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D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略【読書メモ】

THE GUILDのGo Andoさんなど、いろいろな人が良かったとツイートしていたので通勤中にAmazonでポチりました。
多くの人が勧めるだけあってすごくおもしろかった。カラーで見やすく、文体も読みやすかったためすぐに読み終わりました。デジタルマーケティングやブランディングにかかわる人におススメします。

D2Cとは

D2C : Direct to Consumer
消費者に対して商品を直接的に販売する仕組みのこと。Amazonや楽天とか通さずに自社のECサイトなど自社チャネルを用いて直接販売する形態のこと。

既存のプラットフォームを利用せずに直接販売することで中間マージンをカットして安く販売できること。
という認識だけだとD2Cについては理解が不十分。中間マージンを失くしやすくすることもメリットの一つですが、特徴的なメリットは

・デジタルを活用することで精度高く直接的に顧客を理解する手段を得たこと。
・デジタルを活用して精度の高い顧客の状態(状況)を把握できるようになったこと
・収集したデータを自社で解析して販売戦略、商材開発、ブランディングに活かせること
・プロダクト中心ではなく世界観を中心とした戦略をとっていること

アメリカではD2Cブランドが既存大手を数年で倒産させるほどの急速な事業成果を出している。そういうこともありD2Cが盛り上がって(バズワードになって)きています。(下記はP20 からの抜粋です。)

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D2Cをもっとよく知るには下記も参考になります。「FABRIC TOKYO(ファブリック トウキョウ)」というアパレルD2Cサービスの代表のブログです。日本でD2CといえばFABRIC TOKYOの名前は必ずでてきます。

D2Cは日本で流行るのか?

アメリカのD2CブランドとしてマットレスのCasperやメガネのWarby Parkerが紹介されていました。

どちらもアメリカにはない低価格で高品質のサービス(プロダクトは普通よりやや上?くらい)だったこともありミレニアル世代から圧倒的な支持を得たようです。

日本にはすでにZoffやJINSなど低価格で高品質なメガネがあったり、100均でも高品質なプロダクトは多くあります。本書にも書いてありましたが、整備されている流通網やすでにデフレで価格が安いため日本でのD2Cの流行はアメリカよりもハードルが高い。アメリカのD2Cブランドほどの急成長企業は日本では(日本市場向けでは)出てこないと思ってます。

日本市場でD2Cブランドはあまり多く出てこないとは思いますが、D2Cの考え方は、これから重要なマーケティング戦略となっていくと感じました。D2Cというよりは前回読んだアフターデジタルで紹介されていた「OMO(Online Merges with Offline)」をうまく活用していくことが大事になるといったほうが正確かも。

今後の新しい企業(起業)はOnline とOfflineを同時に考えながらマーケティング戦略を考える。既存の企業はOfflineにうまくOnlineを融合させていく(付加するのではなく融合させる)ことが大事になる。アメリカのD2Cブランドの活動はその参考になると思いました。

今後のマーケティング戦略で参考になりそうなこと

本書を読んで個人的に今の仕事とか今後のマーケティング戦略で参考になりそうなキーワードをピックアップすると以下。

・シングルチャネルからマルチチャネル
・有限の枠から無限の枠
・優しいデジタル
・個人的ジャーニーから社会的ジャーニー

シングルチャネルからマルチチャネル

デジタルの可能性を極限にまで活用しコミュニケーションチャネルの多様化と世界観の重層性。手段が増えたけどそれぞれを独立させるのではなく連携させて重層にしないと効果が薄くなりそう。単純にマルチチャネル化で手段が増えたという認識だと意味がなくなってしまう。

無限の枠の活用

テレビCMや雑誌の紙面など有限の枠の奪い合いだったけどもネットによって枠の奪い合いがなくなったこと、枠そのものの制限(時間とか)がなくなっていったことで今まで主流だった刺激反応モデルだけでなく語りかけ-理解モデルも活用できるようになった。どっちがいいというよりはどちらも適切に選択して使うことが大事。

今まで個人的に手を出せていなかったポッドキャスト、雑誌などは今後の戦略で活用できそうな気がしている。それぞれの特徴を考慮しながら選択していけるようにクリエイティブを用意しようと思っている。

ポッドキャスト:ながら聴きができる。ゆるい没入感。
雑誌:スイッチしにくいため没入感が強い。タッチポイントが多くできる。
映像:深い没入感と体験価値、共感力。

優しいデジタル

デジタルを活用する際に下記の3つのポイントは押さえておきたい。「どれか」ではなく「どれも」が大事。

1.データの適切なフィードバック
2.場所・時間の制約からの解放
3.顧客を巻き込む。お客様と共同する。

自分たちの活用はもちろんのこと、サポートしている中小企業のお客様にどうやって上記3つを提供していくか、提供できるか?をもう少しつきつめていきたい。

個人的ジャーニーから社会的ジャーニー

これまでよく言われてきたAIDMAやAISASなどのフレームワークではなく5Eや5Aなども出てきている。個人で完結していたものが個人から他者への影響度が大きくなってきていることで、フレームワークやカスタマージャーニーも個人完結ではないものを考えていく重要度が高くなってきた。ファネルではなく終着点のないカスタマージャーニーが大事になってくる。ファネルというよりもループで考えたほうが良い。(本書より下記図を抜粋)

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これまで企業の成長をけん引してきたものはプロダクトであったり企業のサービス体制だったけども、これからはそこに顧客も入ってきている。顧客(Cusutomer)から伝道師(Evangelist)として変化していく。

コントロールできない顧客の評判・意見(Advocate)をどうしていくのか?ここの戦略は大事になる。そこを大事にしているのがD2Cの世界観づくり・ストーリー作りだったりする。参考にしていきたい。

ユニクロの柳井正会長の「ユニクロが真のグローバルブランドとして成長していくためにはこれまで以上に情報の編集力が重要になる」

といっているのは、共感できる。情報の管理でもなく、情報の品質ではなく情報の編集力というところが大事だと思っています。

雑誌『LifeWear magazine』を創刊 グローバルのユニクロ店舗にて8月23日(金)より配布開始

上記のマガジン創刊はその流れだと思うので、今後どう展開されていくのかは注目していこうと思う。

最後に

D2Cのように企業が直接コミュニケーションやマーケティングをしていくようになっていく流れは今後しばらくは続きそう。そうなると今までいた広告代理店(僕らのような存在)の価値が変わってくる。今までの価値提供だと意味がなくなってきてしまうので、変わっていかなければいけない。

今までは市場のインサイトを見つけたり作ったりしていくことに集中しがちだったけども、これからはプロダクトの機能や性能の理解だけでなく、顧客(サポートする会社)のブランドストーリー(想いや歴史)をもっと深く理解していかないといけない。企業の独自ブランド(世界観)と市場のインサイトをよりマッチさせていくために、適切な戦略を選択していけるようにならないといけない。僕はデジタルだけでなくもっとフィジカルなもの(雑誌や店舗での接客)も含めた俯瞰した戦略作りができるようにしていかないといけない。

今持っている戦略やスキルを新しいものにシフトさせるのではなく、積層にしていく考え方と勉強をして、お客様にアウトプットしていかないといけない。

補足 D2Cの象徴 Casperが上場

本書でも何度も紹介されているD2Cをしている会社Casperが上場するそうです。Casperの上場と今後のD2Cブランドについては下記noteがおすすめ。本書と合わせて読むと深く理解できると思います。




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