見出し画像

UGBASに入った理由とこれからの目標2024③by阿部

こんにちは。
東京大学農学部3年の阿部です。

日本各地で毎日のように行われている野球。
特にプロ野球と高校野球の人気に後押しされて野球は日本ではメジャースポーツになっていると思います。

しかし、野球はバット、グローブ、ボール、野球場など必要なものも多く、何もないところから1から始めようと思ったら非常に難しい。それもアフリカなどの発展途上国でやるなら尚更です。

しかし、今、東アフリカのウガンダの野球がいい意味でも悪い意味でも注目を浴びている。
そしてウガンダ野球はその発展に日本がかなり大きな役割を果たしてきました。

今回は最近のウガンダ野球事情と合わせてウガンダ野球を支援する会でこれからやりたいことについて書いていこうと思います。


ウガンダ野球について

最近、ウガンダ野球が最も注目されている一番大きな要因はKasumba Dennis選手(20?)でしょう。Kasumba選手は自身のSNSでウガンダでの過酷なトレーニングの様子を発信することで知名度を上げました。ドジャースの大谷翔平選手からもフォローされたことで日本の地上波でも取り上げられたり、MLB Draft Leagueに招待されるなど方々から注目を集めています。

ウガンダ野球の実力はアフリカ内なら2位、近隣国と比べるとかなりうまいです。

しかし、同時にウガンダは貧困国なので高い実力・ポテンシャルはあっても野球をすることができないということが往々にしてあるのが現状です。

最近ですと2023年に行われたU18の世界大会にアフリカ代表枠を勝ち取るものの資金不足により参加できなかったことはウガンダ野球の実力と課題を示す顕著な例です。

ウガンダ野球支援の歴史

ウガンダ野球の支援は主にアメリカと日本が担ってきました。

まず、ウガンダに初めて野球が入ってきたのは1989年でした。
これはアメリカの団体が教育の目的で紹介したものだそうで、この時は教育目的だったことから主に小学校を中心に普及していきました。

その後、団体により継続的に用具支援はあったものの金銭面、技術面での指導は不十分でした。そして2006年にアメリカの団体でウガンダ野球支援の中心的人物が亡くなったことでこの団体による支援は終わりました。

アメリカの次にウガンダ野球を支援したのは日本でした。
日本は2004年から青年海外協力隊が隊員の派遣を始め、ウガンダで野球のリーダーを育てる取り組みが行われました。

そして2014年には外務省の支援によりガヤザにウガンダ初、東アフリカ初の野球場が建設されました。さらに当時の隊員の尽力により日本の独立リーグにウガンダ人選手の派遣も行われました。現在は関西の独立リーグチームでKato Edrine選手(17)がプレーしています。

2010年代はウガンダで野球の普及だけでなくウガンダ野球の実力強化にも力を入れ始めた転換期だと言えそうです。

そのことを特に象徴しているのはドジャースアカデミーでしょう。
2013年に野球アカデミーができたことによりウガンダでも若い世代が質の高い技術指導を受けられるようになり、特に有望な選手は海外でプレーするチャンスが与えられるようになりました。

2024年現在、MLB球団とマイナー契約を結んだ選手は4人います。特にパイレーツと契約したDavid Matoma選手(18)は最注目選手であり、100マイルを超える豪速球が武器の右ピッチャーです。

David Matoma選手については過去にインタビュー記事もあるのでそちらもどうぞ


ウガンダ野球を支援する会(UGBAS)による支援

これまでの支援と直面した課題

ウガンダ野球を支援する会は2014年に発足以降、主にウガンダ国内リーグに対して用具支援と金銭的支援を行ってきました。

ドジャースアカデミーがあることでウガンダ人のトッププロスペクトに対してはアメリカが十分な支援を行っている一方で一般層に対してアメリカの支援はほとんどありません。ウガンダ国内でだれもが野球をできる環境を作るためにウガンダ国内リーグ支援は重要な意味を持つと思います。

