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私的ピックアップ外伝 作者別ぜんぶ感想②「アロハ天狗さん」

ぜんぶがヤバイ。聖なる嘘つきによる真実のパルプマシンガン。

どーも、お望月さんです。逆噴射私設大賞で作者に殴られた賞の3名を個別ピックアップします。詳しくはこちら。

アロハ天狗さん

アロハ天狗さんはキャラクター配置がうまい。この場面にこんなキャラを置いたら当然こうなる、という場面を用意した上で読者に想像の余地を残すテクニックがある。理路整然としていて既製品の趣があります。

そんな丁寧に製造されたビデオデッキで物理的に殴りかかってくるような野性味も魅力ですね。

ご自身の作品解説がめちゃくちゃ面白いので読了したらクレバーな狙い所やバランス感覚のスゴさを味わおう。


それでは一つずつやっつけていきます。
今回は投稿の新しいものが上です。(マガジンの並びがそれだったもので)

作品別の感想

朋友よ、冷たい朝に眠れ

まっすぐストレートでぶん殴る。作者の実体験で実際に辛いことがあったのがよくわかる作品。

タイトルが五千点。
何のてらいもない「友達」発言。五千点。
ガラの悪い坊主と仲良く豚足を食い麻婆豆腐と青島ビールを流し込む。一緒に飯を食ったら家族なので五千点。
会ったのは今日が初めてなのに仲が良くて五千点。
仕事になるとちょっと距離のある話し方に戻るしぐさに五千点。
スポーツバック。チンピラ感に五千点。
二丁拳銃が2セット。五千点。
飲み足りないね。五千点。
友達だ。二回目。五千点。
最終センテンスに五千点。
タイトルを見返して五千点。

合計で五兆点です。私は数字にかなり強い。

「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」みたいに原題はもっと短いと思うんです。「復讐」とか「朋友」とか。ずっと酒飲んで笑っていたかったと思うんです。でも、この世に生きていられないような絶望を超えて飛ぶんですね二人は。冷たい朝に朋友と呼びかけたのはどちらなのか。どちらともなのか。エンディングの墓石に捧げられたキャシャーンのDVDで示唆されるやつですね。

恋多き髑髏伯爵

髑髏伯爵はめちゃくちゃいいやつで、恋した相手の幸せを願えるめちゃくちゃいいやつなんだよ。そんでほのぼのしたファンタジーの世界からいきなりマキシマムセキュリティ刑務所へ急転直下ですよ。空にサーチライトを向けてるから潜入のためにイゴールは黄金城でお留守番ですよ。そんで最終的に黄金城ごとマキシマムセキュリティ刑務所に突っ込んできてプリズナー反逆の中、黄金城を心配されても「些事だ!」だよ。ヤベーやつらだ。

マッド料理人ジロウ 世紀末編

一行目からヒトが死んでるし主人公が不審者なので完全にやばいことになってる。さすがに吹きだした。恐ろしいことに投稿作の中では箸休め的な存在。(イカ娘枠)

あらゆる者よ、彼の竜を討て

はじめにスタートからゴールまでの設計図が引かれている。歴史、ビジネス、英雄、市井の人々、どんどん絡んでくるスケールの物語であることが直感的にわかる。私はこれをビジネスや政治のあり方の話だと捉えたけれど、そういうわけではなかった。

ザ・マウンテン・バッドガイ

とにかくでかい岩が転がってくる話だ。どこにスイッチがあるかわからないがちょっとしたいさかいから始まったとしてもいろいろあって確実にやつが降ってくる。スケールがでかいやつはどの部位もでかい。

ヘヴィメタル・チェーンガン!

ヘヴィ暴力メタル!DOOOOOOMはよくわからないけど大体こんな感じなのだろう。完全にゲーム画面で再現されるけどサイバーオフィスを舞台に炸裂するのはちょっと楽しそうだ。

以下のドキュメントの内容は全て虚偽です

タイトルがヤバイ。偽史だ。絶対に真実しか書いてない。そして、奴らにも廃棄処分できない有用性とナニカが隠されている。一回何事もなくスルーした案件が引っかかってある地点でヒントを得て読み返して、DOOOOOOOOOMっ音楽がして「そうかこれが!」っやつだと思う。(雰囲気だけで書いてます)

死ぬなら走れ、最後まで。

スコア表示されてゲーミング脳?かと思ったら、もっとシビアな設定がされているというヤバイヤツであった。藁の犬みたいなおとなしい男が復讐のために悪魔に魂を売るヤバイパルプ。そして、契約先の悪魔の裏をかいた知性もあるのだろう。なんせ教師は頭がいいからな。

人類滅亡は宿題のついでに

唯一(ん?)となった作品。が、ちょっと色んなアロハヘッズの声を聞いたらどうやらラノベ風という評価に定まり(アッ!)と急激に理解が進んだ。全世界を滅ぼすか、彼女を殺すか。セカイの選択肢は明くんが握っている。実に主観的な問題だったんだ。

屍霊マスター翔!

