あと1言語だッ
新版へのアップデート計画。とはいっても、旧版全冊そろえていたのを、その後出版された〈新版〉にアップデートするだけ。購入しまくれば達成する話ではあります。
それはそうなのですが、もう出版元からは品切れになっているものも多いという話は前回書いた通りです。したがってそういった本は古本買い取りによって求めるしかないわけで、とんでもない金額がついていない限り、そちらのルートからも購入しています。
果たして、昨日までの段階で26言語のうち25言語そろえることができました。それらの成果は写真の通りでして、まあまあの壮観…と自己満足にふけっているところです。
それにしても。こういう酔狂なことができる人も実はそれほど多くないのではないかとは思うのですよね。いざ冷静になってみますと。
私の場合は、自分の仕事が外国語を教えることだという動機、それとこのシリーズにこだわっている理由が、やはりトルコ語の1冊を書いたのが自分だったからというのが大きいと思います。
かつて某匿名掲示板あたりではこのシリーズが入門書のさらに前の段階の話をしているということで、手を抜いている本だという書き込みも見てしまったことがありました。当時はそれを見て何をとぼけたことをおっしゃっているのだろうね?くらいの反発は感じたものですが、しかし今になってみればまあそれくらいに思われているほうが逆にアクセスはされやすいのかもな、とも思えます。
そう、ライトな内容であるということにこのシリーズの意義がある。いきなりさあ文字とそれに対応する発音記号を見てみましょうと言われて、テンション爆上がり狂喜乱舞する人々(要するにオレたちのことですね)の人口比率というのは、決して高くなかろうということなのでしょうね。
当時の編集担当の方とのやりとりで、彼ははっきりと「売れないと意味ないので」と言い切っていて、その一言は実際今でもずっと心に残っています。出版社側からのセールスに関する話は、いざ耳にすると、自分が思っていた以上にリアリティがあったのです。
それに書いてみてわかることとして、初歩的なところの解説ほど実は書き手にとっては難しいということ。以下は一例ですが、トルコ語だって母音調和のことを「ライトに」説明するのにはけっこう難儀したものです。
普段通りにやろうとすれば、こんな感じで比較的すらすらツイッターレベルでのつぶやきのようにいけるわけですが…
出版社側から「母音調和」という用語すら使わないでくれという要請がきたときに、さあみなさんならどうしますかという話です。
ということは、「前舌」「高さ」「円唇性」といった用語も厳しい。そこには触れずに、母音が2つのグループに分かれます、くらいにとどめておくしかないわけです。
トルコ語ならe, i, ö, ü(「グループ1」くらいにしときましょうか?)とa, ı, o, u(こちらを「グループ2」としときましょう)。「なんでこのグループ分けになるの?」と読者は思うよな?と書く側としては一瞬思うのですが、それはこういった初歩の本ではあえて触れないようにする。
なんで?と思う人は入門書に進んでいってください…のように、ほかのトルコ語の良書たる各語学書に丸投げするしかないわけです。
そういった内容と説明の深さについての取捨選択をしながら、わずか150ページ弱ではあっても当時まあまあ苦労したのですよ。で、自分がそれだけ苦労したものだから、ほかの著者の方々だってきっと同じくらいの悩みとか苦労はあったに違いないと想像しちゃうわけです。
そういった自分の心情も、26言語全部買ってみるという、人によっては奇行に見えるかもしれない行為のモチベーションになっていると思われます。たぶんね。しらんけど。
さて。写真の通り、あとは『デンマーク語のしくみ』を残すのみ。
この最後に残ったデンマーク語がまた、今や新品での入手が難しいということのようです。セールスにも各言語で明らかに差が出ているし、出版社側の扱いにも違いが出ているよな…
…と嘆いたのが先日のエントリーでしたが、まあ今さら言語ごとの人気の差を嘆いていても仕方ありますまい。
私はトルコ語やアゼルバイジャン語、さらにはテュルク諸語の知名度アップに(微力すぎて涙も出えへんけど)貢献していければ幸いだと思って、今後も今まで通り楽しくやらせてもらうしかないなと思っています。語学としての人気確立や権威付けみたいなことは、大学のえらいポジションにいる先生たちに任せましょう。
なお上述のシリーズですが、紙版は品切れになっていても、電子書籍では定価で購入できるものがほとんどのはずです。白水社の販売担当の方からも問い合わせのお返事には「ぜひ電子書籍のほうを…」と言われたところでしたし、みなさまにおかれましては興味を引く言語でもう品切れだと言われた場合は、電子書籍のほうにぜひぜひ。
トルコ語もありがたいことに、電子書籍は顕在です。よかったらそちらから。
noteではシリーズ内の個々の本について言及したものもありますので、そちらもよかったら。
そんなわけでみなさまもよい日曜日を。
私は読みかけだった『ポルトガル語…』を読み進めてみようかなと思います。
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