用具支援に関しては隔年のウガンダ渡航の際に持っていく方法と最近では日本のウガンダ大使館を経由して送ってもらう方法で行っています。

そして金銭的支援に関しては東大の学祭で出店することでその売り上げをウガンダの国内リーグ運営資金(主に選手交通費)に充てていました。


しかしながら国内リーグに対してのUGBASの支援はかつてない困難に直面しています。

まず、ウガンダ国内リーグでの必要交通費は年々増えており、直近でも2021年から2023年だけで約2倍(12万円→22万円)になっています。これまで通り学祭の利益を送るという支援だけではいずれ限界が来ます。(というかもう限界)

また、2024年現在、そもそもウガンダ国内リーグの試合は行われていません。
これはウガンダ野球連盟(UBASA)の運営が混沌とした状況にあることが大きな理由でしょう。

ウガンダ野球連盟の運営するリーグ以外でもBaseball Talent Africa という別のリーグがあるものの、元々選手や代表が個人的に費用を捻出していたこともあり、こちらも現在は機能していません。(代表は現在無職で金もないらしい?)


これからの支援

ウガンダ国内で野球リーグが持続的に機能するにはまだまだ支援が必要だと思います。

リーグ戦が行われていない現状を打破する策としてウガンダ野球連盟の内部に頑張って干渉したり、UGBASの学祭での売り上げを伸ばすなどのこれまでの活動の延長線上にあるアプローチも考えられますがあまり効果的ではないでしょう。

今、これまでと違った軸での支援の必要性が増しています。(特に金銭面)

私はウガンダ野球を支援する会が今するべきことはいろんな人が支援したくなるウガンダ野球になるようにウガンダ野球を支援することだと思います。

つまりウガンダ野球を支援する人を増やすことが大切ということです。

一番効果的な方法としては日本のプロ野球においてウガンダ人スター成功ロールモデルを輩出することでしょう。スターの登場によりウガンダ野球が注目を集め、球団がウガンダ野球のポテンシャルに投資したり、ウガンダ人スターがウガンダ国内野球に成功の恩恵を還元するなどのビジョンが考えられます。さらにその投資がまたウガンダの新たなスターを生み出すことでウガンダ野球がますます発展し、日本との結びつきも強くなっていく、そんなサイクルも生み出せると思います。

しかし、日本のプロ野球は非常にレベルが高い。現在ウガンダでプレーをしていてNPBで即戦力になれる選手はいるかと聞かれても、いないと答えるほかない。なぜならウガンダでの野球教育はドジャースアカデミーが最高峰であり本当に上手い選手はMLBのマイナー契約を勝ち取りアメリカに行ってしまうからです。

日本のプロ野球で活躍する選手にはなるためにはどうすればいいのか?

この問いに対しての答えは私の中でほぼ決まっていてそれは・・

「若い世代のウガンダ人選手を日本で育成すること」

これに尽きると思います。

日本は野球選手の育成環境が非常に整っている。
日本に来ることで高いレベルで切磋琢磨できる、効果的なトレーニング法が確立されそれを実行できるなど大きなメリットがあります。

若いうちから来日させて育成することで選手がそのポテンシャルを遺憾なく発揮し、素晴らしい選手になる可能性は大いにあると思います。

ウガンダ人には身体的なアドバンテージがあるのは間違いない上、そこに世界トップレベルの日本の野球技術を搭載するわけですから。

ウガンダ野球支援のイメージ


日本で若い世代が野球を学ぶ場所は独立リーグ、高校野球、大学野球などさまざまなオプションがあります。それぞれにメリット、デメリットが存在しますが私はNPBへの近道としては高校への野球留学がベストであると考えます。

まず年齢が上がるにつれ野球レベルも上がることが理由として挙げられます。高校野球よりも大学野球、独立リーグの方が総合的な身体能力、技術的な熟練度は上です。今までウガンダでプレーしていた選手がいきなりこのレベルで大活躍するのは難しいかもしれません。
実際に独立リーグで今までプレーしていたウガンダ人は何人かいたわけですがそこからNPBに行けた選手はいません。

