見出し画像

パリで駐車場経営失敗! 苦渋の3年間に終止符の兆し…?

「あなたが購入された、この駐車場は『隠されたネジ(Vice caché)』かもしれませんよ…」と、眉をひそめつつ話すのは、家のリフォームでお世話になった工務店の社長さん。「隠されたネジ」とはフランス語で、不良住宅や欠陥不動産が、売買の際に不備を明記されずに手続きが済んでしまうことをいうそう。言われてみると、不動産屋の押しが強いマダムの怪しい挙動がいくつも思い当たる…。

それは、3年前に遡ります。アパルトマンを購入した際、駐車場も一緒に探し始めました。土地が少ないパリでは、駐車場探しも極めて難しく、多くのアパルトマンは100年以上前に建てられているため、住宅に付属した駐車場なんてものは夢の話。自宅から徒歩5分圏内に駐車場が見つけられれば御の字といわれています。徒歩10分の駐車場を借りている友人もいるほどです。

それほど希少な存在なだけあって、探せど探せど賃貸駐車場は、全く見つかりませんでした。パリでは、駐車場の所有権が売られているので、購入することも視野に探し始めました。そんなとき、近所の不動産屋のマダムが「4枠だったら売れるわよ」というのです。1枠単位では売れないけれど、4枠まとめて買えるのだったら、と。

そこから畳み掛けるようにセールトークが始まりました。屋外だから施設費はほぼゼロ、固定資産税も大した額ではないといいます。1枠は自分たちが使い、残り3枠を賃し出せば、その家賃収入でローンの返済ができるというオイシイ話です。結果的には駐車場代を払わずして車を停められる上に、数年経てば駐車場が手に入る!? 場所も我が家の並びにあるアパルトマンの中庭です。こんなに良い投資不動産めったに出ない代物だと!

しかも、不動産屋のマダムのモナコに住むお友達の物件だから、手数料はいらないというのです。不動産屋は介在せずに直接契約で進めることは、フランスでは珍しくありません。不動産屋を通さずに直接売買するための不動産サイトがあるほどです。これがその後、面倒を引き起こすとはつゆ知らず…。

濡れ手に粟な話が大好きな私は、家に帰ると早速、夫に報告。慎重な夫は懐疑的でした。そこで、一切、借り手がいなかった場合でも、返済してやっていけるのかを計算し始めました。月々のローンの返済額を減らすためには、頭金を増やすしかありません。なにがなんでもこの駐車場が欲しい! ならばそれまで運用してきた、私の投資信託を解約しましょう!

お金に対して意識が高いように聞こえるかもしれませんが、投資センスが全くない私なので、当時、リーマンショック直前にそれまでの貯金を全額突っ込み、一気に価値が半減したという苦い経験をしました。最終的な利回りは悪くなかったけれど、ストレスを抱えた分、あまり得した気分にもなれず、もう二度と投資なぞはしないと心に誓っていたのに…。

慎重な夫の助言を無視し、意気揚々と投信信託を解約、頭金にして購入しました! 駐車場4枠!! でも、契約してから気づいたのです。通るたびにいつも開いていると思っていた入り口の自動シャッター。通常、パリの駐車場は、屋内外に関わらず、扉がついていてセキュリティがしっかりしています。リモコンキーで車に乗りながら開閉できるものなのですが、契約時にそのリモコンキーをもらっていません。

不動産屋のマダムは「まぁ、すぐ直るわよ」を繰り返すばかり。不審に思い、管理組合の過去の議事録をみていると、実は、5年も前からずーっと壊れっぱなし!!! マダムのお店の向かいに駐車場の入り口はあるのに、まるで最近壊れたかのような言い方!!! でも、マダムは売買の正式な仲介人ではないので説明責任はありません…やーらーれーたー!!!!!

ここから、長い長い闘いが始まりました。調べるほどに、長らく壊れていた理由がわかり、単純な扉の故障ではないことを知りました。駐車スペースが確保されたとしても、ドアが壊れていたら、セキュリティ的には意味がありません。それでも、なんとか賃貸人はみつかれど、誰でも入れる状態の駐車場には不審者があらわれ事件が…。

今まで何度もこの話をnoteに書こうと思っていたのですが、そのことを考えると、あまりに気が重くて書く気になれず…。この度、事態が進展し、解決に向かいそうなので、筆を執ろうと思いました。
こんな私的な失敗談、面白いかどうかわからないので、もし解決までの孤軍奮闘した話を読んでみたい! と思ってくださった方は、スキをしてくださると、励みになります。スキがたくさん集まりましたら、続きを書いてみようと思います!

※追記:続編を書きました!

▼ 「フランス ✕ 不動産」をマガジンにまとめています


この記事が参加している募集

最近の学び

もし面白いと思う記事がありましたら、興味ありそうな方にご紹介いただけたら、とっても励みになります!記事のシェアが一番のサポートです!