パリのロマンチック美術館がロマンチックなワケ
今日は「香り」ではなく、わたしが愛する「ロマンチック美術館」(パリ9区)について、書きたいと思う。
この場所、正式名称は「ロマン主義博物館(Musée de la Vie romantique)」という。
「ロマン主義博物館(Musée de la Vie romantique)」はもともと、オランダに生まれフランスで活躍した画家、アリ・シェフェール(Ary Scheffer)のアトリエ兼自宅だった。
それを遺族がパリ市に寄贈したため、市営の「邸宅美術館」となった。
19世紀当時はロマン主義の芸術家たちがこぞって、シェフェールの自宅を訪れていたそうだ。
ジョルジュ・サンドやショパン、ヴィクトル・ユゴーなどである。
まず外観がロマンチック。
ペールピンクの壁に、エメラルドグリーンのヴォレ(雨戸)。
確かジヴェルニーにあるモネの邸宅もこんな色合いだったから、この組み合わせを選ぶ19世紀の文化人はさぞかしロマンチックだったのだろう。(?)
次に規模。
これが広すぎなくて良い。
やはりロマンチックだ。
パリ、および欧州の大型美術館は、その国力を示すかのように、広大だ。
しかしニ時間も滞在していると、頭が痛くなってくる。
歴史的傑作が単なるオブジェに見えてしまう。
渡仏したての頃なんか、ルーブル美術館のスタッフさんに「一作品を10秒見るとして、全部まわるのに10か月かかる」と言われたこともあった。
けれど、ロマンチック美術館は小さい。
もとは邸宅だったから、個人の(広めの)お宅にお邪魔してるような感覚で、ちょうど良いのだ。
だからだろうか、大型美術館でよく起こす息切れがない。
最後まで気持ちよく作品に没頭できる。
これではやはりロマンチックが止まらない。恋愛賛美の情緒的な絵画も多い。
※内装のロマンチックな色合いにもご注目。
さて何よりもロマンチックなのが、入場料がタダ なことだ。(常設展のみ。理由はパリ市の市営だからだそう)
これは素晴らしい。
今年(2024年)に入ってからパリの美術館は値上げラッシュなので、嬉しい限りである。
そんな理由もあって、ロマンチック美術館に出向く人は、年々増えているように思う。
併設のカフェ「ローズガーデン」だけを利用するという、パリジャン・パリジェンヌもいるほどだ。
(在仏、特にわたしはそういうのに乗っかりたくなる)
このローズガーデン、もとは温室だったという。
初めて訪れた時には、温室がこんなにお洒落なことに驚いた。
それをカフェにリユースするという、フランス人のアイデアにもびっくり。
雰囲気がハマっているからさらにびっくりだ。
5月~6月初めまでは薔薇の季節なので、ロマンチック美術館はますますロマンチックを発揮する。
・・・つくづく、女性にモテる美術館だな、と思う。
出た後も、気持ちがふっくらとする。
そして、意外とひとりで行くのがおすすめ。
ロマン主義の作品にゆっくり触れて。
午後には画面を置いて、カフェで読書を。
・・・「ロマンチック」。
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