また、年齢的なベストタイミングとして高校かなとも思いました。

ウガンダで有望な選手は概ね16歳くらいからMLB球団による青田刈りが始まるそうで選手はウガンダからアメリカやドミニカに飛びます。

早いうちから高いレベルで野球を学べるに越したことはありません。

MLBが選手のポテンシャルを見出すのがそのぐらいの年齢ならば恐らくそれがベストなのでしょう。

さらに、日本の高校に一定期間在学していれば日本国籍を持つ選手と同様の扱いでドラフト指名されることも可能であり、過去には福岡第一高校からドラフト指名で日本ハムに入団し、長年に渡り活躍した陽岱鋼選手というロールモデルもいます。

ウガンダ人選手の高校への野球留学は今までなされなかった試みであり上記の理由からNPBも夢じゃないかもしれません。


閑話休題


ウガンダ国内で野球ができる環境を整えるために私は(白石さんの言葉を借りるなら)トップダウン的なアプローチが効果的だと思います。

そのために日本の高校への野球留学のメリットやNPBへの夢を語ったわけですが現実問題としてUGBASが何ができるのかを考える必要がありそうです。

実現のための障壁としてざっと考えただけでも留学の資金問題やウガンダ人選手の問題、日本の高校で受け入れ先の問題などが思いつきます。

  • 資金問題 : ピッチコンテスト、クラウドファンディング、営業などは学生が資金を集めるのにも取ることが可能な手法であると思います。

  • 留学生  : 基本的にウガンダで選抜を任せるほかないのですが、例えばドジャースアカデミー出身で契約を勝ち取れなかった選手を日本に呼ぶのはどうでしょうか?MLB球団のアカデミーで学んだアメリカンベースボールを日本で鍛え直せば相乗効果で凄い選手になる気もするし選手にとっても野球を続ける機会を得られるので一見良さそうなアイディアです。しかし現状、ドジャースアカデミーについてはUGBASとのコネクションはなく実態も把握しきれていない部分が多いことから、ドジャースが引き抜きを許してくれるのかなど不安なことが残るのは否めません。

  • 受け入れ先: コネクションを使って頑張ることですね。正直、ここに関してもUGBASとしてできることはあまりなくウガンダ野球の第一人者である田中さんに来ているオファーに便乗させてもらうのが現実的です。


上に書いてきたことを踏まえて私はこれからの目標として

  • ウガンダ国内リーグの再開・充実

  • ウガンダ人のNPB選手を輩出(長期)

  • ウガンダ人の日本への野球留学の実現(中期)

  • ドジャースアカデミーの情報の充実(短期)

  • 資金源確保

  • ウガンダ野球の日本での認知度向上

大雑把なのですが上記を挙げたいと思います。

最後に

まとめると、ウガンダ野球は近年で実力が急激に伸びているものの運営の問題、金銭面での問題により国内のリーグが止まっているという現状があります。

UGBASの支援の形として、従来通りのUGBASからの金銭支援のみだと厳しいので他(主に日本の団体)からの支援を受けれるように支援することがいいのではないかと思いました。

その一環として現在伸びているウガンダ野球の実力をさらに伸ばし、日本におけるウガンダ人スターを輩出することでウガンダ野球のポテンシャルに投資する形で日本からの支援を受けることが持続的なウガンダ野球につながるのではないかということでした。

閑話休題


ここまで読んでくださった方はもう忘れてしまったかもしれませんがこれは「UGBASに入った理由とこれからの目標2024」というテーマの連載企画でした。

ということで今更ですが私がUGBASに入った理由を軽く話そうと思います。

実はそんなにはっきりと覚えていないのですが恐らく先輩方の人徳?に惹かれたことが理由だと思います。

興味を持ったのは「ウガンダ野球」とか「ウガンダ渡航」など楽しげな文字列があったことが大きいですが、結局のところ最終的にサークルに入ることを決めた要因は自分がそのサークルでやっていけそうかどうかということが大部分を占めていたと思います。(新歓参加後に入ることを決めたので)



最後の方が雑になってしまったかもしれませんが、これで終わりです。

これからも発展著しいウガンダ野球をよろしくお願いします。


この記事が参加している募集

#一度は行きたいあの場所

52,605件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?