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最速102マイルの剛腕との対談に密着! MLBに挑戦するウガンダの若き右腕(前編)

こんにちは。
ウガンダ野球を支援する会、東京大学3年の阿部です。

今回は以前、ウガンダ野球を支援する会メンバーの井筒がウガンダ人野球選手のデイビッド・マトマ選手にインタビューした内容の一部分をまとめようと思います。

デイビッド・マトマ選手はMLB球団と契約したウガンダ人三人目の選手であり、今現在(2024.5.1時点)マイナーリーグであるドミニカンサマーリーグのチームに所属する18歳右腕です。武器はノビのある直球と高速のジャイロスライダーとチェンジアップであり、マイケル・クレア記者が選ぶスプリング・ブレイクアウトで注目すべき選手20人にも選ばれています。まだ若く、僕が見る限りでもまだまだ荒削りで伸び代十分なので将来を期待せずにはいられません。


デイビッド・マトマ(David Matoma)選手について

身長/体重 183cm/70kg
生年月日  2006年2月2日
出身地   ウガンダ  ルウェロ カサナ村
ポジション ピッチャー
投打    右投右打
チーム   DSL Pirates Gold

略歴.   
ウガンダのドジャースアカデミー出身。2023年1月にMLBのパイレーツと契約したウガンダが誇る剛腕投手。2022年にドジャースと契約したベン・セルンクマとウマル・マレに続くウガンダ人三人目のMLB球団契約下の選手。昨シーズンはドミニカンサマーリーグにて救援投手として9試合に登板し、4勝をあげ、防御率0.00とインパクトを残した。


-対談

マトマ  ウガンダでは野球が出来る環境が整っていません。プロリーグもなく選手は週末にしか野球に触れる機会がありません。野球を観たり、コーチや設備も不足しており、練習もできないので上手くなるのも難しいです。さらに組織も脆弱であり素晴らしいリーダーシップを発揮する人もいません。組織が機能していないことにより試合をセッティングしたり野球クリニックを呼びかけた
​りすることができていません。

井筒   ウガンダ人のバッターの一番の問題は投手の直球に対応できてないことだと思います。ウガンダには速い直球に強いバッターがほとんどいないように感じられます。

マトマ  はい。ウガンダ人が速い直球が苦手なことはやはり練習機会の少なさに起因していると思います。試合が少ないのでバッターボックスに回数が非常に少ないです。また、ここ(アメリカ)には速いボールを投げる投手はたくさんいますが、ウガンダにはあまりいません。

井筒   マトマ選手は何種類の球種を持っていますか? 例えばカーブ、チェンジアップとかがありますが。

マトマ  私の操る球種は三種類でストレート、スライダーとチェンジアップを使っています。

井筒   以前にマトマ選手について書かれた記事を読んだ時に100マイル(約160km/h) を超えるストレートを投げると見たのですが…

マトマ  ストレートは102マイル(約164.1km/h)でます。チェンジアップは91〜93マイル(約146〜150km/h)でスライダーは91〜92マイル(約146〜148km/h)ぐらいです。

井筒   次にマトマ選手のウガンダにいた頃の話を聞かせてください。マトマ選手の出身地はどこですか?

マトマ  私はウガンダのカンパラから45マイルほど離れたルウェロの地で生まれ育ちました。

井筒   野球を始めたのはいつですか?

マトマ 私が野球に初めて触れたのは2歳の頃(2008)でプレーするようになったのは2014年(8歳)からです。2016年からはさらに傾倒していきました。

井筒   最初に始めた時にはどこかのチームに入ったのですか?

マトマ  最初は小学校でプレーをしていたのですが2016年に野球の奨学金がとれ、リトルリーグのチャンピオンシップやポーランドに行けた可能性もありました。
​その後進学しましたがドジャースと出会ったことでドジャースアカデミーに行くことを決めました。

井筒   ドジャースアカデミーにはいつから?

マトマ ドジャースアカデミーは2019年からです。2018年の12月にトライアウトを受けました。

井筒   トライアウトはどのような形式で行われましたか?ビデオを撮ってドジャース側に送るのですか、それとも一箇所に集められて見られたりするのですか?

