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かまぼこ愛


こだわり

人は誰でも、「こだわり」がある。

食べ物
雑貨
バッグ


食器

など、何かにこだわっていることがあるはずだ。

私は、タイトル通り「かまぼこ愛」が強いらしい。

「らしい」と言うのは、家族に言われて気づいたのだ。
「そこまでこだわっている人は、周りにおらん」と。

「え、そうなの?これ、普通じゃない?」
と言うと、「じゃあ、周りにそんなこと言ってる人いる?」と逆に聞かれて、黙って考え込んでしまった。

食べ物が美味しいか美味しくないか、については、誰でも口にする。
しかし、ある特定の食べ物に関して、こだわりを強く持っている人と言えば、「グルメなお金持ち」を想像してしまう。

しかし、「かまぼこ」だ。

スーパーで100円代で買える代物だ。

そんなかまぼこにここまでこだわる人は珍しいらしいので、今回noteに書いてみることにした。
さらに、いつもの「エッセイ風」とは、趣が違うので、わざわざ「こだわり」というタイトルのマガジンを作ってみた。

多分、いつもとは違う、いや、違うに違いないので、たくさん驚いてほしい。

1 人生で最も美味しかったかまぼこ


そもそも、なぜ私がこんなに「かまぼこ愛」が強くなったのか。

あれは、小学校4年生の夏休みだったと記憶している。
母の継母の実家が、熊本県天草にあった。
天草と言えば、「隠れキリシタン」「海の町」「イルカウオッチング」で有名だ。

私の母は7歳の時に実母を亡くし、その後継母がやってきて育てられた。
しかし、この継母がかなり強烈な人で、気が強かった私の母は下手に抵抗したため、今でいう虐待まがいのことをされて育つ。

4人兄弟の長女。
上に2人の兄がいて、妹がいた。

家事は全て手伝わされ、家族がどこかに旅行に行く時も、必ず母は留守番をさせられ、連れて行ってもらえない。
柱に縛り付けられ、冷水をかけられ、ハサミが飛んできて、足に刺さって、血よりも脂肪が見えた・・・

物語の中の話かと思って聞いていたが、今の時代は逆にそんなことは毎日のようにニュースで流れている。恐ろしい時代だ。

いやいや、かまぼこの話だ。

私はその母の継母である、「血のつながらないおばあちゃん」に可愛がってもらっていたので、そんなことはまだ知らないまま、「おばあちゃんの実家に
泊まりに行くのよ」と言われ、喜んで家族で行った。

その天草の家は、漁師。
目の前が海で、周囲にはたくさんの教会がある。
確かに自分が住んでいた福岡の家とは全く違っていた。

夜には家の前の海辺で花火をした。
花火が終わると、その家のお兄ちゃんが海に入って網を落としていたのを見ていた。

朝起きると、お兄ちゃんが目の前の海から網にかかった魚を取ってきた。
魚屋で買うものだと思っていた魚が、目の前でお金も払わずに取れてしまうのを見て、世の中の仕組みも知らないから、「すごいなー」と思った。
漁師さんたちは、漁業権を持っていることなど、ずっと後になって知った。

その後、お兄ちゃんはその魚を調理し、家の台所の一角にある「機械」に魚の身を入れて、「ミンチ状」にした。
(今でいうフードプロセッサーだろう。当時は昭和なので、こんな機械さえも珍しかった)

それを蒸し器に入れ、やがて私たちが朝ごはんを食べている時に、「それ」は出来上がった。

パクっ。
一口噛むと、温かくで弾力がある。
白身の魚の香りがフワーッと広がる。
温かくて美味しい。
今まで食べたことがあるような、ないような・・・不思議な気がした。

「これ、かまぼこ?なんか違う気もするけど」
と、お兄ちゃんにいうと、「出来立てのかまぼこよ」と教えてくれた。
この時の光景、台所、食事場所について絵が書けるほど、鮮明に覚えている。
あの「出来立てかまぼこの味」と共に。

「人生最高の美味しかったかまぼこ」を食べた瞬間だった。

それ以降どんなかまぼこを食べても、これを超えるものには残念ながら出会ったことはない。

その後なぜか、この血のつながらないおばあちゃんの家に行くことはなかったので、たった一度きりのかまぼこが、生涯私の中に残り続けた。

2 かまぼこ愛が芽生えた時

私の「かまぼこ」を見分ける舌は、10歳のこの体験で出来上がり、その後、何千回とかまぼこを口にする機会はあった。

お弁当
お吸い物
茶碗蒸し
おせち料理
ちゃんぽん
うどん
そば

かまぼこが入っている料理は数知れない。
しかし、まだ子供だった私は「そんなもの」として、何の不満もなく食べてきた。

世の中は、市場で買い物をするスタイルから、スーパーマーケットへと変化した。
流通する商品の数は、段違いに増えた。

「もどき」が出てくるようになったのも、この頃からだ。「カニカマ」などはその典型だと思う。
(今では立派に商品として成り立っているが)

