組織変革の専門家が綴るnote。【第4回】独立4年目の今、思うこと
こんにちは。組織開発コンサルタントの上崎 大輔です。
組織開発のTipsをお伝えする本コラム。今回は、私が「独立してよかったこと」と「独立する前にやっておけばよかったこと」について書いてみたいと思います。
独立しても稼げるの…?案件はどうやって獲得するの…?
そんなみなさんの疑問にお答えします!
■目次
1.独立して得られたもの
2.独立する前に準備しておきたいこと
3.独立する際に覚悟すべきこと
4.独立に向いている人のマインド
独立して得られたもの
前回の記事でも書きましたが、私は大手メーカー人事⇒ITコンサル⇒スタートアップというキャリアから、2019年に独立しました。最初は個人事業主でしたが、その後、友人と一緒に合同会社を立ち上げ、今年で3期目になります。
周囲の人たちからは、「独立してどうだった?」と聞かれることがよくあります。
率直に言うと……社会人生活の中で一番充実していて、もうサラリーマンには戻れません!
独立してから、ビジネスパーソンとしての成長を一番に感じています。毎年毎年ドラマがあり、困難もありますが、見える景色が変わりました。
とはいえ、会社員と個人事業主の違いは、実際に体験してみないとわからないことが多々あると思います。そこでまずは、私自身が「独立して得られたもの」についてお伝えします。
<独立して得られたもの>
自分がすべての責任を負っているという感覚
自分で稼いでいる、この社会で生きているという感覚
日、月、年を重ねるごとに、強く・逞しくなっているという感覚
自分で人生をコントロールできている感覚
私は独立して初めて、自分で提案して、金額を決めて、サービスを提供するという全プロセスを経験しました。そこで気づいたのが、「自分の事業に全責任を負う立場」と、「組織人として守られる立場」は全然違うということです。
会社員時代を振り返ると、仕事は「用意されているもの」であり、言われたことをやれば一定の評価を得ることができました。ところが独立したら、自分から動かない限り、誰も仕事をくれないわけです。その結果、自分の人生と家族に対する責任感が強くなり、主体的にコミットする力が高まりました。
「自分の事業に全責任を負う」過程では、思い通りいかないことばかりです。売上が上がらず胃がキリキリしたり、提案が全然通らず落ち込んだりすることも多々あります。
一方で、その分自分の底力のようなものが鍛えられます。ちょっとやそっとのことではぐらつかない自分の芯というか、拠りどころが見つかってくるのです。まさに「自分自身で人生を創っている」感覚であり、この気持ちは組織に属していたときには得られなかったものだな、と感じます。
独立する前に準備しておきたいこと
独立はたしかにメリットが大きいものです。一方で、「稼げる個人事業主」と「稼げない個人事業主」の両方が存在することも事実です。
稼げる個人事業主に必要なこと。それは、どの領域で独立するか、どの単価感で勝負するかなど、事前の準備を入念に行うことです。
稼げる個人事業主は、強みが明確だったり、マーケットを客観視しながら自分の単価をうまく上げたりすることができています。逆に、熱意だけで独立する人は、安価な案件を請け負ってしまう傾向が強いようです。
<独立前に押さえておきたいこと>
収入につながる強いスキルを持っておくこと
仕事をもらえるネットワークを構築しておくこと
自分がサービスを提供する領域での単価感を把握すること
協力してくれる友人や個人事業主パートナーを見つけること
特に私の場合は、前職のコンサルティングファームで鍛えられたスキルがあったからこそ独立できたといっても過言ではありません。独立をするうえでは、専門スキルにプラスして、あらゆるビジネススキル(ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキル)が求められます。現在独立を考えている方は、「まずはどのようなスキルで独立するのか」を考えつつ、最終的には、経営者と対峙するレベルに成長することを目指すのをお勧めします。
また個人的に、とりあえず見切り発車で独立するのはかなりリスクが高いと思っています。独立した際に、きちんと仕事をもらえるネットワークが構築できていること。また継続的に案件を獲得できる構想が描けていること。この2点は意識していただきたいポイントです。
さらに、「自分のサービスはどの領域なのか」「他社はいくらで提供しているのか」「他社のサービスの弱みはなにか」という点も分析し、提案書や提案金額のイメージまで持った状態で独立するのが理想的です。
独立する際に覚悟すべきこと
ここまで読んで、「いざ独立!」と考えているみなさんへ。これは、今の私が独立した頃の自分にアドバイスするとしたら?という切り口で考えた内容です。
コンフォートゾーンを抜け出して、稼ぐ覚悟を持つ!
