見出し画像

人事がエンジニアとよい関係を築く上で大事にしていること

こんにちは。HR Tech企業で人材育成・組織開発をやっているうえむらです。本記事では人事としてエンジニアと関わる上で、主にコミュニケーション面で私が大事にしていることや、実際にやってよかったことを紹介していきます。


対象読者

本記事は人事職としてエンジニアと関わる機会を持つ方を想定した記事となります。特にエンジニアに対して苦手意識を持っている方や、もっとうまくコミュニケーションが取れるようになりたいと思う方に向けて書いていきます。もしかしたらビジネス職の方にも役立つ点があるかもしれません。エンジニアの皆さんはどうか生暖かい目で見守ってください。もちろんツッコミも歓迎します。

こんな風に思ったことはありませんか?

  • エンジニアとのコミュニケーションが苦手で意思疎通がうまくいかない

  • エンジニアが持つ専門的な知識や技術を理解しにくいことが多い

  • エンジニアと意見の食い違いが起こりやすく、うまく協力できないことがある

  • エンジニアとの関係がもっと良好になれば成果の向上につながるはず…!

人事担当者には上記のような悩みを持つ人が少なくありません。こうした悩みに対して、エンジニアについて実務面でキャッチアップをする記事を見かけました。これは素晴らしいアプローチだと思います。

こうした実務に直接紐づく知識のキャッチアップに加え、エンジニアとの関係性をより良くするためにコミュニケーション面でも工夫できることがありそうだなと思い、本記事を執筆することにしました。

意図的な雑談を増やす

エンジニアに苦手意識を持っている人事担当者の話を聞いていると、単純に接点が少なかったり、業務上の会話に終始していそうだなと思うことあります。逆にエンジニアと良いコミュニケーションが取れる人事は意図的な雑談機会を設けていることが多いです。パーソナルな相互理解を深められるのはもちろん、エンジニアが日頃の業務で何を大事にしているかを知るきっかけを得ることができる点が雑談の強みです。人事とエンジニアの関係性においては以下記事でいうところの話者にとって重要だとは認識していないが実は重要な情報の量が多く、何気ない会話が意図しない情報の削ぎ落としを回避するメリットが大きいと考えています。

私自身も1on1やSlack上での発信を読む時間を意図的に設け、エンジニアたちが日々どのように過ごしているかをキャッチするようにしています。

自社のエンジニアはリモートワーク中心であるため、オフィスのようにふらっと立ち寄って雑談する機会は以前と比べて大きく減りましたが、代わりにテキストコミュニケーションでの雑談や、Webミーティングやhuddleなどを用いたリモート雑談を組み合わせることで意図的な雑談を増やすことができます。以下の記事はエンジニアとの雑談を考える際に役立つと思います。

また会社によっては分報(times)文化が発展しているところもあるかと思いますが、人事担当者はこっそり眺めている方も多いのではないでしょうか。以下の記事ではエンジニアとtimesで上手に交流するためのコツがまとめられています。こちらもご参考ください。

担当者として接する

エンジニアと関わる際に人事の私が気をつけていることに担当者として接するというものがあります。採用協力や人事施策などエンジニアへの依頼が発生する際に必要性がうまく伝わらなかったり、やり方が良くないといった意見をもらい、ピリッとした空気が生まれる場面に稀によく遭遇します。人事としてはそうした際に「会社や組織が決めたことなので~」というロジックをつい繰り出したくなるものですが、ぐっとこらえましょう。以下の記事を読んでみてください。

なにか問題が起きた時に、人は、よくわからない何かに原因をおしつけて思考停止してしまうということがままある気がする

組織は話さないですよ

エンジニアは問題が起きた際には根本原因を突き止め、あるべき姿との差分を探る習性を持っています。よくわからない何かに原因をおしつける行為は問題解決から遠ざかる行為とみなされる可能性があります。私たち人事が会社や組織を主語にして何かを語ろうとする時、エンジニア達は思考停止していないか?という目でこちらを見ています。

私はこうした場面では、担当者として自分を主語にした伝え方をすることを心掛けています。自分を主語にすることで、会社や組織が決めたことは覆すことができないものであるという暗黙のメッセージを避けることができ、建設的にコトに向き合うことができるためです。

実際に会社や組織が決めたことなんだけどな(自分にもよく分からないんだけどな)、ということもあります。人事はそういう役回りになることもありますよね。わかります。そうした際には自分から見える事実を伝えたり、自分自身が理解していること、理解していないことを分けて伝えることが信頼を得ることに繋がります。逆に「人事としてのあるべき姿」に固執しすぎることは対立を招くことに繋がるのかもしれません。

余談ですが、メテオフォール型開発と呼ばれる開発手法にトラウマを持つエンジニアがこの世には少なからず存在します。実際にその現場を知ると全く笑えないのですが、記事は面白いのでぜひご一読あれ。(人事は「神の使い」と見られないよう振舞っていきましょう)

