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【読書メモ】『社長の心得』(小宮 一慶 著)
▶今回の書評本『社長の心得』(小宮 一慶 著)
『社長の心得』
小宮 一慶 著
ディスカヴァー・トゥエンティワン
▶読書メモ
良い会社とは?社長の仕事とは?
良い会社の3要件
①お客さまが喜ぶ商品・サービスを提供することで、社会に貢献し、存続している会社
②働く人が幸せな会社
③高収益の会社。①②が満たされていれば結果として高収益になるはず会社も経済も政治も、人を幸せにするための道具である
会社が働く人に与えることができる幸せ=①働く喜び+②経済的な喜び
ただし2つの順番を間違えてはいけない。①働くことそのものから得られる幸せ
=お客さま、働く仲間、社会に喜んでいただく喜び(世のため人のため)
+自分が仕事を通じて成長する喜び(自己実現)良い仕事とは、①お客さまが喜ぶこと、②働く仲間が喜ぶこと、そのための③仕事の工夫の3つ
利益は「お客さま、働く人、会社、社会を良くするためのコスト」であり、「良い仕事をしている結果であり、評価」である。
利益は「目的」ではなく「目標」である。利益を目標にすると、働く人が疲弊する。「目的」とは、最終的に行きつくところや存在意義。ビジョンや理念に表現されているもの。
「利益のため」ではなく「利益が出るくらい」の仕事をしなければならない
社長の仕事は、①会社の方向づけ、②資源の最適配分、③人を動かすの3つである。
①会社の方向づけは「事業戦略」と「理念・行動指針」の2つ
「凡事徹底」
「指揮官先頭」
社長の仕事の時間は、①機会追求の時間、②現状維持の時間、③問題解決の時間の3つ。①機会追求の時間をどれだけ充てられるかで、会社の成長と将来が決まる
会社は「小さくなる能力」を持たなければならない。危険なのは固定費の増大。外注の活用、M&Aで部門を売却できるか等も考える。
財務諸表で「安全性」「収益性」「将来性」を常にチェックする
「現預金はうそをつかない」。月末に預金残高を確認する。
常に、ヒト、モノ、カネに余裕を持った経営を行う。
松下幸之助:「ダム経営」ドラッカー:事業は「①目的(使命・志)、②市場、③自社の強み」の3つが重なったところで定義すべき。③自社の強みは、Q品質、P価格、Sサービスで、他社との差別化ができているかどうか。
『ビジョナリー・カンパニー②』:飛躍的に伸びた会社の事業は「①世界一になれる、②経営者も含め働く人がワクワクする、③経済的原動力になる」の3つが重なったところ。
社長と社員の基礎力を高める
基礎力を高めるためには、挨拶、お客さま対応サービス、環境整備などの「小さな行動」を徹底するのが一番。
三定:「定量」「定位置」「定数」
「お客さま第一の結果、売上が向上する」のであって、「売上のために、お客さま第一」を行っても、うまくいかない。目的と手段を間違わない。
「お客さま第一主義」とは、お客さまの喜ぶ商品・サービスを、開発し続け、提供し続けることである。
お客さまは「商品・サービス」を買うのであって、気合や精神論を買うわけではない。
社長の仕事の第一は「正しい価値観を共有した組織をいかにつくるか」。社長は「歩くビジョン・理念」でなければならない。自らが体現することが重要。
社長が持つべき仕事観
社員のモチベーションアップに努めるより、「働きがい」を高めれば、人はもうやめておけというほど働く。「働きがい」を見つけると会社はディズニーランドと同じように楽しい。
「働きがい」は、自分の仕事の結果が、
・お客さまや職場の人に喜んでもらえる、
・地域社会と社会全体に貢献している、
・自分も物心共に豊かになると実感できるようになる、
・自己実現(なれる最高の自分になること)の楽しさを知る
ことで高まる。
→ 働きがい=「世のため人のため」+「自己実現」「仕事は楽しいからやるものではなく、生活のためにやらなければいけないもの」という仕事観が、モチベーションを阻害している。
仕事は楽しい、仕事自体が生きるモチベーションだと考えている人が成功する。
「楽な仕事はないが、楽しい仕事はある。」(本田宗一郎)
「働くことそのものの喜びを知らない人は不幸である」(松下幸之助)
社員に与えられる幸せは「働く幸せ」と「経済的幸せ」。この順番を間違えてはいけない。
