見出し画像

LUSHがSNSからいなくなって1年

ちょうど一年前、LUSHがSNSを使ったマーケティングから全て撤退するというニュースがありました。(その時に別のところで書いたものを下に引用してみました。)

TikTokはビジネスに利用されるようになり、クリエイターズエコノミーの広がりも手伝ってYouTubeやインスタグラムを使ったマーケティングは企業にとっても個人のアカウントにとっても、フォーマットにあった各種のコンテンツを絶え間なく発信し続けることが望まれています。

イーロン・マスクがTwitterを買収したことで、シャドーバンなどプラットフォーム側の恣意的な運用も明らかになりました。

リールやストーリーといった、元々の友人ではない人達からのコンテンツが、アカウントの持ち主の関心事やつながりから、アルゴリズムでガンガン入ってくることによって、コアなユーザーからは”インスタグラムを元のインスタグラムにして”といったキャンペーンも巻き起こりました。

そうは言ったところで、全てのブランドがLUSHのように毅然とした態度を取れないことは明白です。これからもプラットフォーム側の仕様変更や、それに伴うユーザーの使い方の変化などを追いかけ続けることになりそうです。そして、PRや広報の要素がどんどん入ってきている以上、ブランドはコンテンツ作成の内製化やパートナーとの協業のあり方を常に考えていく必要がありそうです。

【LUSHはみなさんに、目的なくスクロールをすることを少しだけやめて、#ここではないどこか #besomewhereelse  で過ごすことを提案します。私たちは、みなさんの心のウェルビーイングが大切にされる場所で、みなさんと繋がっていたいと考えています】(IG: lush_shibuya)

英国発の化粧品・バス用品メーカーのLUSHが11月26日付けで各マーケットで利用していたSNS(フェイスブック、インスタグラム、TikTok、スナップチャット、ワッツアップ)での活動を停止したのがはなかなか大きなニュースだなと思っています。

先日報道されたFacebookやInstagramが心身への悪影響をもたらしていると、いうフェイスブックの内部調査情報によってこの決断に至ったようです。

ここで言う悪影響とはSNSを利用することで、”いじめ、フェイクニュース、過激な意見や価値観、FOMO、幻想振動、操作的アルゴリズムなど”といったものから逃れられず、あるいは深刻な結果をもたらすとされています。LUSH社は同時に「私達は一貫して、人に害を与えるような原材料を商品から排除してきた、SNSにはそれを利用することで、私たちが危険に晒されているような証拠がたくさんある」とコメントしました。このようなアクションは間違いなく企業の姿勢に重きを置くZ世代に支持されますね。

LUSH自身は、タッチポイントが減ることによって、今後、全世界で15億円ほど損失が出ると見ているようです。

SNSの光と闇についてはこれまでもいろいろなところで議論されてきました。LUSHは闇の部分が企業のポリシーに合わないと判断したわけですが、これは彼らのようにブランドの考え方が顧客に深く浸透しているからこそ確信を持ってできることかもしれません。

実は多くのブランドはまだまだ、”SNSでどうしたらもっとエンゲージメントを稼ぐことができるか?”、”SNSでの活動を目に見える形での成果につなげるにはどうすればいいのか”という課題にどう対処するかで悩んでいます。我々ユーザーもまた「ここではないどこか」を探しつつもまだしばらくは「ここ」とお付き合いしていかないといけないのでしょうね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?