学びを発信する

人事には勉強家が多いですよね。労働基準関連の法制度、人や組織にまつわる先行研究、人事トレンドや他社事例のキャッチアップなど、学ぶものは無限に存在します。私の周りでも多くの人事パーソンが日々学んでおり、人事組織の中で学びを共有し合う光景が見られています。

一方で、人事が現場に見える形で学びを発信する姿はあまり見かけません。そもそも人事が個人として非公式に発信することがリスク >メリットと評価されることが多いように思います。これは「人事は社員にサービスを提供する主体であり、社員とは対等な存在ではない」という先入観によるものではないでしょうか。たしかに人事が変なことを発信して社員からクレームが入ってしまったら…怖いですね。

そうしたリスクを踏まえてもなお、学びを発信することのメリットは大きいと私は考えています。特にエンジニアとの関係性においては以下の点でポジティブな効果を生むことができます。

  • 自ら発信して学習文化に寄与する姿はエンジニアから見ても善きことである

  • 発信内容を通じてエンジニアの知的好奇心をくすぐることに繋がる

  • 発信が双方向コミュニケーションの機会を生み出す

ソフトウェアエンジニアリングの世界ではオープンソースと呼ばれる開発方式があります。これはソフトウェアのソースコードを無償で公開し、世界中のプログラマがソフトウェアを改良して再配布できる方式で、コミュニティに自ら参加し手を動かすことでソフトウェアの維持・発展に寄与することができるという思想に多くのエンジニアが共感しています。

転じて、学びについてもエンジニアはオープンに発信、交換し合う姿を好みます。学びの対象はテクノロジーに留まらず、人や組織に関する知識も歓迎されます。私たち人事も日頃の学習行動を発信することで、学習文化を醸成するコミュニティに寄与することができます。

ここからは、実例を含めて発信時のコツをいくつかご紹介します。

発信の場を設ける際のポイント

自社ではコミュニケーションツールとしてSlackを利用しています。その中で私は自分のtimesチャンネルを発信の主戦場としており、勉強会や書評広場など、いくつかのチャンネルで発信しています。発信の場を設ける際のポイントは以下の点となります。

  • オープンな場であること

  • 参加が強制されないこと

  • 自然な場であること(人事であることをむやみに強調しない)

興味関心のある人が自分から見に行けることや、立場を意識せずフラットに参加できる場であることが重要です。会社からの公式なアナウンスチャンネルと対比してみると分かりやすいかもしれません。各社で使われるコミュニケーションツールやポリシーを踏まえつつ参考にしてみてください。

続いて、発信内容についても見ていきます。

記事を紹介する
ネットニュースやブログ記事など、読んでいてなるほどと思った記事を社内Slack上にぺしぺしと貼っていきます。記事内で特に気になった箇所を引用すると読者の興味を惹きつけることができるかもしれません。時間があるときは感想を、ないときは「わかる」「あとでよむ」などと一言添えると良い雰囲気になります。

emojiによる双方向コミュニケーションが生まれる図

書籍を紹介する
記事紹介の延長になりますが、書籍を通じて得られた学びは発信する価値がより大きいと考えています。特に人事関連の書籍は普段あまり触れることのない領域なので「この人からしか得られない学び」という特典がつきやすい側面があります。たまたま同じ本を読んでいる社員からリアクションが得られることもあり、自然な交流を楽しむことにも繋がります。

Googleフォームで書評を提出するとSlackに流れるようにしています

オープンに読書会を開催する
人事内で実施する読書会を一般社員も参加できるように公開しています。人材育成・組織開発という領域だからこそのやりやすさもありますが、採用や労務も現場マネージャーの興味関心に繋がるテーマであるため、適切な場を設けられれば実践する価値は十分にあると思います。読書会の様子を社外に発信することで、稀に著者からコメントを頂くことがあります。発信は2度美味しい…と思ったりします。

発信する時に気をつけること
あくまで非公式な発信であることが分かるように発信しています。(SNSで言うところの「発言は個人の見解です」というやつです。) 公式感を醸し出す発言、具体的には社内の制度・施策や人事提供サービスに無暗に紐づけて語ることは避けるよう気をつけています。(出来てないこともありますが…)

おわりに

いかがでしたか?本記事ではエンジニアとの関係をより良くするコミュニケーション面での工夫について「意図的な雑談を増やす」「担当者として接する」「学びを発信する」の3点を紹介しました。こうした点に加えて、エンジニアの業務や技術などの専門知識を蓄えられるとなおよいと思います。エンジニアと良好な関係を築き、彼らとのコラボレーションを通じてより良い成果を生み出していきましょう。

この記事が参加している募集

人事の仕事

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?