あれはいつだったか、とても「不味い」かまぼこを食べたことがあった。
「え、これかまぼこじゃない」とすぐに私の舌は反応した。

そこから、「不味いかまぼこと美味しいかまぼこは何が違うのか」を意識するようになった。
もちろん、天草で食べたあのかまぼこが、特別で、とびっきりに美味しいことはわかっていたので、それと同じものは求めていない。
それでも、「不味いかまぼこ」は許せない、と言う気持ちを、初めて持った。

かまぼこを買う時に注意深く、色々と見るようになって、ようやく気がついた。

「材料」に違いがあることに。


いいですか?
大事なことを言います。

1 美味しいかまぼこを食べたい、と思ったら、かまぼこを包んでいる包装ビニールの裏側を見てください。

2 「材料名」に「デンプン」「澱粉」「でんぷん」「でん粉」って書いてあったら、私はすぐに棚に戻します。

え、じゃあ、材料名に「デンプン」「澱粉」「でんぷん」「でん粉」って書いてなかったら?
→おそらくそれは「デンプン含有量0%」ですので、買ってください。
必ず、一定の弾力があり、魚肉以外には食塩、くらいしか使っていませんから。

「デンプン含有量」が、私の好みのかまぼこか、そうでないかを決める、大事なポイントだと気づいてから、私はちゃんぽんや、ラーメンなど、あまりかまぼこを重視しない料理には、デンプンが入っているかまぼこを使い、お節料理やうどん、
茶碗蒸し、または「板わさ」など、かまぼこの味を味わいたい時には、「デンプンなし」のかまぼこを、と使い分けるようになりました。

個人の評価です

材料表示の仕方が、最近簡素化されたようで、以前は「でん粉含有量10%」などの表示がありましたが、今はパーセンテージは表示されず、「材料名」のところに、「デンプン」「でんぷん」「澱粉」「でん粉」が書かれているかどうかだけが、見分ける方法となりました。
1%でも、デンプンが入っていたら、材料名に「デンプン」と書かれています。

おせち料理には、美味しいかまぼこを食べてほしい。
何なら、食べ比べてみてほしい。
どう違うのか、何が違うのかを知ってほしい。

そんな大きなお世話で、この記事を書いています。

3 おすすめのかまぼこ

じゃあ、一体どんなかまぼこがおすすめなの?
と思った人もいるかもしれません。

デンプンが入っていないかまぼこは、デンプン入りより値段は高いです。
しかし、そんな中でもあまり高くないもの、私が日頃購入しているものをご紹介します。

ニッスイの「蒲さし」です。

実は、この蒲さしは以前は「宇部かまぼこ」という会社が作っていました。
山口県宇部市に工場があります。
ニッスイの工場は、福岡県北九州市戸畑区にあります。


宇部かまぼこ

https://www.ubekama.co.jp/item/kamaboko/

山口は日本海側に面したところで、下関はふぐ市場で有名ですし、「唐戸市場」という市場は、観光客がたくさん訪れるところです。


https://www.karatoichiba.com/

私は、福岡出身ですので宇部かまぼこさんを、贔屓にしていました。
仙崎かまぼこも、美味しいです。
仙崎という山口の港にあるお店では、美味しそうなお魚が信じられないような安さで売られています。

仙崎

https://yamaguchi-tourism.jp/spot/detail_17619.html

あの、金子みすゞさんの出身地で、金子みすゞ記念館もある土地です。

金子みすゞ記念館

https://www.city.nagato.yamaguchi.jp/site/misuzu/


ああ、宇部かまぼこの話でした。

その宇部かまぼこを、最近ニッスイが買収?吸収しました。
そのため、今ではニッスイの商品となっています。

この蒲さしは、スーパーで気軽に買えます。
1本200円ちょっとです。
少し塩味が効いていますので、このまま食べても十分に美味しいです。
赤と白があります。(ワインみたいですねー)

蒲さし

https://www.ubekama.co.jp/item/kamaboko/ginsen_kamasashi.html

それ以外は、どんなかまぼこでも、デンプン含有量がゼロなら、何でもいいです。
先日購入した、熊本武蔵茶屋で使われているかまぼこもすごくおいしかったです。
なんとそのかまぼこも「山口の仙崎」から取り寄せている、と言っていました。

もちろん、かまぼこで有名なところは全国にたくさんありますし、最終的には自分の好みですので、何を食べてもいいのですが、もし、もし、美味しいかまぼことそうでないかまぼこの違いを知りたい!と思った人がいたら、ぜひ「材料名」を見てほしいです。

最後に

完全に私の好みで書いた記事です。
何が正しいとかは、ありません。
「食は好み」ですから。

ただ、私は10歳の時に食べたあの幻の出来立てのかまぼこに近いかまぼこをこれからも求めて、こだわり続けるだろうな、と思っています。

いっそのこと、自分で作った方がいいかもしれませんね笑

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
かまぼこ、大好きです!


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