社員のモチベーションアップのための最大のインセンティブは自分が仕事を通じて喜んでもらい、社会に貢献しているという手応え。
本物のモチベーションは、昇級、昇給、表彰、ボーナス、休暇など、外側からのインセンティブによってではなく、内側から湧いてくるもの。
数字は目的なのではなく、「良い仕事」の結果を検証するためのもの。
「目的」と「目標」の違いを知る。
「目的」は会社の存在意義、個人の存在意義。
「目標」はそれを達成するための手段で、客観的に評価できる形式のもの。売上高、利益率、シェアなど。「お金を追うな、仕事を追え」
数字のために働いているという意識を社員に持たせてはいけない。儲かっているときも、数字のゲームに興じてはいけない。
長期的にビジネスを成功させる経営者は、普遍的な哲学を持っている。
「論語と算盤」(渋沢栄一)
「成功=能力×熱意×考え方」(稲盛和夫)
※能力と熱意=0~+100点。
考え方=-100~+100点社長は普遍的な哲学を生き方の根本に置き、それを会社の求心力にしなければならない。
営業活動とは、お客さまが求める商品・サービスがここにあることを伝える「親切活動」である。
営業会議では、自社の商品・サービスが広がることが、世の中にどれだけ貢献するか、それを共有することが先決である。
社員が会社に貢献しようと思っているうちは、会社は潰れない。
最後の最後に、社員が踏ん張れるかで、会社の命運は決まる。
会社が社員に求めるのは、社員の「時間」ではなく「貢献」であることを、社員にきちんと伝えなければいけない。
会社は勉強しに来るところではなく、お客さまや会社に貢献するために働くところであることを、社員に教えなければならない。
PDCAは月に1度ではなく、何度でも回す。
あと一歩踏み込む「詰め」が、会社を変える。
徹底的に「詰める」とは、仮説を立てて、実行し、検証し続けることであって、人を数字で追いつめることではない。
社長が知っておくべき人材育成の要諦
平均値で人を見ない。トップランナーを下位の人と同じように管理してはいけない。
全員をオールラウンドプレイヤーに育てようとするより、各人の強みを見つけて「適材適所」で伸ばす方が、チームは強くなる。
部下を心から褒められることが、人を使えるようになる第一歩である。
前向きな人は人の良いところを見る。良いところを見つけたら褒める。良いところを見つけて褒めると、必ず育つ。
どこからでも誰からでも学ぶ人(素直さ、謙虚さを持っている人)が、人の良いところを見つけ、心から褒めることができる。
適材適所とは、長所を見つけてそれを使うこと
「褒める」とは良いところを良いということ。ダメなところを良いと言っておだててはいけない。
今日一日、精一杯働いたかどうか、0.01歩でも進歩したかどうかを反省してから帰らせる。
個々人が自分の生産性を上げていくこと自体が、より多くの人を喜ばせ、経済を発展させる社会貢献となる
効率が上がる→生産性が上がる→付加価値が増加する→GDPが増加する→日本全体が豊かになる
個々人の生産性を上げていくためには、徹底して工夫・進歩させることが必要。常に「何かもっとよくできる方法、改善点はないか?」と考え、工夫させることで、人は伸びる。
「管理」と「規律」は違う。「管理」とは人の行動を規制すること。管理すると、全員が言われたことしかやらなくなる。このようなことが起こるのは「規律」がないから。「規律」とは意識の統一。社長が指揮官先頭で規律を守り、守らせようとしないから。
「規律の中の自由」が正しい社風である。
「規律」さえあれば人を「管理」する必要はない。あとは数字をチェックするだけ。数字が、良い仕事を行っているかどうかを如実に表す。
自発的に能動的に一生学び続ける一流の人間を育てるのが人材育成の要。一人前<一流。
人は管理するものではなく、コーチするものである。
社長は、数字を常にチェックし、部下にも数字で具体的に考えさせなければならない。
ダブルチェックは、責任を分散させ、人を甘くする。通常の日常業務では、違う方法で検算するなど、自分でダブルチェックする仕組みを考えるべき。間違いに自分で気づき、一人で完全な仕事に仕上げられるように指導しないと、プロは育たない。
若いころから「正しい考え方や生き方」を社員に学ばせることが、社長が行うべきもっとも重要な人材育成。
考え方を、行動に落とし込み、結果を評価する。
「適切な人をバスに乗せる」(ビジョナリー・カンパニー②)
社長としての人物力