マトマ  トライアウトの時はウガンダ各地から参加者が集まっており、その中から選抜されていきました。大部分は中心地からで選抜は学校で行われました。

井筒   さて、リトルリーグチャンピオンシップについてなのですがマトマ選手はシャワナのチームでリトルリーグチャンピオンシップ優勝を果たしていましたがポーランド遠征に行けませんでしたよね?

マトマ  はい、ポーランドには行けていません。

井筒   ビザの問題ですか?

マトマ  そうですね。遠征への許可が降りなかったことは最大の障壁だと言えるでしょう。

井筒   アカデミー時代のトレーニングについても聞かせてください。マトマ選手はドジャースアカデミーに3、4年いましたか。

マトマ  3年間ですね。

井筒   アカデミーで選手たちは暮らしていると思うのですがどれくらいの人が暮らしていましたか?

マトマ  たくさんの人が暮らしていました。いろんなチームから集まっていますからね。ウガンダの高校ではクラスがOレベルとAレベルに分かれているんです。
​Oが一般(ordinary)のクラスでAが特進(advanced)クラスでした。アカデミーではOが4クラスあって(野球が専門外の?)多様な人がいました。

井筒   アカデミーでの1日のスケジュールはどんな感じでしたか?

マトマ  えーと、まず朝は6時に起きて朝食は7時に食べます。授業が8時から始まり12時にランチを挟んで14時頃まであります。その後、トレーニングの準備に移りかかることができるようになります。トレーニングが終わる時間は日によりますが遅くとも大体17時か18時くらいです。18時に夕食を食べ、21時半には明日に備えて寮で寝るような生活でした。

井筒   昼間の授業についてなのですがAクラスは野球の影響で受けられる授業か何かが制限されているのでしょうか?

マトマ  昼間の授業については一般的なウガンダのカリキュラム通りだと思います。授業時間は1コマ1時間でたまに2時間に延長される時もあります。科目は数学、英語、歴史、生物、化学などでしたね。教えているのはウガンダ人です。

井筒   普通の授業は週5であると思うのですが、野球のトレーニングをする日はどれくらいあったのでしょうか?

マトマ  はい、平日は毎日授業があり、野球をする日は月曜日と水曜日と金曜日でした。火曜日と木曜日はサッカーをしていました。サッカーはオプションで主に女子向けだったのですが何人かの男子も希望者はいました。

井筒   野球のトレーニングの内容を教えてください。キャッチボールとかランニングとかですか?

マトマ  そうですね、まず最初に全体でストレッチやウォームアップをします。その後はポジション別でメニューが分かれていました。
​ポジションがピッチャーだった場合は次のメニューはバンドを使ったトレーニングです。バンドを引くなどしてピッチャーに必要なインナーマッスルを鍛えたり柔軟な体の使い方を練習したりします。その後はそのまま投球練習にうつります。
​野手の場合はウォームアップの次はキャッチボール、そして守備練習、それが終わったらピッチャーとも合流しケージに移動してバッティング練習を行なっています。これらの練習が全て終わった後にウェイトトレーニングを行なっていました。

井筒   トレーニングでは全ての選手が同じメニューで練習していたのですか、それともレベルによって違うものになっていたのでしょうか?

マトマ  質問の意味を理解しました。ドジャースアカデミーでは昼間の授業はみんな同じクラスなのですが野球の練習では同じではありませんでした。野球の実力は人によって差がありましたから。なのでいくつかの実力に応じたグループ分けがなされそのグループで練習をしていました。そういうプログラムだったのです。

井筒   ありがとうございます。



訳すのが疲れたのでとりあえず今回はここまでで。
よくわからなかったところは僕の解釈で埋めていたり、そのまま翻訳したりしてしまったのですがご容赦を。

ウガンダでは野球を存分にやる環境はまだまだ整っていないようで、トッププロスペクトの選手のレベルアップのためには海を渡り異国の地で研鑽を積む必要がありそうです。環境が違う地だからこそ得られる経験は発展途上のウガンダ野球にとって大きな意味を持つことでしょう。


ウガンダ野球の直近の動向としてウガンダ野球連盟の代表を決める選挙戦があります。度重なる不正選挙や暴力事件など
選挙戦の結果が今後のウガンダ野球にどう影響するのか、ウガンダ国内の野球情勢からも目が離せません。

選挙戦については詳しくまとめた記事もあるのでそちらもどうぞ。


対談の後編についても乞うご期待を。


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