体感では
まぁだいたいそんなもんかな。といったかんじ。
ウチより後に始めて先にやめたお店や会社は数え切れない。
わたしは資料として、古いファッション雑誌をある程度保管しているのですが、
例えば10年前に発売されたファッション雑誌の
「東京発!注目の新ブランド20選」みたいな特集があったとして…
それを今みたら「ああ、このブランド流行ったな、懐かしい」って思えればマシな方で、まったく記憶に引っかかってないことがほとんど。
ファッションビジネスにおいては
一瞬でも誰かの心に引っかかれば成功した方で、
多くは花も咲かずに散ってゆく。
安定とはほど遠い世界。
やりたいこと、やってみたいこと、夢…
そういうのが何も無いならともかく
やってみたいという気持ちがあるのに、
挑戦もしないでありもしない幻想の安定を選ぶ不思議。
わたしの仕事において
古着の知識・目利きみたいなものは
いわゆる「手に職」のようなものだったけど、
時代の流れで昔ほどの特別感はなくなった。
「手に職」をつけても、
それをメンテナンス、アップデートしていかなければあっという間に時代遅れになることも実体験として感じている。
わたしは変化しないことをリスクとして
挑戦をたのんしんでいたから
今日まで続けて来られたのだと思う。
少なくとも収入を安定させるためには
恒常的な変化や挑戦、スキルアップが必要。
あらゆる方向から見て、今、これからの時代は
これまでのような安定というものは期待できない。
まして就職して、与えられた仕事をこなすだけで
定年まで生きていける時代なんてすでに終わっている。
本当はずっと前に終わっていた。
もっとはやくアナウンスするべきだったのだ。
まぁ、わたし自身はそんな人生にもともと興味ないですけど。