社長は常に「理念」と「現場」と「夢」を語れ。
「理念」は会社の存在意義。ミッション・ビジョン・バリュー
「現場」はお客さまとの接点や製品がつくられる場所。現場を知らずして、戦略を語ることも、社員の心を動かすこともできない。
「夢」は会社の目標と個人の目標が重なるところで、大きく重なり合うとき、会社は大きく成長する事業を通じて社会に貢献する気概を持つ。その使命感が、会社をより強く大きくする。
常に「理念」を語り続け、社内に浸透させ続ける。社長自身がそれに従い、理念を体現し続けなければならない。
社長は、お客さまとの接点である「現場」を熟知し、現場に出て、一番厳しいお客さまの目を持たなければならない。
大名行列の視察では現場は見えない。社長に現場の真実が見えなくなった時、会社は傾き始める。
「理念」と「現場」だけでは社員は動かない。特に社員には、ここで働くことによってどれだけ幸せになれるのかという「夢」を語らなければならない。
リーダーシップとは、理屈ではなく、先頭に立って行動する「覚悟」である。
「指揮官先頭」。教え、指示するのではなく(=ティーチャーではなく)、先頭に立って行うのがリーダーである。「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ」(山本五十六)
楽でない仕事を楽しくやり、社員に自分の名前で仕事ができるプロになってもらう。
一流の人ほど努力をする。
「良い仕事」をすることを目的とする限り、終わりはない。
成長と安定のバランスをとることが大切。
会社をつぶす社長は、習うより教える側、聞くより話す側、自分を変えるより相手を変える側に立とうとする。
社長は、誰よりも会社の数字に強くなければならない。
常に「For the company」で行動せよ。社長が公私混同をやめれば、会社は強くなる。
「それを社員がやっても許せますか?」――許せない行為は社長もしてはいけない。
「カリスマ社長」を求心力にする会社より、「考え方」を求心力にする会社が強い。
会社は「はずみ車」。回り続けるためには「仕組み」と「考え方」が必要。カリスマ社長が「時を刻む」より、ビジョンや考え方という「時計」を作った会社が長く続く(『ビジョナリーカンパニー』)
社長は、会社の「理念」「ビジョン」の「教祖」ではなく「宣教師」にならなくてはならない。
社長の器が会社の器を決める。器を大きくするために、社長は正しい生き方を学び続け、それに基づき判断を下さなければならない。
「器を大きくする」のに重要なのは「生き方」。
論語や偉大な経営者(松下幸之助、稲盛和夫など)の本を何度も繰り返し読み、腑に落ちて、自然にその考え方に基づいた判断や行動ができるようになるまで読む。また、尊敬できる人の話を聴く。「アンテナは高く、腰は低く」。腰を低くしておかないとアンテナは高くならない=謙虚でないと感度が鈍る。
謙虚に人の話を聴く。「謙虚」であるということは、自分の足りなさを自覚しているとともに、貪欲で学ぶ姿勢がしっかりしているということ
社長が学ばずして従業員が学ぶことはない。
自分の関心を世間の関心に合わせることで、常に環境変化を読み取り、適切な「企業の方向付け」をすることは、社長に何よりも重要なこと。要するに「何をやるか、やめるか」の適切な判断。環境変化を読み解くことが、マーケティングやイノベーションの大前提
「チャンス」は「準備」していたものだけが活かせる。企業にとっての最大の準備は「人材」。
「飛躍的に会社を伸ばした経営者は、うまくいったときには窓の外を見、失敗したときは鏡を見る」(ビジョナリーカンパニー②)
「うまくいったときは運が良かったと思い、失敗したときは反省することが大切」(松下幸之助)
「吾、日に三度吾が身を省みる」(論語)
今の場所に安住しないためには、いったん自分を無にする、自己否定が必要。
成功する人は、世の中がより良くなることをし信じている。
会社経営を成功させる社長に共通するのは、素直で謙虚なことである。「素直」ということは、人の話を聴き、人の知恵を活かすということ。
▶感想
小宮 一慶氏の本は多数読んでいるが、それを「社長の心得」として総まとめした内容でした。書いてあることは腑に落ちる内容ばかり。あとは自らが率先垂範で行動し続けるのみ。
以上です。
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