大切なのは、「自分から仕事をとりにいく」「チャンスがあれば提案する」という姿勢です。そのためには、プライドを捨てて、格好つけずに周囲の人に相談・協力を依頼することが求められます。
独立したての頃は、自分の実力やサービスに自信を持つのが難しいかもしれません。そのようななかでもで、たとえ今できない仕事であっても「やらせてください」と気合いでとりにいくこと。また、請け負った仕事には全力をかけて、お客様の満足度を満たそうと努めることが重要です。
会社員スタンスだと生き残れない!
個人事業主として成長していくと、一緒に仕事をしている人が会社員なのか、個人事業主なのか、すぐにわかるようになります。それは仕事のスタンスや請け負い方に大きな違いが見られるからです。
特に感じている違いを表に整理したので紹介します。
![](https://assets.st-note.com/img/1691158731885-vPpUojME6H.png?width=800)
一定の成果を出すまでには時間がかかる!
独立して、はじめからうまくいく人はほんの一握りです。私の周りにも、何年もかけて今のポジションを築いたという人たちを多く見かけます。
うまくいかないうちは、焦ることも多々あります。私も独立初期は、「食べていけるのか」「自分に仕事を任せてくれる人はいるのか」という不安に苛まれました。また、仕事がなくなる不安感でとにかく毎日がむしゃらに働きましたし、「変な仕事をしたら契約を切られるのでは」という強迫観念に駆られることもありました。
ただ、徐々に個人事業主の仲間同士のつながりができたり、周囲の評価を得ることができたりしたことで、安心感や自信が生まれるようになりました。
また独立から3年目頃でしょうか、少しずつ自分自身の得意な“型”が見えてきたのです。自分だからこそ発揮できるスキルが案件獲得につながり、実績も拡大しました。そして実績が増えるにつれ、自分の心も安定し、お客様にも根拠をもって自らのサービスを提案できるようになりました。
自分の「価値」を常に意識することが大切!
初期は、自分の経験値を高めていくことが何よりも大切な時期ですので、やったことのない仕事であっても積極的にチャレンジし、多少単価が低くても実績を作りにいくことをお勧めします。
ただし、案件が取れるようになってきたら、安請け合いすることは極力避けたほうがよいでしょう。安易に自分の価値を下げる必要はないからです。
さらに中長期的に案件を獲得していくためには、“チャレンジ”と“安定”のバランスを図ることが大切です。クライアントとの信頼関係をもとに、継続的に案件を獲得しながら、新たな領域に自分の可能性を拡げていくこと。さらには個人事業主同士のネットワークを大事にしながら、お互い協力しあったり、新たな価値を共創したりできる関係性を作りあげることが有効だと思います。
独立に向いている人のマインド
主観になりますが、独立に向いている人のマインドとして、以下のような特徴が挙げられると思います。
他者依存ではなく、主体的に動ける人
人に負けない強み・こだわりがある人
仕事の成果に対するハードルが高い人
自分の価値を適正な価格で売れる人
孤独感に耐えられる人
とはいえ、独立する人がスーパーマンなわけではなく、独立した人に話を聞くと、先行きが見えない不安を抱えながら独立していたことがわかります。
この社会のなかで、自分で人生を切り拓くというのは決して簡単なことではないですが、一度その道を踏み出すと、サラリーマンでは得られない充実感が待っています。
これから独立していくみなさんの道のりも充実したものとなるよう願っています。
P.S. 独立は、大きなきっかけや勢いの後押しも大事だと思いますので、焦らずで大丈夫です。
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