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大学生と地域の関係性

<この記事のまとめ>

① 大学生は上田を学びに来ているのではない
② 地元の活性化を想定して上田で実験をする

上田を学ぶことの意味

今、上田市では「信州上田学」という名の取り組みが行われている。

この取り組み自体は私が25歳で地域メディア「うえだNavi編集部」を立ち上げた際の想いと一致する部分があるため、とても良い取り組みだと思う。

私は地域の未来を語るために、今、そして過去の上田市を知る必要性があると感じ、地域メディアを作った。※うえだNavi編集部については別記する。

しかしながら、この「信州上田学」は、ある一定の価値観を持った状態、もしくは関心を持った状態でしか有益な学びの環境ではないことを知っておいて欲しい。

無意識の状態で地域を学ぶことにほとんど意味はない。

地域を学んだ先にあるものは、地域の一員になること、さらに言えば、地域との一体化を夢見ているということだ。

その地域に移住したくて大学を選ぶ若者はほとんどいない。ましてや、移住を目的に大学生をやっている人も少ないだろう。

だから、ほとんどの大学生が上田について学ぶ意味はない。

しかし、上田について学ぶ必要性が出た学生にとってはこれほど貴重な環境はない。

上田を好きになった人は問答無用で学べばいい。その他大勢の大学生たちは、これを機会に、自分の地元の歴史に置き換えて学ぶことをお勧めする。

上田と地元を比較する。

比較によって見えてくる地域特性や関係性、類似点なども含めて、研究のテーマになるものが多く見えてくるだろう。

それが、信州上田学の学び方だ。

大学生のフィールドワークとは

上田市は長くこのフィールドワークという名目で大学の授業の受け皿になってきたと思う。地域の課題を解決することを目的に大学側から送り出される学生たち。

さて、大学生はこのときどんな立場でフィールドワークに参加しているだろうか。

① 授業の一環
② 地域貢献のため
③ 自主研究のため

単純には上記の3つの状況があげられる。

この3つのパターンは「大学生と地域の関係性」においてまったく違った意味を持っていることを確認しておいて欲しい。

まず①のパターン。

これは、はっきり言って地域側にとっては大きな負担でしかない。授業料を払っているのは大学にであって、フィールドワークの受け皿となる人には授業料を払っているわけではない。

したがって、地域の方がボランティアで大学生に授業をしてくれていることになる。①のパターンの場合は、間違っても大学生がボランティアで町興しをしているなどと思わないで欲しい。

ハッキリ言う。

授業の一環で関わるだけの学生に、地域の課題解決などできることはない。

課題を抱えた地元の人たちは、日々その状況を解決するために、さらには地域の活性化のために尽力している。それが上手くいっていようがいまいが、常に地域のことを考えているのだ。

だから、授業で関わるのであれば、フィールドワークの環境を準備してくれた地域の人たちに誠心誠意、学ぶ意思を見せること。

それが出来ないのであれば、そこに学ぶものは一つもない。

②のパターンはどうか?

②の場合は、大学生自体に「地域貢献する」という目的が存在している。ということは、参加する先には大学生を必要とする状況があるということになる。

必要とされている場所で、自分たちの出来ることを最大限に発揮して、地域のために、また地域の人たちのために活動することは、お互いにメリットがある。しっかりとコミュニケーションをとって円滑な活動に取り組んで欲しい。

そして③のパターン。

私個人的な意見としては、大学生は本来この目的で地域と関わってもらいたいと切に願う。

大学生の本分はあくまで研究者であると思っている。だからこそフィールドワークという機会を得て、地域に出て行うことは、自分の仮説が本当に正しいのか、または仮説は成立するのかどうかを確認する場所であって欲しいと思う。

自分たちの故郷をはじめ、関わってみたいと思っている地域の明るい未来のために、「専門知識」や「地域活性化」や「観光振興」を学び、戦力としてその地に飛び込んでいくことが多くの人たちの目標なのではないかと推測している。

4年間という時間は思いの外短い。そんな限られた時間の中で、自分たちがどれだけ地域・社会のために役立てる人材になれるか、それが大学生の目指すべき目標の一つだと思っている。

上田は研究サンプルの宝庫

上田という地域は、貪欲な大学生にとってサンプルの宝庫だと言える。様々な分野のテストケースを研究することができるのだ。

観光についていえば、サマーウォーズを活用したアニメツーリズム、温泉もあり、旅館もある。旧街道と街並みの保存から考える観光、人気の戦国武将やお城もある。

はたまた菅平高原のラグビーをはじめとしたスポーツの聖地、森や川を活用したアクティビティなど、本当に多彩な環境を揃えた地域である。

最近では、塩田平が日本遺産に認定され、さらなる活用の実績づくりが始まる。そして、ご当地グルメ「美味だれ焼き鳥」や郷土料理、地元で人気の名店の味わいが多く存在する。

もちろん、それぞれのコンテンツにおいて、全国各地には成功事例が多く存在する。しかし、信州上田にはそれらの中から自身に合ったものを選べるほどの実績と現状を持っていることが、上田地域の大学生の特権であると言いたい。

大学生たち。

君たちの研究テーマはなんだろうか。

信州上田の大人たちは、研究されることを待っている。だから、研究者となって、4年間という時間を使い上田の地を存分に楽しんで欲しい。

上田ブランド研究所
所長 池松勇樹



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