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「ポルノグラファーの事件簿① 《おふくろ》」

「イイね! ナイス! スキだ!!」
ポルノ撮影時には対象に恋する気持ちが必要だ。

「良い湯気だ!」「食べたいよ!」
艶めかしくテラテラした痴態にシャッターを切り続ける。

――――――

「ではプレビューは後日!」

「バッチリ修正かけておきますから!」

『よくあんなメシを出せるな!』 これはいつもの幻聴だ。

あの人気芸人プロデュースのギラギラした創作和食は俺とメディアの力でポルノスターになるだろう。苦虫を噛みながら繁華街を抜けると寂れた定食屋があった。

――――――

定食屋を出て我に返る。

(俺は何を食べたんだ!?)

定食屋に入って■■を注文したところまでは覚えている。あまりの美味さに■■の写真を撮り忘れた。■■ってなんだ?記憶も曖昧だ。だが”写真がないから記憶にない” なんてインスタ蠅なヤツらと同じじゃないか。

俺はジャーナリスト魂を再点火させて厨房へ向かった。

俺はポルノ食前。
フードポルノ専門のフォトグラファーだ。
これが最初の事件となる。

[続]

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