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自作短編小説集

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これまでに書いた自作の短編小説を載せています。
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2021年2月の記事一覧

自作短編小説『ため息の彼方』 第12(最終)話「ため息」

 その異変はパソコンの液晶画面の中で起きていた。違う、、、。そうだ、絶対に違う。  私が…

植木意志
3年前
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自作短編小説『ため息の彼方』 第11話「電話」

 都市の上空は夜明けの空が浮かんでいた。辺りは高層ビルの照明でやはり明るかった。空気は少…

植木意志
3年前

自作短編小説『ため息の彼方』 第10話「ブレックファスト」

 「具体的には、私はどうすればいいんでしょうか」と私は訊いた。 「そうね、量子テレポーテ…

植木意志
3年前
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自作短編小説『ため息の彼方』 第9話「仮説」

 「さっきも言ったけど、この惑星が人類の移住に最適だったという話は真実だわ。でも一つの懸…

植木意志
3年前

自作短編小説『ため息の彼方』 第8話「ダイアローグ」

 「え、、、。えっと、その、私たちは日本語を話しているんじゃないんですか、、、?」と私は…

植木意志
3年前

自作短編小説『ため息の彼方』 第7話「ランドスケープ」

 カーテンが完全に開き、開放的な大きな窓が現れた。その先に、先程の夜明けの空と海の景色が…

植木意志
3年前
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自作短編小説『ため息の彼方』 第6話「歴史」

 私は少し迷った。私がこの世界の人間ではないということを打ち明けることに、少しの不安があった。しかし正直に答えることにした。それが正しい判断であると直感で決断した。  「えぇ、その通りです」と私は言った。 「やっぱり。あなたはビーチにいたから、きっとそうだろうと思ったわ」と彼女は言った。彼女のその言葉には、私の不安を払拭してくれるような響きがあった。だから私は彼女になら事の経緯を話せそうだと思った。  「気付いたらそこに横たわっていたんです。何が起きたのか、自分でもよく分

自作短編小説『ため息の彼方』 第5話「室内」

 開放的なロビーは閑散としていた。そこには殆ど誰もいなかった。左奥の窓辺のテーブル席で、…

植木意志
3年前

自作短編小説『ため息の彼方』 第4話「都市」

 都市は見渡す限りどこまでも、高層ビル群で埋め尽くされた景観だった。それらは軍隊の行進の…

植木意志
3年前
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自作短編小説『ため息の彼方』 第3話「焦燥」

 やはり私は動けなかった。そこに完全に固定された状態だ。それどころか、その金縛りの強度は…

植木意志
3年前

自作短編小説『ため息の彼方』 第2話「リアリティ」

 ふと気付くと、私は横になっていた。しかしそこは私の部屋の床の上ではなかった。そこは砂の…

植木意志
3年前

自作短編小説『ため息の彼方』 第1話「部屋」

 気が付くと、何度もため息をついている。締め切りまで余裕なんてないのに、なかなか納得のい…

植木意志
3年前