やっとアホみが強い題材だ。これなら安心して読め……ない!た、崇徳上皇!!(悶死) やはりアクセルとブレーキのどっちも全開の作家性だ。正気か。

わたしの キッツイ 固定客

正義のスーパーヒーローはあの迷惑おじさんだった!?というギャップの転がし方はよくある感じではあるんですけど、ディテールがね。キッツイメールの現実感がもしかしたらこの作者はふだんからこういうのを書いているのでは?という、気持ち悪さにさせる筆力ですよ。ナニを食べたらこんな文章が。

ダーウィン賞の壊し方

ブラックジョークの限界を突破!!逆噴射期間中にも色々と代替医療(キャベツ)ネタとかが飛び込んできましたけど、こちらは筋の通った年季の入った怒りを感じます。なお、ダーウィン賞とは「子孫を残さず死んでよかったね」を讃える賞でだいたいかわいそう。

アポカリプス・インターネット2199

氏の得意とする実在感のあるインターネットミームの本質を描いた作品。水よりも食料よりも衣類よりもインターネットを優先する現代人への強烈なカウンターパンチだ。けれど、最後に希望がある。

シェイドウォーカーズ(用法用量には個人差があります)

伝説のオモシロパルプを逆噴射小説大賞向けにリメイク(リブート?)させた作品でメジャーリーグで三冠王をとった二刀流ピッチャーが神奈川県予選に登場したようなものであり勝てるわけがない。

(関連作品)

これでネタを拾いきれていないそうなのだから世界観のまだまだ広がりの余地がある恐ろしい懐の深さだ。

パラノイア・ファミリー

逆噴射小説大賞の投稿作の中でも屈指の話題になった作品。世界観の説明はなし。セリフだけで構成されている映画の予告編みたいなやつで、読み手ごとに想像力を働かせて様々な展開を妄想させてしまった罪作りな家族だ。

嘆くべし我が愛しの狩人よ

初見時に思わず某ミステリの名を叫んでしまった。殺人者が殺人者を追う展開、謎の法則に導かれた殺人、偶然なのか故意なのか、それとも狂った「フェアネス」なのか。この作品は是非完結編を読みたい。

MKウルトラ・JK

冒頭から日常動作の延長で次々と殺傷していくシーンが始まる。永遠の17歳、それは呪いであり17歳のまま世界に取り残された悲哀がアホっぽさの裏に隠されている。これから先の展開は?永遠の17歳のセンパイが出てきたりナチュラルボーン17歳(2さい)に懐かれたりするのだろうか。

ぼくらの日本の歴史 第5章 虫たちとの戦争・これからの日本について

偽史だ!道徳の教科書風の描写で読み手の脳に揺さぶりをかけてくる。「絶対に正しいことを書いていると信じて疑わない」人々特有のオーラがあり、しかし、だからこそ人類が生き残ったという「適者生存」も描いている。

振り返るな!振り返るな!ガルシア!

ガルシアだ。西成のガルシアは責任をあらゆる方向に押しのけながら走る。デジ・ベレッタが出てきた。シェイドウォーカーズと同ラインの暴力が行われる前兆で、どう考えてもドラム缶爆発で人が死ぬ。

スターリンの柳生軍団

私がよく知らないだけでソビエト柳生というのは信憑性の高い存在らしく他の人からもこのような話を聞いた。登場人物の配置を理解すると極端にエモさが増して三百年の時を超えて宗矩がソ連の尖兵と化した共産魔人十兵衛を切りに来る。続編では二天一流とのエピソードも期待できるだろう。

オーバーシティ ~ヒーローズ&ヴィランズ&コップス~

アロハ天狗氏は「俺は相撲からは距離を取っている」と言っていたが、この作品は間違いなくパルプ相撲に近い。名前が強さを生み、強さが説得力を与える世界だ。名前と設定を置き換えて「幕内、大横綱、超新星」が死んでいたらそりゃ警官も驚いてしまうだろう。

きみコイ 〜きみと、初恋と、メタルヘッド・ゾンビ・アーミー〜

異物混入甘酸っぱい初恋ゾンビ禍。長瀬さんは小悪魔だ。しかし本心なのだろう。一ヶ月という期限、迫り来るメタルヘッド・ゾンビ軍団。ゴアカルト教授のひみつとは?若干低予算のオーラを発する展開に期待満々だ。

ロボ・マザー

主題歌は「ボヘミアン・ラプソディ」
ママミヤママミヤ(銃撃音)オペラパートに合わせて爆発する大破壊。教室は狂乱の渦!しかし「母」と書かれた生徒たちの習字は傷ひとつ付いていない、なぜなら彼女はロボ・マザーなのだから!!

アリシア・スノウが死ぬまでの48時間

2018/10/08 00:00。
試合開始と同時に飛び出したミステリアスパルプアクションだ。私はこれを見たときに確信しました(やっぱりヤルときはヤル、アロハ天狗さんは僕らのヒーローなんだ)と。開始0分でこの品質を提供する。やっぱ憧れちゃいますよね。パルプ作家として。
スタートがゴール地点。そして定型フォーマットからリスタートして想定外のツイストの効いたフックで殴ってくる。
完璧な作りですよ。やはりフォーマットとキャラ配置が神がかっている。天狗の仕業だ。

まとめ

「逆噴射小説大賞の締め切りは10/31」を言葉通りにとらえず「実質10/08が締め切り」と考えることができるパルプ天狗は真の男。デスペラード・パルプスリンガー。思考の一線を超えています。

それでは主題歌をご唱和ください。

「内容も面白いけど紙質は俺が一番悪い」と自称するパルプ性は最早ストリートアートであり、インターネット世代のポップアイコン👺ですね。

いじょうです。

次回は我らのへるま卿。
めちゃくちゃ疲れたので不定期更新です。


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