『恋のうた』 で再発見したスピッツ草野さんの描く詞の世界の魅力と狂気
スピッツへの愛
久しぶりの投稿です。
「最も好きなアーティストは誰?」なんてよくある質問には、ノータイムでスピッツと答えてしまうし、必死にバイトしてカツカツで購入した車のナンバーを、いくらか多く支払ってでも「8823」にしてしまった私なのですが、数年前から一年に一度、必ず読むようにしている本があります。
一年に一度というのは、スピッツ結成日である7月17日のことで、本来は本投稿をその日に行いたかったのですが間に合わず、、
ちなみにこの本は、スピッツ結成20周年を記念して発行された書籍であり、アルバム制作を軸に、バンド内外で巻き起こる色々な出来事を、メンバー4人それぞれの視点で寄せられたコラム集です。スピッツの歴史がさらっと学べるし、メンバーの内面や成長を深く知ることが出来ます。
スピッツの魅力はなんといっても、シンプルなギターロックと綺麗なメロディーに乗せて歌われる詩的な歌詞、そしてバンド全体の一体感が生み出す独特の世界観ですが、これらの魅力に深く触れるための必読書です。
『恋のうた』 について
『恋のうた』はスピッツのインディーズ時代の名曲の一つです。
草野さんがTHE BLUE HEARTSに出会い衝撃を受け、バンド活動を一時休止する、通称ブルーハーツショックを経て、パンクロック志向から独自の志向へと転換したきっかけになった曲であり、草野さんが初めてアコギで作曲した曲でもあります。
スピッツの2ndアルバム「名前をつけてやる」(1991年11月25日リリース)の10曲目に収録されており、スペシャルアルバム「花鳥風月+」(2021年9月15日リリース)の15曲目にはインディーズ時代のver.が収録されています。
再発見したこと
結論から言うと、私が再発見したのは、『恋のうた』が失恋ソングではないか?ということであり、一見、まっすぐな想いを綴った歌詞の中には、スピッツの詞のメインテーマの一つでもある「死」がふんだんに隠されており、失恋を乗り越えられなかった"僕"は死を選び"君"を想い続けている曲に思えるのです。
気が付いたきっかけになったのは、まさに今の私の心境がこの歌詞に完全に重なってしまったからで、、
急いで勝手に心の師と仰いでいる「スピッツ大学」さんの「恋のうた」のページを確認すると、とても近い解釈がありました。また、他の方のブログ等も拝見したのですが、失恋ソングという部分に深く触れている方があまりいなかったので、若輩者ではありますが、つらつらと綴らせて頂きます。
歌詞の解釈
歌謡曲のような入りから、まっすぐに"君"への想いを吐露したのかと思いきや、「おさえきれぬ 僕の気持ち」のせいなのか「おかしな夢ばかり」見ています。
「おかしな夢」ということは、良い夢ではないかもしれません。
私は長い期間お付き合いしていた恋人と、将来のことを考えて、仕方なくお別れしてから色々な「おかしな夢」を見るようになりました。──投稿済みの エッセイをご参考ください。
元恋人が自分ではない誰かと暮らしている夢、自分では無い誰かと結婚式をしている夢。なかなか眠れなくて、EURO2024(海外サッカー)をたくさん見ていた頃には、元恋人が外国人と付き合っていてデートをしている「おかしな夢」を見てしまった時には本当に困惑しました。
「おかしな夢」を良い夢ではないと解釈すると、幸せな状態の”僕”というよりも、失恋してしまったけど、今も想う"君"への気持ちを必死に抑えようと苦悩している状態の”僕”を想像してしまいます。
ストレートな解釈をすると、夢のなかで"君"を想っているということですかね。
「おかしな夢ばかり見て」苦悩していた「だけど」ということは、"僕"はもう苦悩していないということでしょうか?
そして「君の頭の上」で「浮かんでいる」ということは、"僕"はもう亡くなったから苦悩から逃れたというふうに解釈出来ます。微かに自殺の可能性も香ります。
"君"のことを深く愛している"僕"は、亡くなって苦悩から逃れたことで、"君"の近くでふわふわと揺蕩い、見守っているという描写に見えます。
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