短編小説「僕は知らないし、気にしない」【前編】
スーパーマーケットで缶ビールとチョコレートバーをそれぞれ一本ずつパクった後、僕はバイクに乗って〈ブルームーン〉に向かった。
〈ブルームーン〉はサウス・ロンドンにある、どこにでも見かけるようなありふれた地元のバーで、その代わり僕のような十七歳の未成年が滞在するにはあまり目立たない、極めて好都合な店だ。
店の前の舗道にバイクを停め、空になったバドワイザーの缶をクリケットの投手になった気分で、通りの反対側に豪快に投げ捨てた。
それは空中で弧を描いた後、駐車中のBMWのボ